今回紹介する「パラボリック」もトレンド分析系の指標となります。チャート上に放物線の形状をした線で表され、トレンドの方向性がはっきりと分かることが特徴です。
放物線状のラインで相場状況を把握
パラボリックは価格線の上下どちらかにSAR(Stop And Reverse=ストップ・アンド・リバース)と呼ばれる線が付加されます。このSARが放物線状(英語でParabolic)のラインとなることからパラボリックと呼称されています。計算式は以下の通りです。
当日SAR = 前日SAR + 加速因数 × ( EP - 前日SAR )
※EPは上昇トレンドの場合はその期間内の最高値、下降トレンドの場合はその期間内の安値
※加速因数は一般的に初期値が0.02、以降はEPが更新されるごとに0.02ずつ増加、最大値が0.2、が妥当とされています。
売買タイミングは一目瞭然
では実際にパラボリックを見ていきましょう。下図はドル円の日足チャート。加速因数は上記の通り、0.02 0.02 0.2の設定です。
パラボリックでは日足の下にSARがあった場合を上昇トレンド、日足の上にSARがあった場合を下降トレンドと判断します。
買いシグナルは日足がSARを上抜けた地点、売りシグナルは日足がSARを下抜けた地点です。SARが日足を跨いだ時とも言えますので、売買タイミングが一目瞭然ですね。非常に簡潔で分かりやすく、上図のドル円チャートを見る限りでは、総じてトレンド転換を上手く把握できているようです。
横ばいトレンドでは機能せず
次にユーロ円の日足チャートでもパラボリックを確認します。今回注目していただきたいのは四角で囲った部分、いわゆる横ばいトレンドやボックス圏と呼ばれる、強いトレンドが出てない状況のところです。
横ばいトレンドではパラボリックの判断が遅れがちになり、上手く機能していないことがお分かりいただけると思います。
パラボリックはトレンド分析系の指標である特性上、明確なトレンドが出ていない時には有効とは言えなくなります。これまでに紹介してきた複数の指標と組み合わせて相場の方向性を判断し、相場の「だまし」をできるだけ避けるように対処しておきたいところです。