今回解説していく通貨はユーロドルです。欧州中央銀行(ECB)に続いて、米連邦公開市場委員会(FOMC)も9月に金融緩和方向へと舵を切りました。欧米の金融政策の方向性は利下げ方向で一致。ここからは両中銀の利下げペースなどをにらんだ取引となるでしょう。
また、米国ではトランプ前大統領が返り咲きを果たした一方、欧州の主要国ドイツでは連立政権が崩壊。政局の先行き不透明感が高まっており、しばらくは欧米の政治状況についてもチェックする必要がありそうです。では、チャート上でもユーロドルの状況を確認していきましょう。
ユーロドルの週足分析
下図のチャートはユーロドルの週足チャートになります。前回の解説(6月26日)からの経過をみていくと、8月から9月にかけて1.12ドル台まで上値を試したものの、2023年来のレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)はブレイクできず。足もとでは1.04ドル台まで押し戻されており、一転してレンジ下限を試す動きとなっています。
ここからはレンジ相場の下限(チャート上の丸で囲った部分)である昨年10月安値の1.0448ドルをトライできるかがポイントに。同水準を下抜けると2022年安値の0.9536ドルまで下値余地が拡大します。
チャート下部に追加した「DMI」で見ると、現在は-DI>+DI(下落トレンド)になっており、トレンドの強さを示すADXも2022年から2年近く低下を続けていましたが、ここにきてようやく低下基調も一服。週足ベースでの下落トレンドがじわりと強まりつつあることがうかがえる状況です。
ユーロドルの月足分析
今度はより長期の月足チャートでもトレンドを確認していきましょう(下図のチャート)。月足で見ると2008年からの長期に渡る下落トレンドが続いているようです。今年8月から9月にかけて上昇した際もこの下降トレンドラインがレジスタンスとして機能。やはり現在は上値の重さを確認した局面と考えてよさそうです。
ここから注目すべきポイントは週足分析でも紹介した2022年安値の0.9536ドル(チャート上の丸で囲った部分)。チャート上でもはっきりと分かりますが、同水準を下抜けるとその後は下値目処と思われるポイントが全くなく、2000-02年安値の0.82ドルから0.85ドルのゾーン(チャート上の四角で囲った部分)まで一段と下値余地が広がることになります。
また、チャート上に加えた「チャネルライン(チャート上の青色点線)」ではそれ以上の下げ余地があることを示唆。さすがにここまでの下落が一気に進むとは考えにくいですが、長期視点での下値余地が相当あるということは頭に入れておくべきでしょう。
今後のイベントは
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は年内最後となる欧米の金融政策。現時点では欧州中央銀行(ECB)と米連邦公開市場委員会(FOMC)はいずれも25bpの利下げを実施する見込みとなっています。ただ、先行きについては不確定要素も多いだけに、両中銀総裁の発言などから来年以降の金融政策に関するヒントを探りたいところです。
また、12月中旬に予定されているショルツ独首相の信任投票にも注目。来年2月には総選挙も実施される見込みとなっており、独政局の行方にも注意しておきましょう。その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
11月27日 米国 10月PCEコア・デフレーター
11月29日 ユーロ圏 11月消費者物価指数(HICP、速報値)
12月6日 米国 11月米雇用統計
12月11日 米国 11月消費者物価指数(CPI)
12月12日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会
12月17-18日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
12月20日 米国 11月PCEコア・デフレーター