FX 誰にでもわかるチャート教室

第28回 避けられるリスク(その他の国編)

各国のイベント・指標などを解説し、事前に避けられるリスクを把握しようという試みですが、今回は残りの国々を簡単にご紹介。カナダ、スイス、南アフリカ、トルコ、メキシコです。


カナダ・スイスで重要なイベント・指標とは

カナダ銀行(BOC)、CPI、雇用統計

カナダで最も注目を集めるのは、やはり中銀の金融政策です。中央銀行であるカナダ銀行(BOC)は年8回、金融政策決定会合を開催しており、政策金利はもちろん声明文の内容なども注目されます。

また、CPIや雇用統計も注目イベント。BOCは2%のインフレ目標を設定しており、CPIの推移には注意が必要となります。また、雇用統計に対しても時折カナダドルが反応を示すことがあります。

その一方で、カナダのCPIや雇用統計などは日本時間22時30分(夏時間は21時30分)に公表されるため、同時刻に注目の米経済指標が発表される場合、相場の反応が米指標の方に引っ張られるケースが多いことは覚えておきましょう。


スイス国立銀行(SNB)

スイスの中央銀行に当たるスイス国立銀行(SNB)は年4回、四半期ごとに金融政策決定会合を開催します。主要中央銀行の中では最も開催回数が少なく、しばらくマイナス金利を維持してきたため、近年では市場の反応も限定的でした。

ただ、SNBは昨年6月になって実に15年ぶり(!)の利上げを実施。その後も9月、12月会合で連続利上げを実施し、現在ではマイナス金利も脱しています。今後もSNBの金融政策には注目が集まるでしょう。

また、SNBはユーロスイスフランの動向を注視しており、過去には1ユーロ=1.2フランの水準を防衛するために無制限の介入を実施し、その政策を突如変更したことで市場に大混乱をもたらしました。現在では特定の水準を維持するような対応はしていませんが、中銀関係者の発言にも注意しておきたいところです。



南アフリカ・トルコ・メキシコで重要なイベント・指標とは

ここからは他の新興国について簡単に紹介していきます。基本的には中銀の金融政策が注意すべきポイントになりますが、各国独自の特徴についても把握しておきましょう。


南アフリカ

中央銀行に当たる南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策のほか、政治リスクも注意しておきましょう。昨年にはラマポーザ大統領の汚職疑惑と、それに伴う辞任騒動などでランド相場が動意づいた場面も見られました。なお、南ア国会が大統領の弾劾手続きを否決したことで、騒動は落ち着きつつあります(汚職疑惑の捜査は継続中)。


トルコ

トルコ中央銀行の金融政策がポイントですが、この国の事情は少し複雑です。エルドアン大統領が「インフレ抑制のためには利下げが有効」との考え方を基に、利上げで対応しようとした中銀総裁などの金融政策決定会合メンバーを更迭。新たに選んだメンバーに利下げを要求し、結果、インフレ下の金利引き下げが続いてきました

中銀は現在、利下げサイクルはいったん終了との見解を示していますが、大統領からの利下げ圧力が再び強まった場合は利下げへと向かう可能性もあるでしょう。今後も中銀関係者より大統領の発言が注目されそうです。

なお、トルコでは今年大統領選挙が実施されます。大統領が変わった場合は中銀の金融政策も大きく転換する可能性があり、注意が必要です

 

メキシコ

注目材料としてはやはり、中央銀行であるメキシコ銀行の金融政策が挙げられます。また、新興国全般に言えることですが、主要格付け機関(ムーディーズ、S&P、フィッチ)などによる格付けも市場では意識されています。

