度重なる首相・日銀総裁会談、その裏で何が話されているのか
5月22日に高市首相と植田日銀総裁が会談を持ちました。
節目ごとに政権トップと中央銀行総裁が頻繁に会談を行うことは、主要国ではあまり見られず、極めて異例な関係とも言えます。
これまでも、やってはいけないこれだけの理由 第117回「日銀には独立性がないことを知らないでやってはいけない」でも記載していますが
日銀の独立性には以前から疑問符が付いており、政権の意向を無視しにくい傾向があるようにも見えます。
高市首相就任以来、植田日銀総裁との会談とその後の日銀金融政策決定会合の結果を振り返ってみましょう。
第1回・・・2025年11月18日
高市首相就任後初めてとなる正式な会談。
植田総裁は、2%物価目標に向け「徐々に金融緩和の度合いを調整している」と説明し、高市首相も理解を示したとされています。
日銀金融政策決定会合・・・2025年12月18-19日
25ベーシスポイント引き上げを決定。
第2回・・・2026年2月16日
衆院選での与党圧勝後の初会談。
同日発表された10-12月期GDP(予想を下回る伸び)や経済見通しについて議論。
高市首相から早期の追加利上げに難色を示したとの報道。
日銀金融政策決定会合・・・2026年3月18-19日
政策金利据え置き。
日銀は賃金・物価動向を見極める姿勢を維持。
過去2回の会談後の日銀金融政策決定会合では、結果だけを見ると、事前に方向性が共有されていたようにも映ります。
第3回会談・・・次の焦点は?
そして
第3回目が2026年5月22日に行われました。
中東情勢悪化や金融市場動向について協議。
高市首相は「政府・日銀共同声明を踏まえ適切な政策を実行してほしい」と要請。
植田総裁は「金融政策の考え方を説明した」と発言しています。
この内容だけでは、どのような話し合いが行われたかは分かりません。
ただ、気になる点をあげます。
それはベッセント米財務長官が昨年10月27日から来日したときのことです。
ベッセント米財務長官は片山財務相と28日会談を持ち、会談に米財務省は下記のようなコメントを掲載しました。
米国側は「ベッセント長官は協議の中で、アベノミクス導入から12年が経過し、状況は大きく変化していることから、インフレ期待を安定させ、為替レートの過度な変動を防ぐ上で、健全な金融政策の策定とコミュニケーションが果たす重要な役割を強調した」と財務省のホームページでしっかりと記載しました。
(詳細はやってはいけないこれだけの理由 第169回「日本の政治家の発言を信じてやってはいけない」を参照してください)

要するに、米財務省が、日本側に事実上の利上げ圧力をかけたと受け止めることができます。
そして、これまでハト派だった高市首相は米国の意向通りに、その数週間後、高市首相は植田総裁との初会談で、事実上利上げ容認へ転じたとみられています。
そして、今回の第3回目の会談前の5月11日から13日にかけてベッセント米財務長官は来日。
片山財務相はもちろんのこと、高市首相とも会談を持っています。
そして、会見では日米の足並みが揃っていることを強調しています。
再び、ベッセント米財務長官が利上げ圧力をかけた可能性も否定できません。
6月3日・・・きさらぎ会に注目
このような状況下で、今週注目されるのが3日に行われる「きさらぎ会」での植田総裁の講演です。
これまでも日銀総裁や理事は、金融政策決定会合前に市場へ一定のメッセージを発してきました。
今回も、6月の会合前に何かをほのめかすことが予想されます。
今回の講演は、日銀が6月会合で利上げに動くかを見極めるうえで、見逃せないイベントとなりそうです。





