今回解説していく通貨はNZドル円です。NZ準備銀行(RBNZ)は前週に開催された金融政策決定会合で市場予想に反して金利の引き下げを決定(5.50%から5.25%へ)。欧州各国に次いで金融政策方針を変更するに至りました。また、RBNZは今後さらなる利下げを行う可能性も示唆しており、日・NZの金利差は今後も縮小していくことになるでしょう。金利差縮小への思惑が相場に与える影響が注目されますが、チャート上でもNZドル円の状況を確認していきます。
NZドル円の週足分析
下図のチャートはNZドル円の週足チャートになります。前回の分析(6月5日)からどのように推移したかを見ていきますと、2007年7月につけた直近高値の97.79円を上抜けて、7月10日には99円台を示現。節目となる大台の100円到達も視野に入っていましたが、その後は円全面高の流れに沿って8月5日には83.07円まで失速しました。現在(19日執筆時点)では89円台までやや買い戻しが入っています。
7月からの急落局面では昨年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)、2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)をいずれもブレイク。その後の買い戻し局面でも上昇トレンドラインの回復には至っておらず、前週に紹介したユーロ円などと比較すると相対的なNZドルの重さが目立っています。
また、チャート下部に追加した「DMI」も-DI>+DIとなっており、現在が下落トレンドであることを示唆。トレンドの強さを示すADXも高水準を維持しており、現在の買い戻し局面で上昇トレンドラインの回復に失敗すると再び売り圧力が強まる可能性もありそうです。
NZドル円の日足分析
今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。2020年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)や昨年3月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)は週足で紹介したものと同じものです。今回はさらに「MACD」もチャートに加えてあります。
MACDは8月上旬の段階で早々にボトムアウトしており、日足レベルでは買いシグナルを示しています。MACDが今後プラス圏に浮上すればさらに買いシグナルも強固なものとなりますが、現状ではゼロ水準まで遠く、もう少し時間が必要となるでしょう。
戻りの目処としては前述した上昇トレンドラインのほかに、4月19日安値の89.96円(チャート上の青色実線)、7月30日高値の91.53円(チャート上の青色点線)なども目処として意識されそうです。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきましょう。期間内にはNZから目立ったイベントは予定されておらず、注目は日銀の金融政策となるでしょう。また、利上げ後の株価乱高下などを巡って8月23日には衆参両院の閉会中審査で植田総裁の意見聴取が行われ、こちらにも注目が集まっています。その他では岸田首相が総裁選への不出馬を表明するなか、自民党総裁選の行方にも注意が必要となります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
8月23日 日本 7月全国消費者物価指数(CPI)
9月19-20日 日本 日銀金融政策決定会合
9月20日 日本 8月全国消費者物価指数(CPI)
9月27日 自民党総裁選