今回解説していく通貨はユーロドルです。欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)は現在、政策金利の据え置きを続けていますが、両中銀ともに近い将来利下げが開始されることになるでしょう。市場では利下げ開始時期やその後の利下げペースなどを巡って思惑が交錯しており、ユーロドル相場にも影響を与えているようです。では、チャート上でもユーロドルの状況を確認していきましょう。
ユーロドルの週足分析
下図のチャートはユーロドルの日足チャートになります。前回の解説(2月7日)からの経過をみていくと、2月14日に1.0695ドルまで下落する場面がありましたが、その後は下値を切り上げる展開に。ただ、節目の1.1000ドルの回復には至らず、足もとでは再び売りに押される展開となっています。
週足ベースで見ると前回も指摘した1.05-1.10ドル台を中心としたレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)が続けていることが確認できます。チャート下部に追加した「DMI」で見ても、現状では+DIと-DIが接近。明確なトレンドが出ていないほか、トレンドの強さを示すADXが一段と低下していることも気懸かりです。
ユーロドルの日足分析
週足分析ではトレンドが出ていないことがうかがえましたが、今度は日足チャートで今後のトレンドの手掛かりを探っていきましょう(下図のチャート)。
2月14日安値を起点とする短期の上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)を今月に入って下抜け、現在は短期的な下落トレンドにあるようです。ただ、昨年10月安値を起点とした上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)は現在も機能。目先は同線を維持できるかがポイントとなりそうですね。
また、別の視点でみると現状の形状は「ヘッド・アンド・ショルダーズ」を形成しかけているようにも見えます。チャート上の赤丸で囲った部分がショルダー(肩)、青丸で囲った地点を結んだライン(チャート上の青色実線)がネックラインです。ヘッド・アンド・ショルダーズはネックラインを下抜けると完成となりますので、今後はネックラインとの関係にも注意が必要となります。
それでは現在の日足分析をまとめておきましょう。
① 現在は10月安値を起点とした上昇トレンドラインが機能。上値を徐々に切り下げていることが気懸かりですが、まずはこの線との攻防が注目です(現在は1.0770ドル台、1カ月後には1.0830ドル付近に位置)。上昇トレンドが維持できれば1.10ドル台の回復を狙った買い戻しも期待できそうです。
② ①のトレンドラインをブレイクすると下値リスクが拡大。その際に次の目処になるのが2月14日につけた直近安値の1.0695ドルです。
③ 次の目標はヘッド・アンド・ショルダーズのネックライン(現在は1.0670ドル台、1カ月後には1.0660ドル台に位置)。このラインを下抜けるとヘッド・アンド・ショルダーズが完成。一段と下値余地が広がり、週足分析で指摘したレンジ相場のブレイクも視野に入ってくるでしょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は4月11日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の金融政策。市場のメインシナリオは6月理事会からの利下げ開始ですが、直近でもスイス国立銀行(SNB)などがサプライズ的な利下げを行ったため注意が必要になります。また、4月30-5月1日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)を見据えて、米インフレ指標の動向にも注目しておきましょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
3月29日 米国 2月PCEコア・デフレーター
4月3日 ユーロ圏 3月消費者物価指数(HICP、速報値)
4月5日 米国 3月米雇用統計
4月10日 米国 3月CPI
4月11日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会
4月26日 米国 3月PCEコア・デフレーター