ビットコイン、20%の手前で下げ止まる
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は3月21日9時30分頃、1020万円台と前週(7日前)比では約5.7%安の水準で推移しています。BTCドルが6万7600ドル付近での値動きです。
この1週間もよく動きました。
14日の東京午後に1090万円まで過去最高値を更新後は一転して下落。翌15日には980万円割れまで売り込まれる場面がありました。
その後、ニューヨーク午後(日本時間16日未明)には1050万円超えまで切り返しましたが、週末から再び弱含み始めました。20日東京午後には920万円台まで下落幅を大きく広げています。
高値からの下げ幅は170万円、低下率は15%を超えました。もっとも、1つの目安となる高値から20%の値幅(1BTC=872万円付近)を前に下げ止まると、1000万円台まで切り返しています。
※Trading Viewより
あのファンドから流出続く
現物ビットコイン上場投資信託(ETF)からの支えも今週は弱く、ETF取引が開始されるNY前半に伸び悩むパターンが目立ちました。
大きく下落した19日には、資産運用会社グレースケール・インベストメンツが運用している現物ビットコインETF「Grayscale Bitcoin Trust(以下GBTC)」に関する報道が目立ちました。
「グレースケールのビットコインETF 1日の流出額が・・・」コインテレグラフ
18日にGBTCから6億4000万ドル相当が流出し、同ファンドが現物ETFに転換して以降では最大の流出額を記録したということです。
GBTCについてはこのコラムでも、何度か取り上げています。
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる・・・」
1月に新たに立ち上げられた現物ビットコインETFは、手数料を低く抑えて投資家からの資金を呼び込もうとしていました。しかしながら、GBTCは他に比べて手数料の高さが目立ち、それが嫌気されているとの声も聞かれます。
1月以降、GBTCは毎日流出超が続いていますが、このままのペースでは4カ月で資産が枯渇するという見方も出始めました。
「グレイスケールはあと4ヶ月で・・・」コインテレグラフ
BTCドル、1日あたりの下落率が
現物ビットコインETFが上場されて以降、GBTC以外の現物ETFに資金が流れ込んでいました。しかしながら上場から2カ月以上が経ち、さすがに勢いは弱まっているようです。
「ビットコインETF、Fidelityへの資金流入が過去最低に」クリプトタイムズ
1月に立ち上げられた現物ビットコインETFで、ブラックロックのiシェアーズに次ぐ運用規模なのがフェデリティ・インベストメンツの「ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド」です。こちらへの資金流入が細ってきたことを取り上げています。
こういったこともロングの投げに繋がり、BTC相場は19日に大きく下落。1日あたりの下落率は2022年11月以来まで広がりました。当時、大手の暗号資産交換業だったFTXが破綻し、パニック的な売りが強まったときです。
「ビットコイン、FTX破綻以来の1日あたり下落率・・・」コインデスク
※ Trading Viewより
目立つネガティブニュースも何のその
相場が軟調になってくると、どうしてもネガティブなニュースに目が行ってしまいます。
「ビットコインは半減期前の危険ゾーン入り・・・」コインテレグラフ
ビットコインのマイニング報酬が半分になる「半減期」は、約1カ月後に起きるとされています。供給の減少に繋がるとされ、需給の引き締まりから買い要因とされてきました。しかしながら過去には何度か、半減期(4年に1度発生)の数週間前にBTC価格が大きく下落していたようです。
「ETF流入が今後数日で期待を裏切れば・・・」コインデスク
こちらでは、現物ビットコインETFへの資金流入が更に鈍化すればBTCドルは5万9000ドル台まで下落する可能性という見方を紹介しています。
しかしながら、足もとではビットコイン相場は再び盛り返してきました。米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て米金利が低下し、リスク資産に資金が向かったことが買い戻しのきっかけの1つです。
また、マイクロストラテジー社はもとより、クジラはまだまだ買い続けているようです。
※マイクロストラテジーのマイケル・セイラ―会長のX
「大口や中堅投資家による猛烈な買い集め・・・」コインテレグラフ
ビットコインそのものへの需要はまだまだ高そうです。