BTC、失速も対ドルでは月間プラス
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は8月1日11時過ぎに対円では960万円を割り込み、7月半ば以来の安値となる956万円前後で取引されています。
前週比(7日前)比で約2.8%安と下落率はそれほど大きくありませんが、ちょうど1週間前も同じような時間帯に売りが優勢でした。ただその後、週末にかけて反発しており、直近高値の1077万円前後からだと11%超の下落率です。
BTCドルが6万4000ドル割れと前週比で0.4%低下した程度の水準です。日銀金融政策決定会合前後で為替相場では円買いが進行し、3月半ば以来の148円半ばまでドル安円高を記録しました。円高の影響で、対ドルと対円ではBTC下げ幅変わってきています。
なお、暗号資産分析サイトcoinglassによれば、BTCドルの月間騰落率は2.95%の上昇でした。月間としては2カ月ぶりのプラス、7月としても2年ぶりのプラスとなります。ただ2020-22年の上昇率平均19%を超えていたことを考えると、やや物足りなくは感じます。
※coinglassより
BTC相場、この一週間も激しく
この1週間もBTC相場は激しく動きました。
7月22-25日にかけてBTC円は約10%下落しましたが、971万円台でサポート水準を確認すると切り返す動きとなりました。BTCドルの買い意欲の強まりにも支えられ、27日には1070万円台手前まで上げ幅を拡大しました。
そこからBTC円は1025万円前後まで下押しするも、週明けにかけて徐々に上昇していきます。週明け1077万円付近まで上昇しました。
最初の下げ要因の1つは、米大統領選で新たな民主党候補に選ばれるであろうハリス副大統領がビットコインカンファレンスに登壇しないとの報道。
しかしながら、有力候補の共和党トランプ前大統領が27日、ビットコイン支持をカンファレンスで声高に叫びました。これがBTC相場を引き上げたと言われています。大統領になったあかつきには、米政府によるビットコインの戦略的備蓄を約束しました。
ただその米政府が、以前に闇サイト「シルクロード」から押収した3万174BTCを別アカウントに移したことが報じられます。アカウントの移動は売却の前ぶれになることもあり、報道時で20億ドル相当の売り圧力への懸念が相場の重しとなりました。
BTC円の1000万円割れは、植田日銀総裁がタカ派だったことに円相場が敏感に反応したこともあるようです。日本株への売り圧力も重なり、リスク回避のBTC売り円買いとの見方もあります。
※Trading Viewより
BTC、政府の関与はプラスなのか?
共和党大統領候補であるトランプ前大統領は先月27日、米テネシー州ナッシュビルで開かれた「ビットコインカンファレンス2024」に登壇。報道によれば、トランプ氏は「米国が地球上の暗号資産の首都となり、世界的なビットコイン大国となることを確実にするための計画を示す」と述べました。
同氏は自分が大統領に再選した場合、2026年まで任期のある米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長を解任すると発言。ゲンスラ―氏は、これまで暗号資産の普及を妨げる、または遅らせるような対応をとってきたと見られています。
暗号資産業界に関しても、大統領諮問委員会の設置を掲げ、これまでバイデン政権が進めてきた規制の規模を縮小することを約束。ビットコインのマイニングについても、米国は世界の誰もが認めるマイニング大国となると語りました。
トランプ前大統領は、米政府が現在、約21万BTCとネットワークで最大のビットコイン保有者であることを指摘。自身がホワイトハウスに返り咲いたときには、現在保有分だけでなく、今後所得するすべてのビットコインを売らないと宣言しまいた。
トランプ氏が述べた「ビットコインを保有し続ける」ことが、国家戦略的なビットコイン準備金の中核となるようです。
政府などの管理を嫌い、自由になるために生まれたビットコイン。価格が維持されるのは良いことなのでしょうが、どうも方向性が違ってきているように感じるのは私だけでしょうか。