米中摩擦の緩和期待が…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年4月24日9時頃、対円では1343万円前後と前週(7日前)比で約12%高と堅調です。BTCドルが9万3500ドル台と大きく値を上げています。
BTC円は週明け21日に1200万円をしっかりと回復したものの、1250万円付近では伸び悩んでいました。しかしながら、トランプ米政権高官の発言を受けて米中貿易摩擦の緩和期待が高まり始め、リスク回避の巻き戻しでビットコインも買い戻しが優勢となりました。
※リスク回避の巻き戻し:市場に対する不安感が縮小し、安全な資産(例えばゴールドや現金、短期国債)などから、リスクの高い資産(株式や暗号資産、原油など)に資金を戻すこと。
きっかけとなった発言を幾つかあげると、ベッセント米財務長官の「米中間の緊張緩和はごく近い将来に訪れると確信している」、レビット米ホワイトハウス報道官の「中国との関係は良い方向に進み、トランプ大統領は中国との合意に向けて準備している」などです。
※Trading Viewより
FRB議長への圧力緩め…
先週末から今週初にかけて、トランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任について言及しました。これを受けて、米国の中央銀行であるFRBの独立性が弱まるとの懸念が高まりました。米金融政策の舵取り役であるの信認失墜に繋がりかねないとし、基軸通貨であるドルや米株や債券などが売られた一方、ゴールド(金)は最高値を更新しています。
しかしながら、トランプ米大統領が米国東部時間22日夕刻(23日の東京朝)、米資産離れを恐れて今度は火消し役に回ります。「パウエルFRB議長を解任する意図はない」と発言すると、米株先物やドルが急騰し、ビットコインも一気に値を上げました。
23日もリスクセンチメントの改善は続きます。米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が「米政府は貿易戦争の緩和に向けて対中関税の引き下げを検討」との記事を掲載。ベッセント米財務長官が「米国は引き続き強いドル政策を維持」とも発言しました。
BTC円は1351万円台と、4月7日に1080万円を割り込んだところからだと約25%上昇。BTCドルも、一部取引所で9万4600ドル台と今月安値から2万ドル超も値を上げ、3月初旬以来の高値を記録しています。
※Trading Viewより
ちなみに、ゴールド(金)先物は22日に記録した最高値から7%程度の下落率。ドルインデックスが、21日につけた約3年ぶりの安値から4%ほどの上昇率でした。
ビットコインETFに資金回帰
関税強化を含めたトランプ米政権への過度な警戒感が薄れ、投資家の資金も現物ビットコイン上場投資信託(ETF)に戻りつつあります。
以下は、暗号資産サイトCoinMarketCapのグラフです。
データによれば、米国で取引されている現物ETFは3月31日以降、先週後半までトータルでさえない(流出超)日が目立ちました。
3月31日週では5営業日中4日が流出超、4月7日週は5日全てが流出超でした。4月17日になるとやや持ち直し、イースター休暇を除く4営業日中で2日は流入超となりました。そして今週は週明けから取引が活発化し、22日には約9.1億ドル流入超と1月17日以来の規模を記録しました。
ビットコイン、時価総額は1.84兆ドル
CoinMarketCapによれば、執筆時点のビットコインの発行枚数は1984.5万BTCと最大供給量2100BTCの約94.5%に達しています。時価総額は足もとで1.84兆ドルと4月前半に1.49兆ドルを割り込んだところから盛り返してきました。
ここで、ビットコインと時価総額が大きい株価や商品と比較してみましょう。
InfiniteMarketCapによれば、ビットコインの時価総額はGoogleの持ち株会社Alphabetに次ぐ8位です。埋蔵量から算出される金が圧倒的に1位、3兆ドル超えのAppleが企業価値としては最大です。Microsoftはそれに続きます。
上位の株式時価総額とは差がありますが、2兆ドル割れの5位Amazonはビットコインの視野に入っていると言ってもよいでしょう。
これらを比較することが相場への正しいアプローチか、ピックアップしておきながら正直分かりません。しかしながら、ビットコインの位置付けを感覚で掴むには良い例ではないしょうか。