BTC、対円では3日安値を一時割り込む
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年2月19日22時頃、対円では1463万円前後、前週(7日前)比およそ1%安で推移しています。BTCドルが9万6200ドル前後での値動きです。
この一週間、BTC円は13日につけた1514万円台を戻りの高値に失速しました。先週末に米長期金利が低下すると持ち直す場面もありましたが、それでも1500万円超えでは頭を抑えられました。
BTCドルも米長期債利回りの低下にともない9万8800ドル台まで強含みましたが、米国の3連休(月曜日がプレジデンツデー)の間は徐々に上値を切り下げる展開に。祝日明けは売りが先行しました。
10日以降、米国で取引されている現物ビットコインETF(上場投資信託)から資金を引き出す動きが続いたことも相場全般の重しとなったようです。18日ニューヨーク午後、BTC円1422万円前後まで下落し、BTCドルも9万3400ドル台まで売られました。
BTC円は、トランプ関税を嫌気して急落した3日安値を一時割り込みました。BTCドルはその日の安値手前で下げ止まったものの、1月20日につけた過去最高値からだと14%ほど低い水準です。
※現物ビットコインETF、日次の流出入額 coijnglassより
ビットコイン、ドミナンスは
ビットコイン(BTC)の価格は伸び悩んでいますが、そのドミナンスは60%を超えた高い水準です。ドミナンスとは、特定の暗号資産が全体の市場時価総額に占める割合を示す指標です。
下↓のチャートでは、BTC価格はトランプ大統領への期待感から11月に上げ足を速めています(オレンジのLINEチャート)。しかしながら、BTCドミナンス(ロウソク足)は11月半ば以降、12月初旬まで低下していました。
BTCドミナンスは55%割れしたところで下げ止まり、その後は再び上昇。2月初めには60%台を回復しました。
トランプ関税騒ぎでBTCの価格が急低下した場面でも、ドミナンスは急上昇しています。リスクオフで暗号資産全体の時価総額も縮小していたため、BTC以外の暗号資産売りがかなり強まったことが想像できます。
※BTCドミナンスと価格チャート、Trading Viewより
ETHやXRPと比較してみると
それでは、ビットコインに次いで時価総額が2位のイーサリアム(ETH)と現在3位まで上昇してきたリップル(XRP)のドミナンスをチャートに加えてみましょう。
昨年9月から今年2月までの期間で、ロウソク足が↑のチャートと変わらずBTCのドミナンス。低下傾向の紫ラインはイーサリアム(ETH)、11月半ばから急速に上昇した黄色い線がリップル(XRP)のドミナンスです。
BTC、ETH、XRPのスケールで合わせていますので、BTCが全体の54%台から64%台のレンジ、ETHは10%台から15%台、リップルは1%台から5%台です。XRPが上にいますが、ドミナンスの大きさとしてはBTCが圧倒的に大きく、次にETH、そしてXRPの順です。
BTCドミナンスが昨年11月半ばから12月初めまで低下したのは、XRPが3%以上も急速にドミナンスを拡大したからでしょう。一方、BTCドミナンスの直近高値ではETHドミナンスの縮小が見受けられます。
※Trading Viewより
XRPが拡大し、ETHが縮小したのは
リップル(XRP)の時価総額が拡大した要因は複数あるようですが、3つ挙げるとすれば以下になります。
・SECとの実質的な法的勝利
リップル社は、米国証券取引委員会(SEC)との訴訟で部分的な勝利を収め、これが市場の信頼を回復させました。
・ステーブルコインRLUSDの発表
リップル社が新たに発表したステーブルコイン「RLUSD」のローンチが、XRPの需要を高める要因となりました。
・機関投資家の関心の高まり
XRPを対象としたETFの申請が相次いでいることが、機関投資家の関心を高めています。
一方、長らくアルトコインの代表格とされていたイーサリアム(ETH)は勢いが失われ、ドミナンスは半年で6%超も縮小しました。要因としては以下が挙げられます。
・競合プロジェクトの台頭
ソラナやポリゴンなどの他ブロックチェーンプロジェクトが急成長しており、これらがイーサリアムの市場シェアを脅かしています。
・ネットワークの成長停滞
イーサリアムの開発が遅れていることや、明確なビジネス戦略が欠如していると投資家受けとめられているようです。
・大口の売却圧力
イーサリアム財団が定期的に大量のETHを売却していることが、市場のセンチメントを悪化させています。
気になることは、あのパターンが…
さて暗号資産全体の時価総額をみると、このところ伸び悩んでいます。執筆時点ではおよそ3.1兆ドルと1月後半の約3.7兆ドルから16%ほど縮小しています。
1年前の同時期は2兆ドルにも達していなかったことを考えると、暗号資産の規模はまだ十分大きいと言えるでしょう。しかしながら、日足チャートでは頭打ちした可能性も出てきました。
※Trading Viewより
12月と1月で作った高値圏が頭となり、反転パターンの1つ「ダブルトップ」の形成しているという見方です。
2月3日に一時3兆ドルを割り込みましたが、一旦は持ち直しています。今後、全体の時価総額3兆ドルから2.8兆ドル辺りが今後の暗号資産の流れを決めるかもしれません。