今回解説していく通貨はノルウェー・クローネ円(nok/jpy)とスウェーデン・クローナ円(sek/jpy)です。両通貨とも明確な上昇トレンドにありますが、長期視点での重要なレジスタンス水準の手前では上値の重い動きとなっています。今後も上昇基調を維持できるか、それとも調整局面入りとなるか、正念場を迎えたと言ってよさそうです。
ファンダメンタルズ面では、ノルウェー中銀がすでに利上げに転じた一方、スウェーデン中銀の利上げ転換時期は遅れる見込み。両中銀とも今週の金融政策決定会合ではインフレ見通しに注目が集まるでしょう。
今後の相場の焦点:ノルウェー中銀は利上げを開始、スウェーデンは利上げ時期が遅れるか
まずはノルウェーおよびスウェーデンの現在の金融政策状況を確認していきます。
ノルウェー中銀(ノルゲバンク)は2025年6月から金融緩和を開始。2025年9月には政策金利を4.00%まで引き下げて、2026年5月には金利引き上げへと転じました。現在の政策金利は4.25%となっています。
金利の引き上げを決めた直近5月会合時の声明文では
・インフレ率は高水準にあり、今後も高止まりする可能性が高い
・インフレ率を妥当な期間内に目標水準に戻すためには、政策金利の引き上げが必要であると判断
・3月に発表された政策金利予測では、年末までに政策金利が4.25%から4.50%に引き上げられるとされていたが、それから金融政策の見通しは大きく変わっていない
などの見解を示しました。
なお、次回(6月18日)の会合時には新たな予測が公表される予定となっており、4.50%以上への利上げが示唆されるか注目となります。
スウェーデン中銀(リクスバンク)は2022年4月に金融引き締めを開始。2023年9月に政策金利を4.00%まで引き上げて、2024年5月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は1.75%です。
金利据え置きを決めた直近5月会合時の声明文では
・インフレ率は現在目標を下回っており、最近の結果は中銀が3月に発表した予測を明らかに下回っている
・戦争の影響とそれに伴う供給ショックの全体像がより明確になるまで、様子を見る余地がある
・現在の政策金利水準は、インフレ目標を維持するために必要に応じて金融政策を調整するための良好な初期段階を中銀に提供している
などの見解が示されました。
中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格の高騰を受け、欧州各国がインフレ抑制に苦戦するなか、異例の状況にあるのがスウェーデン中銀です。中銀は昨年の時点で「緩和サイクルはおそらく終了した」との見解を示しており、次の一手は利上げと見込まれますが、金融引き締めへの転換は他の中銀よりも遅くなりそうです。
NOK円 週足チャート分析:17円台で再び上値を抑えられ、目先は調整リスクに留意
ではテクニカル面でも現在の状況を確認していきましょう。下図はノルウェー・クローネ(NOK)円の週足チャートになります。

NOK円は2020年3月に史上最安値となる8.97円まで下落した後は買い戻し基調となっています。現在は2023年3月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の青色実線)、もしくは2025年4月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)内の動きとみてよさそうです。
また、チャート下部に追加した「DMI」でも+DI>-DI(上昇トレンド)を示しているほか、トレンドの強さを示すADXが2013年来の水準まで上昇。しっかりとした上昇トレンド傾向にあります。
一方で、2013-14年の間に何度もレジスタンスとして意識されていた17円台(チャート上の四角で囲った部分)で再び頭が抑えられつつあることは懸念材料です。2025年4月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)が急角度であることを考慮すると、目先はトレンドラインを下抜けた際の調整リスクに留意する局面かもしれません。
SEK円 週足チャート分析:18円手前で上値が重くなり、上昇継続に向けた正念場
次はスウェーデン・クローナ(SEK)円について、テクニカル面で現在の状況を確認していきましょう。下図はSEK円の週足チャートになります。

SEK円は2020年3月に直近安値をつけた後、しっかりとした買い戻し基調となっており、足もとでは想定のチャネルラインも上抜けています。
チャート下部に追加した「DMI」で確認しても+DI>-DIと上昇トレンドを示唆。ただ、トレンドの強さを示すADXが急失速しているほか、+DIと-DIも接近しており、今後トレンドの転換サインが点灯する可能性もありそうです。
今後のターゲットは1998年および2007-08年につけた18円台となりますが、すでにその手前で上値が重くなりつつあり、上昇トレンドの継続に向けた正念場を迎えたと考えるべきでしょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック:両中銀のインフレ見通しに注目
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。注目はノルウェー・スウェーデンの金融政策。今回は両中銀とも金利の据え置きが見込まれており、声明文の内容に注目が集まりそうです。特に米国とイランが戦闘終結に向けた暫定合意に至り、足もとで原油価格の調整が進むなか、インフレについてどのような見通しを示すかがポイントになるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・6月17日 スウェーデン スウェーデン中銀、政策金利公表
・6月18日 ノルウェー ノルウェー中銀、政策金利公表
・6月19日 日本 5月全国消費者物価指数(CPI)
・7月8日 スウェーデン 6月CPI
・7月10日 ノルウェー 6月CPI





