ビットコイン、SEC控訴せずから堅調に
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は、10月18日11時時点で425万円台と前週(7日前)比では約4%高い水準です。先週半ば(11-12日)には一時400万を割り込みましたが、直ぐに大台を回復。その後は堅調な動きとなりました。
買いが優勢になったきっかけは、13日にロイターが関係筋の話として報じたこちらのニュースです。
「SEC does not plan to appeal court decision on Grayscale bitcoin ETF」
(SECはグレースケールスケールのビットコインETFに関する判決を控訴するつもりはない)
第60回のコラム「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
でお伝えしたのは、暗号資産運用会社グレースケール・インベストメンツが米証券取引委員会(SEC)に対して勝訴した件です。
これにより、グレースケールの運用しているビットコイン・ファンド(投資信託)の1つ、「GBTC」を現物ビットコインに裏付けられた上場投資信託(ETF)に転換する道が開けました。ただSECは控訴する権利もあったため、最終決着はついていませんでした。
今回SECが争うことを諦めたとなれば、グレイスケールの分だけでなく、他の複数申請されている現物ビットコインETFの承認も現実味を増したということになります。グレイスケールを除くと、資産運用大手のブラックロックやフェデリティ、インベストなど11の会社から申請されています。
※X(旧ツイッター)に投稿されたBloomberg資料。一番上のグレイスケール以外は審査中。Deadline(決定期限)の赤文字は延期が決定。
あの伊・高級車メーカーがビットコインを!
先週末もビットコイン(BTC)円は400万円を超えたところで推移していたなか、その動きを下支えするようなニュースが再びロイターから伝わりました。
それがこちら→「伊フェラーリ、米国で仮想通貨による決済導入を開始 」
あの高級車メーカー「フェラーリ」が、米国における車両販売で暗号資産による決済導入を発表しました。
興味深いのが、フェラーリが主導したというわけではなく、カスタマー側(ほとんどが富裕層と思われる)から求められたからというのです。記事によれば、顧客の多くが暗号資産に投資していると述べられています。
英語の記事によれば、支払いに使われる暗号資産はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)、そしてステーブルコインのUSDCのようです。
暗号資産支持者として知られるイーロン・マスク氏がCEOの電気自動車テスラでさえも、一時行っていたビットコインによる決済を現在は停止しています。暗号資産での決済は企業にとってリスクがあるにもかかわらず、フェラーリは踏み切りました。
フェラーリは2022年、世界全体で1万3221台の新車を販売。同社にとっては過去最高ではありますが、同年の米国内の新車販売台数だけでも約1390万3400台です。1台の価格は当然違うものの、販売台数シェアとしては非常に小さく、暗号資産による自動車購入が今後一気に広がるということにはさすがにならないでしょう。
ただしフェラーリは、欧州でも同様の決済を導入する方針です。「フェラーリ」というブランド価値の大きさから、他の高級車メーカーも追随するかもしれません。
週初からいきなり乱高下、先走った報道が出回る
グレースケールへの控訴をSECが諦め、フェラーリが暗号資産決済を開始するなどのニュースが好感され、週明け16日のBTC円は買いが先行。東京午後には410万円をしっかり超えて上げ幅を418万円まで広げました。
そして米国勢参入後の日本時間22時30分ごろ、BTCは急騰します。
※GMOコインより
きっかけは暗号資産情報サイト・コインテレグラフ英語版によるX(旧ツイッター)への投稿です。
こちらの写真の赤枠で囲ったところが最初の投稿です。
※Xの投稿より
まず、コインテレグラフが「速報:SECがISHARES(ブラックロックのETF)ビットコイン・スポット(現物)ETFを承認」と投稿。
これが出回ると、待ってました!とばかりにBTCドルが2万8000ドル付近から3万ドル前後まで一気に吹き上がりました。
BTC円ですが、取引所によって435万前後から440万円台と出合いに差がありました。↑チャートはGMOコインからの引用です。
計算値では、当時のドル円の水準149.50円付近とBTCドルの高値から448万円がついてもおかしくはありませんでした。
もっとも滞空時間はかなり短く、アッという間に急落。というのも、ブラックロック自体が「ETFは審査中である」とコメントし、承認されたというニュースを否定したからです。
コインテレグラフもその後、誤報と認めています。英語版の釈明が記載された記事はこちらです。
「コインテレグラフによるビットコイン現物ETF承認に関する誤報に関する謝罪と説明」
さて、誤報であってもBTC相場は底堅い値動きです。現物ビットコインETFの承認は時間の問題と考えている人が増えているのかもしれません。
いずれにせよ今回の件では、ニュースはダブルチェックが絶対必要ということはしっかりと学ばせていただきました。