この連載の一覧
第93回 メキシコペソ円、上昇トレンドは健在だが・・
第92回 トルコリラ円、大きなチャンス到来か
第91回 豪ドル米ドル、上方向は攻めづらい
第90回 NZドル米ドル、トレンド転換につながる注目ポイントに接近
第89回 ユーロドル、ヘッド・アンド・ショルダーズの完成なるか
第88回 ドル円、5月中にも上方向へブレイクか
第87回 豪ドル円、上昇トレンド継続に黄色信号
第86回 NZドル円、上昇トレンド継続も目先は調整リスク
第85回 ポンドドル、長期下降トレンドの転換は間近?
第84回 ランド円、上昇トレンドは本物か
第83回 メキシコペソ円、レンジブレイクのチャンス到来
第82回 ユーロドル、レンジ相場脱却の手掛かりは乏しい
第81回 トルコリラ円、昨年8月以来のチャンスをものにできるか
第80回 ドル円、上昇トレンドを維持も上値追いは慎重に
第79回 NZドル米ドル、長期下落トレンドのブレイクは失敗か
第78回 豪ドル米ドル、依然として下落トレンド
第77回 ポンド円、来年以降の下値リスクに警戒
第76回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの可能性高まる
第75回 メキシコペソ円、レンジ相場がしばらく継続か
第74回 ユーロドル、メインシナリオはレンジ相場
第73回 ドル円、ポイントは一目均衡表雲の維持
第72回 低迷ぶりが際立つトルコリラ円、反発の可能性は?
第71回 豪ドル円、上値トライのチャンスだが力強さを欠く
第70回 NZドル円、いよいよ過去最高値も視野入りか
第69回 ユーロ円、月足チャートでは不安なし 週足では?
第68回 ポンドドル、一目雲に接近で正念場に
第67回 ランド円、ヘッドアンドショルダーズの懸念消えず
第66回 NZドル米ドルに反発のチャンス到来?
第65回 好調なメキシコペソ円に失速の気配
第64回 ドル円、150円台までは介入の可能性低い
第63回 カナダドル円、110円台への再挑戦が迫る
第62回 リラ円、一目雲を数年来上抜けできず
第61回 今後の豪ドル米ドル相場
第60回 今後のユーロドル相場
第59回 今後のポンドドル相場
第58回 今後のランド円相場
第57回 今後のNZドル円相場
第56回 今後のドル円相場
第55回 今後のメキシコペソ円相場
第54回 今後のトルコリラ円相場
第53回 今後の豪ドル円相場
第52回 今後のNZドル米ドル相場
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第50回 今後のユーロ円相場
第49回 今後の豪ドル米ドル相場
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第40回 今後のドル円相場
第39回 ダウ理論とエリオット波動(3)
第38回 ダウ理論とエリオット波動(2)
第37回 ダウ理論とエリオット波動(1)
第36回 ローソク足(3)
第35回 ローソク足(2)
第34回 ローソク足(1)
第33回 一目均衡表(4)
第32回 一目均衡表(3)
第31回 一目均衡表(2)
第30回 一目均衡表(1)
第29回 リトレースメント
第28回 避けられるリスク(その他の国編)
第27回 避けられるリスク(英国・オセアニア編)
第26回 避けられるリスク(日本・欧州編)
第25回「誰にでもわかるチャート教室」 避けられるリスク(米国編)
第24回「誰にでもわかるチャート教室」 ポイント&フィギュア
第23回「誰にでもわかるチャート教室」 練行足とカギ足
第22回「誰にでもわかるチャート教室」 新値足
第21回「誰にでもわかるチャート教室」 パラボリック
第20回「誰にでもわかるチャート教室」 エンベロープとボリンジャーバンド
第19回「誰にでもわかるチャート教室」 MACD
第18回「誰にでもわかるチャート教室」 ROC
第17回「誰にでもわかるチャート教室」 突発的な急変動に対処する
第16回「誰にでもわかるチャート教室」 DMI
第15回「誰にでもわかるチャート教室」 サイコロジカル・ライン
第14回「誰にでもわかるチャート教室」 RCI
第13回「誰にでもわかるチャート教室」 ストキャスティクス
第12回「誰にでもわかるチャート教室」 RSI
第11回「誰にでもわかるチャート教室」 時間軸の考え方
第10回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その4
第9回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その3
第8回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その2
第7回「誰にでもわかるチャート教室」 フォーメーションあれこれ~その1
第6回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その2
第5回「誰にでもわかるチャート教室」 移動平均線~その1
第4回「誰にでもわかるチャート教室」チャネルラインと外国為替市場の独自性
第3回「誰にでもわかるチャート教室」相場の方向性が一目瞭然、トレンドライン
第2回「誰にでもわかるチャート教室」相場のトレンドを探る
第1回「誰にでもわかるチャート教室」 相場が不安定だからこそ、チャート分析に頼りたい

為替情報部 アナリスト

岩間 大祐

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。 外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

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