通貨スワップ
通貨を対象とするデリバティブ(金融派生商品)取引のひとつで、異なる通貨間の金利と元本を交換する(スワップする)取引を、「通貨スワップ」といいます。たとえば、ドル建て社債を発行して、通貨スワップで円に換えれば利払いや元本償還が円になるため、将来の支払いが円貨で確定します。通常は、取引の開始時と終了時に元本の交換が行われますが、元本の交換をせずに金利部分だけを交換する通貨スワップもあり、「クーポン・スワップ」と呼ばれています。
なお、通貨スワップも、金利スワップ同様、取引所を通さずに当事者間で直接取引を行う店頭取引(相対取引)により行いますので、交換する期間や条件等は当事者間であらかじめ取り決めることになります。
通貨スワップ協定
通貨スワップ協定とは、各国の中央銀行が互いに協定を結び、自国の通貨危機の際、自国通貨の預入や債券の担保等と引き換えに一定のレートで協定相手国の通貨を融通しあうことを定める協定のことです。中央銀行間、あるいは政府財務当局と中央銀行の間の協定であり、狭義の国家間条約ではない、いわゆる「国際約束」です。
通貨スワップ協定には2国間で直接外貨を融通し合うスワップ取り決めと、外債を売却し一定期間後に買い戻すレポ取り決めの2種類があります。
通貨スワップ協定が必要となるのは金融取引における制度上の観点と介入資金上の観点があります。前者は中央銀行間の国際約束、後者は政府財務当局と中央銀行との間の国際約束の形態が採られます。
スワップ協定は、通貨危機の際には一時的な外貨準備の増加であると捉えることが可能であるが、自国の資本を使用する外貨準備とは異なり、あくまで他国から借金をして得た一時的なものであるため、介入資金として使用してしまった場合は危険で、金融当局が為替変動によるリスクを直接負担することになります。
スワップ協定ではあらかじめ定めた期限までにこれを返却する必要があります。従って、スワップ協定を使用したあとさらに自国通貨が下落した場合には、返済するために協定相手国の通貨を市場で調達する際にさらなる為替差損を蒙る可能性があります。
中国、32カ国・地域と通貨スワップ協定
中国人民銀行(中央銀行)は世界の32カ国・地域と二国間通貨スワップ協定を結んでいます。地域別でみると、アジア、欧州、アフリカ、米州、オセアニアの主要経済圏と多くの新興市場国をカバーしています。全体で約4兆5000億元と、世界に人民元の流動性を提供しています。中国当局は、通貨スワップ協定が国境を越えた貿易・投資の円滑化を促進することができ、国際経済貿易の発展を推進する重要な役割を果たしているとの見解を示しています。
日本は米国・欧州連合・イギリス・スイス・カナダとの間で、期限無期限・金額無制限の通貨スワップ協定を締結しています。また、複数の国と期限・金額限定で協定を結んでいます。



