今回解説していく通貨はユーロ円です。欧州中央銀行(ECB)は先週開催された会合で政策金利を3.75%から4.00%へ引き上げたほか、今後も金融引き締め姿勢を継続する姿勢を示しました。一方で、日銀は同じく先週の金融政策決定会合で現在の大規模緩和政策を維持することを決定。日・欧金融政策の方向性の違いが改めて確認され、円売り・ユーロ買い材料として意識されています。では、チャート上でもユーロ円の状況を確認していきましょう。
ユーロ円週足分析
下図のチャートはユーロ円の週足チャートになります。長期視点では2022年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)が継続中であり、他のテクニカル指標を併用しなくても理解できる明確な上昇トレンドとなっています。
また、2020年5月安値を始点として考えると、チャート上の青丸部分を経由した「エリオット波動」と捉えることもできそうです。現在は上昇の推進波・第3波に当たるでしょう。
今後の上値目標は2008年7月高値の169.96円(チャート上の赤丸部分)。現水準からやや遠く感じますが、過去3カ月間でのユーロ円の上昇幅が15円ほどなので、今後も同程度の速度で上昇していけば今年中に高値を更新する可能性も否定はできません。
その一方で、足もとの上昇ペースが急ピッチであるため調整の可能性も視野には入れておきたいところです。前述の上昇トレンドは現時点で142.40円付近、1か月後には143.60円付近まで上昇する見込み。このトレンドラインが下値の目処となりますが、過去に何度か意識されてきた150.00円も重要なポイントです。調整が入った場合はまず同水準付近を維持できるかが試金石となりそうです。
ユーロ円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。2022年3月安値を始点とする上昇トレンド(黄色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。
週足分析では上値目標について指摘しましたが、今度は目先の上値目処を確認していきましょう。前述の上昇トレンドを利用して今回は「チャネルライン」を引いてみました。2022月6月高値を起点としたチャネルラインは現在158.60円付近で推移しており、1か月後には159.80円付近まで切り上がる予定となっています。このチャネルラインは上値目処として意識しておきたいところです。
もっとも、チャネルラインは複数引くことができるという特徴を以前に解説したかと思います。ちなみに2022年4月高値を起点としたチャネルライン(チャート上の黄色点線)も過去に何度か機能した有力なレジスタンスと言えるでしょう。このチャネルラインの場合ですと現在156.30円付近、1か月後に157.50円付近と非常に現水準に近く、ここからは上値余地も限られるという計算になります。こちらにも注意が必要です。
今後のイベントは
最後に今後1か月間の重要イベントも確認しておきます。期間内には日・欧の金融政策も予定されておらず、相場を大きく動かすようなイベントも控えめ。もっとも、足もとのドル円相場の上昇を本邦当局が注視していることには注意が必要となります。昨年実施された為替介入の一時的なインパクトは記憶に新しいと思いますが、ユーロ円も含めて円相場全般に影響を及ぼすことになります。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
6月23日 日本 5月全国消費者物価指数(CPI)
6月30日 ユーロ圏 6月消費者物価指数(HICP、速報値)
7月21日 日本 6月全国消費者物価指数(CPI)