日経平均、初めての4万4000円台
石破首相が辞任を表明した後、日経平均は堅調な動きが続いており、今週は史上初の4万4000円台を記録しました。新総裁の誕生によって政治の停滞が解消し、経済活動が活発化するとの見方があるようです。現時点において金融市場関係者の間で、有力視されているのは高市早苗前経済安全保障大臣と小泉進次郎農相です。高市氏は積極的な財政支出の拡大と金融緩和の継続を従来から主張しており、円安・株高を誘発するイメージがあります。一方、小泉氏は明確な方針は示していませんが、政策遂行能力に対する期待がありそうです。
市場が読むポスト石破
財政規律派と目されていた石破首相の辞任を受け、日本市場では今後積極的な財政出動を伴う景気刺激策の発動や日銀の追加利上げ時期が遅れる可能性が意識され、株式は大きく上げ、為替は円安、債券は先物に買いが見られています。
自民党総裁選は22日に告示し、10月4日に投開票を行うことになりました。今後、実際の立候補者を見極めながら、金融市場は思惑含みでボラティリティーの高い展開になる可能性があります。石破首相の退陣は緩和的な財政政策につながると受け止められているが、この場合、「インフレ上振れリスク」に対し日銀がどう対応するかが注目されます。
有力候補の高市氏
高市氏の政策スタンスは積極財政と金融緩和の組み合わせにより、市場ではハト派と見なされています。仮に高市氏が勝利すれば、日本株にとってはポジティブ材料となり、円相場は円安方向、債券市場はイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ(傾斜)化につながる可能性が高いです。
有力候補の小泉氏
小泉氏は日銀の政策正常化を継続することに前向きとみられており、同氏が総裁選に勝利すれば、為替市場での円高進行とイールドカーブのフラット(平たん)化が想定されます。
総裁選の位置づけ、昨年と異なる
金融市場にとって今回の総裁選の位置づけは、昨年とは異なります。昨年の総裁選時には、与党は衆参両院で過半数の議席を維持していたが、現在は両院で過半数の議席を失い少数与党となっています。
従って、総裁選を勝ち抜き首相になっても、その人が掲げる政策は野党の協力がないと実現できません。高市氏が掲げる積極財政・金融緩和政策は、野党の協力が得られて初めて実現するものだが、野党との連携は、総裁選後までかなり不透明です。
新政権、連立が大きな注目点
現在、市場は誰が新総裁に選ばれるかに焦点を集めているが、総裁選で誰が選ばれるかだけでなく、その後、与党と野党との間にどのような連携がなされ、あるいは連立が組まれるかが注目されます。
高市氏は消費税の軽減税率を一時ゼロにする政策を掲げています。そうした減税策や積極財政政策は野党の主張と重なる部分があるため、野党の協力を得て実現できる可能性はあります。ただ、高市氏の右派色が強い外交・安全保障政策に野党が強い拒否反応を示す可能性も否定できません。
小泉氏が首相になれば、日本維新の会との連携は強まるとみられ、連立の可能性もあります。改革派のイメージを強め、日本維新の会の改革志向と重ねれば、規制緩和など改革が進むとの期待から株式市場には好影響が及ぶ可能性があります。