25年の中国貿易黒字は1兆1889億ドル
中国税関総署の発表によると、昨年の出から輸入を差し引いた貿易黒字は、1兆1889億ドルと初めて1兆ドルを超え過去最高を記録しました。かつて人類史上、どの国家も到達したことのない領域に、中国は足を踏み入れました。
関税合戦の影響で米国への輸出が大幅に縮小する中、巨大経済圏構想「一帯一路」参加国などへの輸出が拡大しました。巨額の貿易黒字により、各国との貿易摩擦が一段と激化しそうです。輸出は前年比+5.5%増の3兆7718億ドル、輸入は横ばいの2兆5829億ドルとなりました。
1兆ドルの黒字、「強さ」の証明ではない
中国の1兆ドル超えの貿易黒字は、中国が世界で影響力が一段と増していることを示しています。ただ、中国は若者の失業率が高止まりし、不動産不調が長期化しているなど、内需の回復が進んでいません。1兆ドルの黒字は、国内で消費しきれないほどの過剰在庫を抱え、それを世界中に「排泄」せざるを得なかった、中国経済の深刻な内需不振の重さを表す数字でもあります。
国際通貨基金(IMF)は中国の生産中心の経済成長モデルは持続可能ではないと警鐘を鳴らし、エコノミストらの批判も招いています。IMFは、中国の規模が大きすぎるため輸出からの更なる成長を生み出す余地は限られており、輸出主導型成長への依存を続けることは世界的な貿易摩擦をさらに激化させるリスクがあると警告し、中国に対して輸出抑制と国内での消費拡大という「勇気ある選択」を促しています。
中国当局、内需拡大を重視に
中国の莫大な貿易黒字は、貿易相手国との緊張を高めており、中国当局も内需拡大に力を入れて、輸出だけではなく輸入の拡大も取り組むとしています。当局は今年の経済運営について消費と投資を刺激し、高い経済成長を維持する「積極的」財政政策を継続する方針を表明しました。アナリストらは、中国が今年も前年比で5%程度の国内総生産(GDP)成長目標を掲げると予想しています。
人民銀、緩やかな人民元高を容認
中国人民銀行(中央銀行)は昨年後半から人民元の基準値を緩やかながら人民元高方向への設定が続いています。今週は人民元の基準値を1ドル=7.00元台と2023年5月以来の人民元高水準に設定し、オフショア市場でも人民元(CNH)は対ドルで7元を割り込み、対円では22円後半まで過去最高値を更新しています。
人民元安は中国経済の大きな一つの柱である輸出の競争力を高める一要因となっていたが、当局でも輸出主導型経済からの転換を図り、低迷する個人消費を刺激し、貿易摩擦を軽減するためには、人民元の上昇が必要だとの認識が高まりつつあります。現在の人民元相場はファンダメンタルズに比べるとまだ過小評価されているとの声も多い中、中国当局がどこまで人民元高を容認するかにも注目です。



