今回紹介するのはRSIと並んで代表的なオシレーター系指標である「ストキャスティクス」です。RSIと似通った点も多い指標ですが、その違いや活用方法などもしっかりと理解していきましょう。
当日終値の位置関係を数値で示す
RSIは一定期間内の上昇幅や下落幅を計算の基準として使用しましたが、ストキャスティクスで使用するのは高値と安値、そして終値です。ストキャスティクスでは終値の高値・安値に対する相対的な位置関係が示されます。計算式は以下の通りです。
%K = (C - Ln) ÷ (Hn - Ln) × 100
%D = (H3 ÷ L3) × 100
Slow%D = %Dの3日移動平均
C:当日終値 Ln:過去n日間の最安値 Hn:過去n日間の最高値
H3:(C - Ln)の3日間合計 L3:(Hn - Ln)の3日間合計
上記の計算式で使用している「n」は任意のパラメーターであり、自由に設定が可能です。一般的には9、14など使用されます。
計算式を見ただけでは分かりにくいと思いますが、要するに%Kは過去n日間の最安値を0、最高値を100とした場合、当日の終値はどの位置にいるのかを示したものです。
ストキャスティクスもRSIと同様に通常「70もしくは80以上が買われ過ぎ水準」、「30もしくは20以下が売られ過ぎ水準」とし判断されます。
誤った売買シグナルを避けるために
では実際にストキャスティクスを見てみましょう。下図はドル円の日足チャート。下部に「n=14日」とした%Kが加えてあります。
%Kが頻繁に上下に振れており、どうにも判断が難しいように感じませんか。%Kは反応が敏感過ぎるため、単独で使用すると誤った売買シグナルが頻出してしまう弱点があります。
こうした問題を解決するため、%Kだけでなく%DやSlow%Dを併用して使用することがお勧めです。%DやSlow%Dは移動平均など使って、%Kの推移をより滑らかにしたものとなっています。
ゴールデン・クロスやデッド・クロスで「ダマシ」を回避
上図は先ほどと同じドル円の日足チャート。下部に「n=14日」とした%Kと%Dが加えてあります。%Dが%Kの推移と比べて滑らかになっていることが分かると思います。
このまま%Dの水準を利用して売買のサインに使用することもできますが、ストキャスティクスではRSIと同様に複数表示することでゴールデン・クロスとデッド・クロスの判断をすることが可能です。ストキャスティクスの水準とゴールデン・クロスやデッド・クロスを組み合わせたやり方であれば、いわゆる相場の「ダマシ」もかなり避けられるでしょう。
ストキャスティクスでも「ダイバージェンス」は利用可能
また、ストキャスティクスでは「ダイバージェンス」の考え方もRSIと同様にすることができます。
相場が上値を切り上げている局面で、ストキャスティクスが上値を切り下げていく状態が「弱気のダイバージェンス=売りシグナル」
相場が下値を切り下げている局面で、ストキャスティクスが下値を切り上げていく状態が「強気のダイバージェンス=買いシグナル」
それぞれトレンドの転換を示唆するシグナルとなりますので、相場判断に利用してみて下さい。