2月のBTC 対ドルでは失速、総裁のおかげで対円は・・・
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は3月1日22時時点、対ドルで2万4600ドル前後と前週比約1.6%安での推移です。この1週間を振り返ると、2万4600ドルまで上げたところから週末に2万2500ドル台まで反落。そこから戻して、直近レンジの半ばでの値動きということになります。
2023年は兎年の名の通りにジャンプしてスタートしたBTCは、1月は対ドルで40%近くの上昇率を記録しました。2月も一時は月間で9%超高まで上げ幅を広げましたが、結局はほぼ横ばい(0.03%高)で終えています。
「いまからの投資」の米国株記事にもありますように、2月・月間ではダウ平均が4.19%安と大幅反落し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ2.61%安、1.11%安と反落しました。
2月24日に発表された米国のインフレ指標が予想を大幅に上回り、米連邦準備理事会(FRB)による利上げが長期化するとの思惑が一気に高まりました。株式市場にとっては売り材料であり、それがリスク資産であるBTCにとっても重石となりました。
※Trading Viewより
BTC円もこの1週間は売り込まれる場面がありました。一時332万手前まで上げたところから、26日(日)朝の流動性が薄い時間帯には311万円台まで値を下げました。執筆時点では、レンジの半値となる321万円台まで戻しての値動きです。
ただしBTC円の2月・月間上昇率については、外国為替市場で全般的に円安が進んだ影響を受けて約5%高を記録しています。ちなみにドル円は130円付近から136円台まで上昇しました。
円安要因の1つは、日本銀行の新総裁候補となった植田和男氏が超金融緩和を継続する意向を示したこと。黒田日銀総裁のもとで進められた緩和政策の修正が警戒されていただけに、植田氏の姿勢に円売り安心感が広がったようです。
※植田和男氏 NHKサイトより
BTCドル 2月の勝率は高かった、今回もアノマリーは?
暗号資産分析サイト・コイングラス(coinglass)のビットコイン月間利益率(Bitcoin monthly returns(%))を見ると、BTCドルの2月にもアノマリーがありました。
※coinglassサイトより
2013年から22年までの10年間で同月がマイナスだったのは2回だけ。勝率という意味では10月と同じ、確率では2回しかプラスで終えていない9月と同等です。
※アノマリー(anomaly)-金融相場では、これといった合理的な根拠がある訳ではないものの、よく当たると言われている経験則・規則性という意味で使われる。
今年2月のBTCドルの上昇率は0.03%。微妙ではありますが、アノマリーから外れなかったとは言えるかもしれません。
投資家はどのように動いたか
英国のデジタル資産運用会社コインシェアーズ(CoinShares)は毎週、「デジタル資産ファンドフロー(Digital Asset Fund Flows Weekly)」というレポートを配信しています。その中で、暗号資産ごとの資金の流れ(Flow by Asset)を見てみましょう。
※コンシェアーズDigital Asset Fund Flows Weeklyより、単位は100万ドル
Weekが前週(この場合2月24日までの1週間)、MTDは月間(Month To Date)、YTDは年間(Year To Date)の資金の流れ(flows)を示しています。AUM(Asset Under Management)は資産運用残高です。
表をみるとBitcoinとShort Bitcoinとあり、ビットコインには2種類のファンドがあることが分かります。Bitcoinはビットコインを買いから入るファンド、Short Bitcoinは先物市場でビットコインを売り持ちにするファンドです。
運用残高が193.27億ドル(1ドル=136円換算で2兆6284億円)と最大のBitcoinは先週、1170万ドルの流出となりました。3週連続の流出超、2月はこの週までで1680万ドルの流出となっています。ただし、年初来では1.46億ドルの流入超です。
一方でShort Bitcoinは月間流入が1400万ドルに達しました。そのうちの7割、990万ドルが24日週ということになります。米国のインフレ加速が確認された週です。
レポートでも、米国の利上げが長期化するのではないかという懸念や暗号資産への規制強化に(主に米国の)投資家が敏感に反応したことが表されているとの説明でした。
非中央集権を目指して作られたビットコインですが、米株や金利を気にしながらの値動きがまだまだ続くことになりそうです。