BTC円、一時は最高値から・・・
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は5月8日21時頃、対円では970万円前後と前週(7日前)比では5.8%高の水準。BTCドルが6万2300ドル台で推移しています。比較対象の日が直近の安値圏だったため高いところにいますが、戻りも鈍くなりつつある印象です。
ゴールデンウィーク前半からの値動きを振り返ってみます。
BTC円は1015万円辺りで頭を抑えられ、5月2日早朝には882万円台と約2カ月ぶりの安値を更新しました。4月前半に記録した過去最高値1100万円から20%弱の下げ幅です。
3日からは大きく切り返し、6日には1008万円台まで持ち直しました。しかしながら一巡後は伸び悩み、1000万円割れでの推移が続いています。
※Trading View
ビットコイン、下げた要因は
水準は違いますが、高値からの20%下落は今年1月もありました。
この時のように、株式相場ではトレンド転換の目安の1つとされる2割の動きはビットコインにとって買い場のようです。
それでは、今回の下落要因を探ってみましょう。
1つは、半減期を終えて目先の材料が出尽くしたことでしょうか。1040万円辺りまで上昇後は利益確定の売りに押されていました。
また、米国で上場されている現物ビットコインETFから資金が流出したことも、相場にとってかなりの重しとなりました。暗号資産分析サイトcoinglassによれば、現物ETF全体で流出超は4月24日から7営業日連続を記録しました。
特にBTCドルが直近安値5万6500ドルをつけた米国1日には、全ての現物ビットコインETFから資金が引き出されています。10のETF合計で5億6370万ドル(1ドル=155円換算で874億円弱)と、上場された1月以来の1日あたりの流出額としては最大でした。
※現物ビットコインETFの流出入、4/24-5/7 coinglassより
BTC相場の地合いが弱い時、対円にとっては政府・日銀による円買いドル売り介入の影響もあったと思われます。本邦通貨当局は公式には認めていませんが、明らかに為替相場で円安是正に動いたような値動きでした。
※為替介入(外国為替市場介入)とは 日銀HPより
米金利の低下が支えに?!
BTC相場は5月2日から下げ止まり、3日から反発しています。現物ETFに資金が戻ってきたことが1つの要因でしょう。
米連邦公開市場委員会(FOMC)後の定例記者会見で、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が警戒されていたほどタカ派ではありませんでした。これを受けて米金利が低下基調に転じたことが、リスク資産の買いやすさに繋がったようです。
3日発表された4月米雇用統計が予想より弱い内容だったことで、再び米利下げに現実味が出てきました。米金利は低下幅を広げ、BTCの買い戻しも強まりました。
※Investing.comより
4月は久しぶりの・・そして5月は鬼門?
さてcoinglassによれば、4月の月間騰落率は14.76%のマイナスでした。月間下落は8カ月ぶりです。昨年9月から続いた月間の連勝記録は7で途絶えてしまいした。
もっとも、7カ月間で1BTCの価値は2.7倍にもなり、今年第1四半期だけでも約68%上昇しています。そういった意味では、4月の下落はあくまで調整の範囲内と言えるかもしれません。
ただ気になるのは、2021年から2023年まで3年連続で5月は下落して終えていること。今年のように4月がマイナスだった21年と22年は続落しています。5月がBTCにとって、もしかしたら鬼門となるかもしれません。