今回解説していく通貨はメキシコペソ円です。メキシコ銀行(中央銀行)は前週に金融政策決定会合を開催し、政策金利を11.25%で据え置くことを決定。ただ、声明文では前回までの「しばらくの間現在の政策金利を維持する」との文言が削除され、「次回以降の会合では入手可能な情報次第で金利調整の可能性を検討する」との文言が追加されました。
いよいよ次回(3月21日)以降の政策転換が視野に入ってきており、日・メキシコ間の金融政策の方向性も今後は変化していくことになりそうです。では、チャート上でもメキシコペソ円の状況を確認していきましょう。
メキシコペソ円の週足分析
下図のチャートはメキシコペソ円の週足チャートになります。前回の分析(12月13日)からどのように推移したかを見ていきますと、12月7日につけた8.12円を安値として12月中旬以降は下値を切り上げる展開に。足もとでも底堅い動きが続いており、前週には8.75円まで上値を伸ばす場面も見られました。
もっとも、現時点(2月12日執筆)では昨年高値の8.78円を上抜けるには至っておらず、過去の重要なレジスタンスポイントである2008年3月安値8.89円(チャート上の青色実線)も健在。2022年3月安値を起点とした上昇トレンドライン(黄色実線)は機能しているものの、前回の分析でも指摘したレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)が続いていると見るべきかもしれません。
その一方で、現在はレンジ相場の上限付近にあることから、今後レンジブレイクを狙っていくのかも気になるところです。その辺りの可能性について日足分析で改めて探っていきましょう。
メキシコペソ円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。チャート上の上昇トレンドラインと平行に引いたチャネルライン(いずれも黄色実線)および青色実線は週足で紹介したものと同じものです。
まずはレンジ相場のブレイクポイントである上限・下限について再確認しておきましょう。チャート上の丸で囲った部分がそれにあたり、レンジ上限は8.78円、下限は8.08円です。
週足分析でも指摘したように現在は長期の上昇トレンドにあることからレンジ上限の上抜けチャンスは見た目にも十分ありそうですね。また、今回はチャート下部に「ROC」も加えてみましたが、ROCは今月に入ってゼロラインを上抜けており、短期的にも「トレンドが下降から上昇へと転換した」ことを示唆しています。
もちろんレンジブレイクは実際に確定するまで分かりませんので、積極的な上値追いを現時点で自重するのもあり。その際にはレンジ相場の下限や上昇トレンドラインなどをサポートとして、レンジブレイクを確認するまで押し目買い戦略に徹する方が無難でしょう。なお、上昇トレンドラインですが本日時点で8.01円台に位置しており、1カ月後には8.12円付近まで切り上がる見込みとなっています。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。期間内には日・メキシコともに金融政策の発表は予定されていませんが、メキシコ中銀による政策転換のタイミングを探る上でも今後はCPIなどの物価動向が一層注目されるでしょう。また、日銀が政策正常化の判断材料としている2024年の春闘については、主要企業の春季労使交渉の回答が出そろう集中回答日が例年3月中旬に予定されているため、こちらにも注目です。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
2月27日 日本 1月全国消費者物価指数(CPI)
3月7日 メキシコ 2月消費者物価指数(CPI)
3月中旬 日本 春闘の集中回答日