今回紹介する指標は「DMI」です。「Directional Movement Index」の頭文字を取ったもので、日本語では「方向性指数」と呼ばれています。オシレーター系指標でありながら、トレンドの有無や強弱なども把握することが可能な便利な指標です。
DMIの計算式
DMIの計算式は以下の通り。非常に複雑なのでここは流し読みでも結構です。重要なのは指標の考え方と利用の仕方なので、そこはしっかりと把握しておきましょう。
(1)DMを求める
① 当日高値が前日高値より高ければ、当日高値-前日高値が+DM
② 当日安値が前日安値より低ければ、前日安値-当日安値が-DM
③ ①と②の両方の条件を満たした場合、当日高値-前日高値と前日安値-当日安値で値幅の大きな方を採用。採用されなかった方は「0」として扱う
④ ①と②の両方とも条件を満たさなかった場合、+DM・-DMともに「0」として扱う
(2)TR(True Range)を求める
①当日高値-当日安値
②当日高値-前日終値
③前日終値-当日安値
TRは①から③の中で最大の値を採用
(3)DIとDX、ADXを求める
+DI = +DMのn日間合計 ÷ TRのn日間合計
-DI = -DMのn日間合計 ÷ TRのn日間合計
DX = |(+DI - (-DI)) ÷ (+DI + (-DI))|
DXは絶対値として計算します
ADX = DXのn日間平均
上記の計算式で使用している「n」は任意のパラメーターであり、自由に設定が可能です。一般的には14などが使用されます。
DMIの使い方、売買シグナルは?
さて、ここからは重要なDMIの考え方、相場を判断する際の利用の仕方についてみていきましょう。
DMIは基本的チャート上で+DIと-DI、ADXを表記します。簡単に説明すると、+DIの数値が-DIより大きい場合を上昇トレンド、-DIの数値が+DIより大きい場合を下降トレンド、となります。また、ADXはトレンドの強さを示し、ADXの水準が高い時はトレンドがあると判断します。
上図はドル円の日足チャート。下部に「n=14日」としたDMIが加えてあります。それぞれ青線が+DI、黄線が-DI、赤線がADXです。
基本的な売買シグナルは+DIが-DIを上抜けた時が買いシグナル、-DIが+DIを上抜けた時が売りシグナルとなります。上図のドル円チャートでもある程度、売買のタイミングを掴めていますね。
一方で、2022年の初めのころは「ダマシ」と思われるシグナルも出ているようです。これはADXの数値が低下しており、「トレンドが弱い=トレンドがない」ことと関係があります。このような状況では相場の方向感がないと割り切って、他のオシレーター系指標などを使用し、逆張り投資などで対処することを考慮してみましょう。