BTC、月間上昇率は今年2番めの
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は12月5日10時頃、対円では1484万円前後と前週(7日前)と比べて約1.6%高い水準で取引されています。BTCドルが9万8400ドル台での値動きです。
11月27日に米感謝祭前の持ち高調整と見られるBTC売りで、対円では1392万円付近まで下落。史上最高値(1543万円)から10%弱の下落率を記録しました。しかしながら、米国の感謝祭明けから現物ビットコインETFに資金が戻ったこともあり、BTC相場底堅さを取り戻しました。
BTC円の11月の終値水準は1440万円台となり、3カ月連続の月間上昇を記録しました。暗号資産分析サイトcoinglasssによれば、11月におけるBTCの対ドル上昇率は約37%と、月間としては今年2番目の高い上昇率(2月が約43%)を記録しています。年初からだと約140%の上昇率です。
※coinglassより 2017年からのBTCの月間騰落率
3日夜に売られたのは?
12月に入り、BTC円は上値重くスタートしました。米国では11月末から現物ビットコインETFに資金が流入していましたが、対円では為替の円高の影響を受けたようです。
日銀の金融政策決定会合を今月18-19日に控え、市場では「政策金利引き上げあり/なし」が焦点となっていました。そういったときに、植田日銀総裁の追加利上げ示唆と受けとめられるインタビュー記事が報じられました。
本邦金利の先高観から円高に傾きやすい地合いにくわえ、「韓国の騒動」がリスク回避の動きを強めました。
※Trading Viewより
韓国混乱がBTC売りに波及
3日夜に突然、韓国の尹大統領が非常戒厳(戒厳令)を宣言しました。国家の非常事態に宣布されるものであり、発動すると軍の広範囲な統制のもとで言論や集会の自由が厳しく制限されます。
地政学リスクへの警戒感が一気に高まり、為替市場では韓国ウォンが売られました。また、韓国の暗号資産取引所ではビットコインや他暗号資産が韓国ウォン以上に急落しました。
「韓国、戒厳令を受けてビットコイン、XRPが一時30%下落」コインデスク
ビットコインの当初の理念「非中央集権的、国に管理されない自由なデジタル通貨」であれば、国家が不安定なときはリスク回避として買われるのでしょう。
しかしながらビットコインは現在、リスク資産という位置づけです。これは韓国でも変わらないどころか、投機的な動きが他国よりも強まっていました。
「韓国の個人投資家の仮想通貨取引額…過去24時間で急増、」コインテレグラフ
おりしも、韓国では暗号資産取引の利益に対する課税を2年間先延ばしとの見込みが強まっていました。来年1月から収益に課税される予定でしたが、2027年まで延期されることが与野党で合意したようです。
おそらくロングがかなり溜まっていたところに韓国大統領による突然の戒厳令で、パニック的な売りが同国内の取引所では起こりました。
パニックは一時的、次のSEC委員長は
もっとも、パニック的な動きは一時的でした。韓国で臨時国会が開かれ、戒厳令解除の決議案が満場一致で可決。大統領は解除発表し、国内ではまだザワついているようですが、金融市場はリスク回避の巻き戻しに傾きました。
一方、日本では一部メディアが「日銀は政策金利を維持する可能性」を報じて追加利上げ観測が後退しました。これを受けた円売りもBTC円にとっては追い風となりました。
また米国では相変わらず現物ビットコインETFへの流入が続き、更に暗号資産業界にとっては朗報が届きます。
先週のコラムでは、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラ―委員長が来年1月にSECを退任するとお伝えしました。当然、次は誰がSECのトップに立つのかが市場の注目でした。
トランプ次期米大統領は4日、自身のSNSで次のSEC委員長にポール・アトキンス氏を指名すると投稿しました。
アトキンス氏は暗号資産推進派として知られています。過度な市場規制に反対する立場を取ってきた同氏が順調にSEC委員長として承認されれば、ゲンスラー現委員長のもとで進められた暗号資産業界への締め付けが緩むとの期待が高まっています。
※Trading Viewより
暗号資産市場の規模が拡大するとの見方から、足もとでBTCドルは節目とされた10万ドルをついに超えてきました。