前回までオシレーター系指標の解説をしてきましたが、今回は話題を変えて経済指標やイベントなどで相場が動意づいた際、チャート分析でどう立ち向かうべきかについてお話ししましょう。
先月22日には政府・日銀が約24年ぶりに円買い・ドル売り介入を実施。ドル円相場は高値から5円超の急落となりましたが、このような急変動に対してどのように対処していくべきなのでしょうか。
相場の変動幅を事前に予測することは困難
下図はドル円の日足チャート。先月22日の急変動は直近の動きの中でも特に目立っていますね。
こうした突発的な事態(今年の中ではロシアのウクライナ侵攻、英中銀の債券買い入れ措置)などで、相場がどの程度動くかを事前に予測するのはやはり困難です。今回の為替介入も約24年ぶりだったわけですが、24年前と比較しても当時とは経済状況が大きく異なるわけですから比較による予想が適切とは限りません。
パニック時こそ基本に立ち返る
このような局面での対処方として考えられるのは以下の通り。大切なことは基本に立ち返ることです。
(1)すでにポジションを持っている場合はストップロス注文を置いておく
基本中の基本ですが、為替介入などで相場が急変動すると市場の流動性が極端に低下し、インターバンク市場でも通常のようなレート提示ができなくなります。スプレッド(買値と売値の差)が極端に開き、ストップロス注文を置いた水準では決済できなくなることもあるので注意が必要です。
(2)ポジションを持っていない場合は取引を控える
相場の見通しが不透明な際は取引を避けるというのも重要な考え方です。経済・相場のニュースなどを流し読みしていても、今回で言えば「円安けん制」「過度な変動」「為替介入」などのフレーズが増えていることに気付くことができると思います。ちょっと不安だなと感じたのであれば様子を見るのもいいでしょう。「様子見」「ノーポジション」も立派な取引スタイルです。
(3)急変動が起きた場合のシナリオを事前に想定しておく
相場の急変動が起きる時は市場もパニックに陥っているわけですが、できることならば自分は冷静さを失いたくないところ。事前にここまで相場が上昇・下落した場合は現在のトレード戦略を維持しよう、この水準まで来たら戦略を再考しよう、などのシナリオをいくつも想定しておけば落ち着いて対処することも可能になります。
また、相場の急変動時は大きな利益を得られるチャンスでもあるのですぐに取引をしたくなりますが、焦って参入した結果が「底値で売ってしまった(天井で買ってしまった)」では目も当てられません。相場の嵐に飛び込むわけですから、事前に自分のトレード戦略や心構えをしたうえで参入したいところです。
なお、急変動が起きた場合の上値・下値目処を想定する際にも過去の高値・安値などは参考になります(もちろん変動幅次第では役に立たないこともありますが)。今回のドル円急落前に事前に想定できる下値目処は9月9日安値の141.51円、心理的節目の140.00円、7月14日高値の139.39円などでしょうか。機能した水準、しなかった水準など様々ですが、急な変動に備えて事前に上値・下値目処を確認しておくことも重要です。