相場が不安定だからこそ、チャート分析に頼りたい
世界的なインフレの高進を受けて、各国が金融引き締めを実施。一方で、緩和政策を維持する日本円は売りに押され、円が対ドルで24年ぶりの安値を更新しており、外国為替市場は最近荒い値動きを続けています。
こうした相場の先行きが読みにくい状況でトレードを助けるツールとなるのがテクニカル分析です。ここでは基礎からチャート分析を取り上げていきますので、トレードの参考になれば幸いです。
テクニカル分析のメリットとは
さて、ここでテクニカル分析の大きなメリットをご紹介。外国為替証拠金取引(FX)を行う際には様々な知識が必要となります。ドル円の取引ではあれば、日本と米国の経済状況、それぞれの金融政策や経済指標の分析などです。
これらはテクニカル分析と対をなすファンダメンタルズ分析というものですが、テクニカル分析を主軸にトレードを行うつもりであれば、こうしたファンダメンタルズ分析に大きな時間を割く必要はなくなります。
これは「市場の値動きは全てを織り込んでいる」という考え方によるもので、市場の価格形成がファンダメンタルズを織り込んでいるならば、価格推移の分析・予測に集中すれば良いということです。
もちろん弱点もないわけではなく
ではテクニカル分析は最強では?と思われるかもしれませんが、世の中そんなには上手くいかないものです。大きな弱点もあります。
下の画像はスイスフラン円のチャートですが、6月16日の16時過ぎに急変動。それまでは徐々に値を下げる展開が続いていましたが、この時を境に一転して上昇しており、相場の流れが大きく変化しました。
ちなみにこの時にチャート分析をしても相場の反転につながる材料は見当たりません。この日何があったかと言うと、スイスの中央銀行(SNB)による予想外の政策金利引き上げです。テクニカル以外の材料で大きな相場変動があったわけですね。こういった状況にはチャート分析も無力となってしまいます。
事前の準備でリスクを回避
ただ、こうした状況にも対処する方法はあります。いわゆる「君子危うきに近寄らず」というものですね。各国の金融政策公表日ですと、前年末の時点ですでに発表されており、この日発表されることが分かっていれば回避することは可能でした。
また、市場の注目が現在のようにインフレに集まっているのであれば、例えばドルの取引をしている場合、米消費者物価指数(CPI)の発表日には事前に持ち高を減らす、決済するなどの対処もできるでしょう。
このような「避けられるリスク」(ここでいうリスクとは予測と反対方向に動くことではなく、予想外の変動が起こり得るという意味です)は、避けるに越したことはないです。
より効率的な投資を目指すのであれば
テクニカル分析を中心に据えるのであればファンダメンタルズ分析に時間を割かなくても大丈夫、と述べた前述の文章に矛盾するようですが、テクニカル分析を主軸にしても最低限の経済ニュースは確認しておきましょう。流し読みでも結構です。
そこで市場の注目しているテーマを把握し、相場が急変動を起こしそうな可能性があるイベント・経済指標の日を避けるだけもトレードの勝率アップにつながると思います。
では、次回から具体的なチャート分析について解説していきたいと思います。