今回紹介するオシレーター系指標は「サイコロジカル・ライン」です。サイコロジカルの名前の通り「心理的な」状況を示す、日本生まれのオシレーター系指標となります。
相場の過熱感をシンプルに表現
サイコロジカル・ラインは終値ベースである一定期間のうち、上昇した日数が何%を示しているか示したもので、計算式もいたってシンプル。
サイコロジカル・ライン = n日間のうち前日比で上昇した日数 ÷ n × 100
上記の計算式で使用している「n」は任意のパラメーターであり、自由に設定が可能です。一般的には12などが使用されます。
サイコロジカル・ラインの基礎となっている考え方は投資家心理です。前日から上昇した日が続けば続くほど、投資家心理としては「そろそろ下がるだろう」との考え方が頭をもたげます。逆の場合も同じで相場の下落が続けば「そろそろ持ち直すだろう」との判断が広がりやすくなります。
こうした投資家心理を指数化することで相場の強弱感や買い場、売り場を見極めようとするもので、一般的には数値が75%以上で過熱感が強く、下落する可能性が高いと判断。数値が25%以下で相場が冷え込んでおり、反発する可能性が高いと判断します。
n=12日間で前日比上昇を勝ち、前日比下落を負けとするならば、9勝3敗が75%ライン、3勝9敗が25%ラインということになりますね。
サイコロジカル・ラインが相場の先行指標に
前述したようにサイコロジカル・ラインは非常にシンプルで分かりやすいのが特徴。また、傾向としてサイコロジカル・ラインの方が実際の相場よりも早めにピーク・ボトムをつけやすく、相場の反転が予想されるという判断も可能です。
上図はドル円の日足チャート。下部に「n=12日」としたサイコロジカル・ラインが加えてあります。実際の相場よりも多くの場面でサイコロジカル・ラインがピーク・ボトムを早くつけていることがお分かりいただけると思います。
サイコロジカル・ラインの弱点 RSIとの違いとは?
このように相場の過熱感を分かりやすく判断できるサイコロジカル・ラインですが、終値を基準に前日比で上昇したか下落したかのみを判断基準とするため、相場の値幅を全く考慮していないという弱点も持っています。
例として挙げるならば、ドル円が前日比で3円上昇していようとも、3銭の上昇でしかなくても、サイコロジカル・ラインの考え方では同じ1勝ということになります。投資家心理からすれば3円の大幅上昇であれば、1日の上げ幅だけで判断しても「買われ過ぎ」と捉える方も多いかもしれませんが、サイコロジカル・ラインからは判断できません。
これに対して相場の値幅を材料に相場の過熱感を判断したものが、以前に紹介したRSIです。RSIは逆に上昇・下落した日数は考慮されていません。どちらが優秀ということではなく、複数のオシレーター系指標を駆使して相場の強弱感は判断したいところです。