暗号資産ウォッチャー これに注目!

第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」

ビットコイン、先週は最高値からの安値更新


代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は4月25日7時頃、対円では1002万円付近と前週(7日前)と比べて5.5%ほど上昇した水準です。BTCドルが6万5300ドル台で推移しています。

 

この1週間を振り返ると、19日(金)の値動きが印象的でした。東京昼前に急ピッチで値を下げ、BTC円は史上最高値から16.6%下落した水準となる917万円付近、BTCドルも5万9600ドル台まで下値を広げました。


 

※Trading Viewより

 

また中東のドンパチが、でもリスク回避ムードは・・・

 

BTCが最高値からの安値を再び更新した要因は、今回も中東のドンパチでした。

「イラン中部で爆発音“イスラエルが攻撃”米メディア」NHK

 

19日東京午前にイスラエルがイランを空爆したことが報じられ、地政学リスクが再び高まりました。リスク資産の株が売られ、逃避先として米債に資金が向かいました。為替は円やスイスフランが再び買われています。

 

リスク回避の動きの流れにそって、前週同様にビットコインも売られました。

第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい?・・・」

 

しかしながら事前にイスラエルが米国に通告していたこと、最も懸念されたイラン核施設への被害はなかったことなどが、徐々にリスク回避ムードが後退。対立する両国ともに報復の応酬は避けたいとの雰囲気が出てくると、本格的な軍事衝突は免れるとの見方が広がりました。

 

ビットコインも安値をつけた10時間後には対円で1000万円、対ドルでは6万5000ドル台まで大幅に反発しています。


 

 ※Trading Viewより


 半減期、いつの間にか終了してた

 

週末、出歩いたらいつのまにかビットコインの半減期は終わっていました。20日(土)21時頃、ビットコイン・ネットワークでは4回目となる半減期を迎えました。↓はこちらのCOINWARZというサイトを参照しています。


 


シチズンウォッチのオフィシャルサイトによれば、UTCは「Universal Time Coordinated(協定世界時)」の略です。世界で基準とされており、精度の高い原子時計と天体観測に基づいて決められた時間のことです。UTCは日本時間から9時間遅れていますので、UTC12時は日本の21時となります。

 

半減期とは、ビットコイン・ネットワークでブロック(取引や送金データの集まり)生成、いわゆるマイニングにおける報酬が半分になることです。マイニング競争に勝ったマイナーはそれまで6.25BTCを獲得できましたが、それが20日21時頃以降から1ブロック3.15BTCとなります。

 

半減期は21万ブロックごとに発生するように仕組まれています。ビットコインのブロックチェーンでは1ブロック生成に約10分かかることから、半減期は約4年ごとのイベントということです。


インフレを防ぐために

 

ビットコインの発行はマイナーへの成功報酬のみであり、つまり半減期ごとに供給量が半分になるということです。これはビットコインのインフレを防ぎ、希少性を維持するために実行されます。

 

過去には「2012年11月(報酬が50BTCから25BTCに)、2016年7月(報酬12.5BTC)、2020年5月(6.25BTC)」に半減期が発生しました。

 

今後も半減期は繰り返され、2140年頃には設定されている発行枚数である2100BTCの上限に達するとされています。


※coin market capより


ここからの上昇は待つ必要が?


4回目の半減期を通過し、BTC円は980万円台から一時1041万円まで、BTCドルは6万4000ドル割れから6万7200ドル台まで上昇しました。金融市場全般にリスクセンチメントが好転したこともありましたが、供給量が減ったことによる需給の引き締まりを意識した買いも出ていたようです。

 

「2024年のビットコイン半減期は、最も強気なサイクルの到来か」コインテレグラフ

 記事には「半減期後に短期的には調整局面を迎えることが多いが、長期的に強気になると予想されている」と記載されています。今後は調整局面というのが肝のようです。


前回の半減期(2020年5月)頃のBTCドルチャートを見てみましょう。

※Trading Viewより


2020年5月11日頃に3回目の半減期が起こり、その後もBTCドルは1万ドルに巡る攻防が続きました。2カ月半後にやっとレンジを上向きにシフトしています。もっとも、そこから本格的な上昇トレンドに入るまで3カ月弱かかりました。前回の半減期後は、底堅かったものの5カ月間の調整局面とも言えるでしょう。


現物ETFの影響もあり、今回は半減期前にBTC相場が大きく上昇していました。4年前とは単純に水準だけでなく、金融市場や暗号資産を取り巻く状況、世界情勢も変わっています。意外と、過去とは全く異なる半減期後の値動きなるかもしれません。


この連載の一覧
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
第76回「ビットコイン、飛び跳ねた年 年明けも好材料が待ち受ける?!」
第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
第57回「リップルにつれ安、8月のビットコインは?そして6カ月後までに・・・」
第56回「ビットコイン、400万円台維持 ネガティブニュースも跳ね返す」
第55回「ビットコイン、ゴールドのように羽ばたけるか ただしETFはもう少し先かも?」
第54回「Simple is Best、相場は単純に考える ところでBTCが上がらない理由は?」
第53回「ビットコイン 円高の影響、分かれたヤツは元気」
第52回「ビットコイン、対円にしました!口座開設はもうお済み?」
第51回「現物ETF 承認への期待大! ただし一旦落ち着く必要も・・・」
第50回「ビットコイン、救世主が出現! 現物ETFへの期待高まる」
第49回「BTCの占有率上昇、ただし市場が盛り上がっているわけでは・・・」
第48回「ビットコイン SECの圧力はちょっと違う、底打ち感も?!」
第47回「ビットコイン 5月は失速、でも今年中には大幅上昇?!」
第46回「ビットコイン 動かず、過去2回はその後に大波」
第45回「G7は規制強化 交換業大手はカナダから日本へ」
第44回「ビットコイン 4カ月連騰、手数料高騰が懸念?」
第43回「ビットコイン 冬は終了?欲張り過ぎには要注意」
第42回「イーサリアム 待ち時間は延びる、BTC 10カ月ぶりの高値をつけるも・・・」
第41回「ビットコイン 約10カ月ぶりの高値、信じる者は・・・」
第40回「リップル 3月は元気いっぱい、裁判の終わりが見えた?!」
第39回「当局の圧力にも負けず、BTC買い衰えず」
第38回「ビットコイン 時価総額はメタ超え、強欲な感じも・・・」
第37回「まるでジェットコースター、ビットコイン 代替資産としての位置づけも」
第36回「ビットコイン とんだ雛祭りに、懸念材料は複数残る?」
第35回「ビットコイン 売り持ちファンドに資金流入、投資家の懸念を反映」
第34回「昨年6月以来の高値更新、ビットコインの上昇要因を探る」
第33回「ビットコイン とばっちり食らう、PoWには関係なし?」
第32回「ビットコイン、2月も底堅い クリスマスまでには?!」
第31回「イーサリアム、マージから4カ月半 伸び代あり?!」
第30回「悪いニュースに反応せず、アノマリーもあったとは」
第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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