BTC円 伸び悩んだ一週間、為替の円高も影響
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は7月13日5時時点で、対円では420万円前後と前週比で4%以上の下落幅です。先月末に米証券取引委員会(SEC)が現物ビットコインETFに否定的な見解を示し、その時に急落した安値426万円を割り込みました。
一方、BTCドルは3万300ドル前後と前週比では0.5%ほどのマイナスで留まっています。米国の消費者物価指数(CPI)が予想以上に減速し、株などのリスク資産が買われました。以前ほどの反応はありませんが、BTCも強含む場面がありました。
BTC円が対ドルに比べて弱さが目立ったのは、外国為替で円買い戻しが進んだことに影響されたのでしょう。先週半ばに144円台で推移していたドル円は、138円前半までドル安円高に傾きました。
ここからBTC円の下値めどとしては、先月下旬に上抜けてから戻していない、心理的節目でもある400万円辺りでしょう。その水準がサポートされるかが、夏以降の動きに影響してきそうです。
※Trading Viewより
予想なのか希望的観測なのか
さて先週末には、こういった記事も一部で話題となりました。
「AIの基軸通貨はビットコイン、BTC価格は1億円以上に=アーサー・ヘイズ氏」 コインテレグラフ
暗号資産交換所BitMEXの創業者兼CEOアーサー・ヘイズ氏は、ビットコインが2025年から26年にかけて急上昇すると予想。1BTCは76万ドルまで価格が上がる可能性があると述べました。1ドル=138円だと1億円以上です。
今年、急速にユーザーが拡大しているChatGPTなどのAIが日常的となり、そのAIはビットコインの特性(上限のある供給量など)を合理的と判断するはず、とヘイズ氏は考えています。AIが選ぶ通貨は、ドルなどの法定通貨ではなくビットコインであり、それが価格上昇の要因(の1つ)になり得るとの見解です。
ただヘイズ氏はビットコイン強気派として知られており、予想価格はかなり希望的な側面もありそうです。
それよりも、こちらの記事のほうがまだ現実的?な気もします。
「ビットコイン、24年末までに12万ドルへ上昇も=スタンチャート」ロイター
英スタンダード・チャータード銀行がビットコインは年内に5万ドル(約690万円)、2024年末までには12万ドル(約1650万円)にも達する可能性があるとの見方を示しています。
ただし同行は昨年、サプライズのシナリオとしながらも、BTCドルが5000ドルまで下落する可能性にも言及していましたが・・・。
「ビットコイン、来年5000ドルのシナリオも-スタンダード・チャータード」Bloomberg
上昇すると強気派が増え、下落すると弱気な見方が広がりやすいのが相場です。暗号資産は値幅の広さから、特にその傾向が強いように感じます。
似た名前がやけに元気
さて、このところビットコイン(BTC)はやや伸び悩んでいますが、それでも年初来では80%以上の上昇率です。しかし似たような名前「ビットコインキャッシュ(BCH)」という暗号資産は、年初から190%以上も上昇した水準(3万9900円台)で取引されています。
BCH円は今年の初め、1万3000円辺りをウロウロとしていました。それが先月末には一時4万6000円を超えと、3.5倍も価値を伸ばしました。それも上昇幅のほとんどがこの1カ月での出来事です。
BCHきっかけ、こちら↓
暗号資産交換業者EDXマーケッツ始動、シタデルやフィデリティ出資
米国で機関投資家限定の暗号資産交換業者、EDXマーケッツが立ち上げられました。EDXの取り扱い暗号資産は「ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュ」という4種類のみ。
この4つにBCHが含まれていたことが大きかったようです。
※Trading Viewより
分かれたヤツ、BTCと互換性はなし
ビットコインキャッシュ(BCH)とは、2017年8月にビットコイン(BTC)から分岐した暗号資産です。トランザクションの処理の能力を上げて、決済(支払い手段)により使用しやすくを主な目的として誕生しました。
ビットコインから分かれたため、ネットワーク上で取引の整合性を確認するための決め事は同じ「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」を採用しています。また発行上限もビットコインと同じ2100万枚です。
注意しなければならないことは、BTCとBCHに互換性は全くないということ。
ビットコインと同じブロックチェーン技術を採用しているものの、処理能力を上げた(ブロックチェーンのブロッサイズを大きくした)ことでセキュリティが低いと、これまでは言われていました。またマイニングが集中するという懸念もあったようです。
しかしながら前述したEDXマーケッツには、世界有数の流動性提供者といわれるシタデル・セキュリティや、大手オンライン証券チャールズ・シュワブ、そして運用大手フィデリティの関連企業まで参加しています。
遅ればせながら、BCHの取引を始めてみようかと考えている今日この頃です。