今回解説していく通貨は豪ドル円です。豪準備銀行(RBA)は17-18日に次回の金融政策決定理事会を開催する予定となっていますが、前回の会合(5月6-7日)ではインフレ緩和が予想よりも遅いとの見解を示したほか、金利引き上げについて議論していたことが明らかになりました。
ただ、その後に豪政府はインフレ対策として光熱費と家賃の軽減措置を盛り込んだ年次予算案を発表。豪財務省の試算によるとインフレ率は今年中にRBAの目標である2-3%に戻る可能性があるとしています。豪予算案を受けてRBAが金融政策方針を変化させるのか注目となりますが、チャート上でも豪ドル円の状況を確認していきましょう。
豪ドル円の週足分析
下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。前回の分析(3月13日)からどのように推移したかを見ていきますと、2020年3月安値を起点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)が依然として継続中。節目の100円も突破して4月後半には104.94円まで上値を試す場面も見られました。その後は政府・日銀による為替介入の影響で一時売りに押されたものの、足もとでは再び高値圏に戻しています。
チャート下部に追加した「DMI」でも+DI>-DIの傾向がはっきりとしており、現状が明確な上昇トレンドであることを示唆。さらにはトレンドの強さを示すADXが急上昇しています。
目先は前述した2020年3月安値を起点とする上昇トレンドラインや2023年3月安値を起点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)などを目処にした押し目買い方針が有効となりそうです。なお、2023年3月安値を起点とする上昇トレンドラインは本日時点で99.20円台に位置しており、1カ月後には100.20円付近まで上昇する見込みとなっています。
豪ドル円の月足分析
では、今後の上値目標を探るためにより長期の視点で見ていきましょう。下図のチャートは豪ドル円の月足チャートになります。2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)、2023年3月安値を起点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)は週足分析で紹介したものと同じものです。
今後は2013年4月高値の105.43円や2007年10月高値の107.87円(いずれもチャート上の丸で囲った部分)などが上値目標として意識されそうです。
なお、今回はチャート下部に「MACD」も追加してあります。MACDは2021年以降ずっとプラス圏にあり、上昇トレンドが続いていることを示唆。さらに2023年はMACDヒストグラムがほぼ横ばい気味での推移となっていましたが、2024年に入ってからは再び上昇し始めており、トレンド勢いを取り戻しつつある様子もうかがえます。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日・豪の金融政策。前述したようにRBAの金融政策方針の変化に注意する必要があるほか、日銀についても市場では政策正常化観測が根強いだけに、相場の反応が気になるところです。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
6月13-14日 日本 日銀金融政策決定会合
6月17-18日 豪州 豪準備銀行(RBA)理事会
6月21日 日本 5月全国消費者物価指数(CPI)
6月26日 豪州 5月CPI
7月2日 豪州 RBA理事会議事要旨