各国のイベント・指標などを解説し、事前に避けられるリスクを把握しようという試みですが、今回は残りの国々を簡単にご紹介。カナダ、スイス、南アフリカ、トルコ、メキシコです。
カナダ・スイスで重要なイベント・指標とは
・カナダ銀行(BOC)、CPI、雇用統計
カナダで最も注目を集めるのは、やはり中銀の金融政策です。中央銀行であるカナダ銀行(BOC)は年8回、金融政策決定会合を開催しており、政策金利はもちろん声明文の内容なども注目されます。
また、CPIや雇用統計も注目イベント。BOCは2%のインフレ目標を設定しており、CPIの推移には注意が必要となります。また、雇用統計に対しても時折カナダドルが反応を示すことがあります。
その一方で、カナダのCPIや雇用統計などは日本時間22時30分(夏時間は21時30分)に公表されるため、同時刻に注目の米経済指標が発表される場合、相場の反応が米指標の方に引っ張られるケースが多いことは覚えておきましょう。
・スイス国立銀行(SNB)
スイスの中央銀行に当たるスイス国立銀行(SNB)は年4回、四半期ごとに金融政策決定会合を開催します。主要中央銀行の中では最も開催回数が少なく、しばらくマイナス金利を維持してきたため、近年では市場の反応も限定的でした。
ただ、SNBは昨年6月になって実に15年ぶり(!)の利上げを実施。その後も9月、12月会合で連続利上げを実施し、現在ではマイナス金利も脱しています。今後もSNBの金融政策には注目が集まるでしょう。
また、SNBはユーロスイスフランの動向を注視しており、過去には1ユーロ=1.2フランの水準を防衛するために無制限の介入を実施し、その政策を突如変更したことで市場に大混乱をもたらしました。現在では特定の水準を維持するような対応はしていませんが、中銀関係者の発言にも注意しておきたいところです。
南アフリカ・トルコ・メキシコで重要なイベント・指標とは
ここからは他の新興国について簡単に紹介していきます。基本的には中銀の金融政策が注意すべきポイントになりますが、各国独自の特徴についても把握しておきましょう。
・南アフリカ
中央銀行に当たる南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策のほか、政治リスクも注意しておきましょう。昨年にはラマポーザ大統領の汚職疑惑と、それに伴う辞任騒動などでランド相場が動意づいた場面も見られました。なお、南ア国会が大統領の弾劾手続きを否決したことで、騒動は落ち着きつつあります(汚職疑惑の捜査は継続中)。
・トルコ
トルコ中央銀行の金融政策がポイントですが、この国の事情は少し複雑です。エルドアン大統領が「インフレ抑制のためには利下げが有効」との考え方を基に、利上げで対応しようとした中銀総裁などの金融政策決定会合メンバーを更迭。新たに選んだメンバーに利下げを要求し、結果、インフレ下の金利引き下げが続いてきました。
中銀は現在、利下げサイクルはいったん終了との見解を示していますが、大統領からの利下げ圧力が再び強まった場合は利下げへと向かう可能性もあるでしょう。今後も中銀関係者より大統領の発言が注目されそうです。
なお、トルコでは今年大統領選挙が実施されます。大統領が変わった場合は中銀の金融政策も大きく転換する可能性があり、注意が必要です。
・メキシコ
注目材料としてはやはり、中央銀行であるメキシコ銀行の金融政策が挙げられます。また、新興国全般に言えることですが、主要格付け機関(ムーディーズ、S&P、フィッチ)などによる格付けも市場では意識されています。