ビットコイン、方向感は…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年3月19日22時頃、対円では1258万円前後と前週(7日前)からほぼ横ばい、対ドルが8万3800ドル台で推移しています。
この1週間、BTC円は15日未明につけた1183万円台から同日真夜中には1273万円近くまで、一時8%弱ほどの反発を見せました。もっとも週明けは伸び悩み、1214万円前後まで緩む場面も…。NY株式市場が激しく上下し、リスクセンチメントの強弱に沿った動きと言えるでしょう。
BTCドルも8万ドル割れでは下げ渋り、米株が大幅に反発した14日には一時8万5300ドルまで切り返しました。その後は8万1200ドル前後まで下押すなど、方向感が出ない状況が続いています。
※Trading Viewより
良さ気なニュースも
今年に入りBTCドルは最高値を更新したものの、2月以降はさえず、足もとでの年初来騰落率は10%の低下です。暗号資産全体の時価総額も、執筆時点で2.71兆ドルと3月11日朝に2.44兆ドルまで縮小したところから持ち直していますが、年初来では15%近く減っています。
ただしかしながら、ここ数日は暗号資産市場にとってポジティブと捉えられるようなニュースも出てきました。
「83% of institutional investors plan to increase their exposure to crypto this year」
(機関投資家の83%が今年、暗号通貨へのエクスポージャーを増やす予定)
コンサルティング会社EYと暗号資産大手取引所コインベースの調査によれば、対象となった352社の機関投資家の8割超が、2025年は暗号資産への投資配分を増やす計画をしているようです。
レポートによれば、投資家は暗号資産が魅力的なリターンを提供し続けると確信しているということです。調査対象の大多数は資産運用残高(AUM)の5%以上を暗号資産に割り当てるとしています。
今回の調査に回答した機関投資家の7割以上が、BTCとイーサリアム(ETH)以外の暗号資産を保有していることも興味深いところでしょう。ただし、昨年11月から急騰したリップル(XRP)と、昨年堅調で今年の1月に暴騰し、それ後に暴落したソラナ(SOL)に偏っているようではあります。
※Trading Viewより
制裁回避でロシアが…
国家間で暗号資産のやり取りも報じられています。
「Russia leans on cryptocurrencies for oil trade, sources say」Reuter
(ロシアは暗号資産を石油取引で利用、情報筋)
ウクライナ停戦を巡り、米国とロシアは歩み寄る姿勢を見せつつあります。先日も、米露首脳が電話会談を行いました。トランプ米大統領が望むような即時停戦には至らず、ウクライナ抜きでの交渉という問題はあるものの、泥沼化している戦争から抜け出す一歩にはなったとも言えかもしれません。
とはいえ、米国のロシアに対する経済制裁が解除された分けではありません。
「米政権、対ロ圧力を強化 エネルギー取引巡るライセンス失効で」ロイター
米露首脳が話し合う前ですが、トランプ政権はロシアの主要な輸出品目である石油や天然ガスの決済を滞らせる圧力を加えました。
そのロシアは、石油の大口な買い手である中国やインドとの取引を円滑に行うため、一部を暗号資産で清算しているようです。ロシアの石油会社は、BTCやETH、あるいはテザー(USDT)のようなステーブルコインを使用し、中国人民元やインドルピ―で受けた支払いをロシア・ルーブルに換えているというのです。
制裁回避のためという使用理由はあまり褒められるようなものではありません。しかしながら、米国が牛耳る決済システムを通さず、世界の基軸通貨とされるドルを使わずに資金のやりができるという「暗号資産の実用性」を証明しているとも言えます。
※Investing.comより
BTC、さてここから?
さてBTC相場は一定のレンジで上下しており、先行きの見通しもまちまちなようです。
「ビットコインの強気サイクルは終わった-クリプトクアントCEOが…」コインテレグラフ
暗号資産分析プラットフォームであるクリプトクアント(CryptoQuant)のヨンジュCEOが、自身のXで「Bitcoin強気サイクルは終了し、今後6~12カ月は弱気または横ばいの価格変動が続くと予想」と投稿。オンジュ氏によれば、全てのオンチェーン(ブロックチェーン上に記録される取引)指標が弱気相場を示唆しているとしています。
一方、BTCの1月最高値からの下落は、通常の相場サイクル内のことであり、つまり調整の範囲とする見方です。
「ビットコインの調整は通常のサイクルの一部…」コインテレグラフ
暗号資産コンテンツプラットフォーム・コレクティブシフト(Collective Shift)のシンプソンCEOや、分散型デリバティブ取引所・デライブ(Derive)のフォースター創業者などの強気な見方を紹介しています。
相場への見方が偏っていない分、まだしばらく「もみ合い」が続いてしまうかもしれません。
※もみ合い、一定の価格範囲(レンジ)中で、上昇と下落を繰り返して、相場の方向性が定まらない様子。