投資初心者にとって、リスクの低い少額で投資できる銘柄は魅力的です。今回は、10万円以下で投資できる銘柄の中から、「VTホールディングス」と「新東工業」についてご紹介します。どちらも、配当利回りが高く、株主優待もあるのが特徴ですが、過去には「優待内容の改悪」が行われた経緯もあります。
VTホールディングス(7593)
VTホールディングスは、主にホンダや日産の新車を取り扱う自動車販売会社です。国内外で新車販売を行う他、中古車販売やレンタカー、海外への中古車輸出など、様々な自動車関連事業を行っています。
2025年度の売上高は約3500億円、経常利益は約97億円でした。2026年度は売上高が約3700億円、経常利益は約115億円の予想で、どちらもやや増収・増益となる見込みです。2025年までの経常利益は減益が続いていましたが、今年度は回復が予想されています。
VTホールディングスの株価
2025年8月時点の株価は約480円です。2011年まで約100円だった株価は、2012年頃から上昇し始め、2015年に約800円まで上昇しました。2020年に一時的に約250円まで下落しましたが、2021年には約600円まで回復しています。
2022年以降は、約450円から約550円の間で小さな変動は発生しているものの、長期的にみるとほぼ横ばいを推移しています。
株主優待の内容
VTホールディングスの株主優待は、毎年9月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、「新車・中古車購入」、「車検」、「レンタカー」、「キーパーLABO」利用時にそれぞれ利用できる優待券です。
毎年12月頃に発送され、翌年12月まで約1年間の有効期限となっています。優待券の詳細は、下記の一覧表をご確認ください。
改悪された株主優待の内容
VTホールディングスは、2023年3月末の権利確定日分から、株主優待の内容が改悪されました。この改悪により、3月末の権利確定日に贈呈されていたカタログギフトの贈呈が廃止されています。
2022年度以前は、毎年3月末の権利確定日に1000株から5000株を保有する株主に5000円相当の、5000株以上保有する株主を対象に1万円相当のカタログギフトが贈呈され、9月末の権利確定日に100株以上保有する株主を対象に現在と同じ優待券が贈呈されていました。
配当金は年2回もらえる
2026年度の配当金は、9月末の中間配当で12円、3月末の期末配当で12円の、年間1株当たり24円となる予想です。この金額は、2024年度以降毎年同じ金額が継続しています。株主優待が改悪された2023年度以降、配当金はやや増配しています。
VTホールディングスの利回り
1株480円で100株購入した場合、投資金額は4.8万円になります。配当金額は年間1株当たり24円のため2400円となり、配当利回りは約5.0%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2022年度は約4.6%、2023年度は約4.8%、2024年度は約4.6%、2025年度は4.9%でした。毎年高い配当利回りが継続しています。
新東工業(6339)
新東工業は、世界トップの技術を用いた金属製品の鋳物造りに関する事業や精密部品、金属製品の耐久性・軽量化などの表面処理加工事業を行う、総合機械メーカーです。また、工場の環境改善や製造現場の物流効率、3Dプリンターなどの特殊機器事業など、様々な事業を展開しています。
2025年度の売上高は約1500億円、経常利益は約32億円でした。2026年度は売上高が約1600億円、経常利益は約50億円の予想で、どちらも増収・増益となる見込みです。
新東工業の株価
2025年8月時点の株価は約950円です。比較的株価変動が大きく、2017年に約1500円だった株価は、2020年に約640円まで下落し、2024年には約1300円まで回復しています。2025年3月には再び約740円まで下落していますが、現在は右肩上がりの傾向が見られます。
株主優待の内容
新東工業の株主優待は、毎年9月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、株式の保有数および保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、クオカードです。
クオカードは毎年12月頃に発送されます。株式の保有数および保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。
改悪された株主優待の内容
新東工業は、2019年9月末の権利確定日分から、株主優待の内容が改悪されました。この改悪により、株主優待を受け取るためには、1年以上継続して株式を保有する必要があります。
2019年度以前は、100株を保有する株主には、株式の保有年数が3年未満であれば1000円分、3年以上であれば2000円分のクオカードが贈呈されていました。現在は、贈呈されるクオカードの金額に変更はないものの、投資から最低1年は株主優待を受け取ることができません。
配当金は維持継続
2026年度の配当金は、9月末の中間配当で22円、3月末の期末配当で22円の、年間1株当たり44円となる予想です。この金額は、2024年度以降2年連続同じ金額となっています。
新東工業の利回り
1株950円で100株購入した場合、投資金額は9.5万円になります。配当金額は年間1株当たり44円のため4400円となり、配当利回りは約4.6%です。
また、1年以上継続して保有した場合、株主優待として1000円相当のクオカードが贈呈されるため、配当と優待を合わせた利回りは、約5.6%になります。株式の保有数と保有年数に応じた配当と優待を合わせた利回りの一覧は、下記の表をご参考ください。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2022年度は約3.5%、2023年度は約5.1%、2024年度は約4.1%、2025年度は4.3%でした。
まとめ
VTホールディングスは安定した高配当が続いていますが、株主優待は、改悪により魅力がやや減少しました。一方、新東工業は高配当と使い勝手の良い株主優待は非常に魅力的ですが、株主優待の改悪により長期保有が必須になっています。新東工業は株価変動が比較的大きいため、長期保有にはリスクが伴います。
それぞれのメリットとデメリット、リスクとリターンを理解した上で、投資先として検討してみてはいかがでしょうか?