BTC円、伸び悩み 円高も影響
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は9月11日14時時点で、対円では798万円前後と前週(7日前)のほぼ同時刻と比べて2%安い水準で取引されています。先週末に750万円台まで売られた後に反発しましたが、833万円前後を戻りの高値に失速しました。
BTCドルは5万6400ドル台での値動きです。こちらは前週比で0.3%安程度。つまり為替で円高が進行している影響をBTC円は受けています。
足もとの円高のきっかけは、中川・日銀審議委員が追加利上げを示唆したことがあります。債券市場はそれほど反応しませんでしたが、日本株が売られてリスク回避動きが加速しました。
※Trading Viewより
ファンドから資金流出、クジラは
その前に売られていた要因としては、こちら↓
「暗号資産ファンド、3月以来最大の流出に・・・」コインデスク
暗号資産全般に軟調な地合いが続いた8月終わりから9月初め、暗号資産ファンドから資金が流出していたという記事です。
今年1月に米国で取引が承認された現物ビットコインETFも、上場以来では初めて8日連続で流出超を記録しました。12本のETF合計では、約11.8億ドルの流出となります。
しかしながら、オンチェーン分析によれば、
クジラと言われる大口保有者からは下げたところで買いが出ていたようです。
価格の下落後、クジラたちがビットコインを積み増し中
9月1日以降、3人のクジラ(大口投資家)が Binanceから平均価格5万5887ドルで約2814BTC(約1億5730万ドル)を購入
というXの投稿がありました。
暗号資産詐欺 56億ドル!
コラム執筆中にこういった記事が目に留まりました。
「暗号資産詐欺の被害額、23年に45%急増=FBI」ロイター通信
米国連邦捜査局(FBI)が9日に公表した2023年の暗号資産詐欺報告書(Cryptocurrency Fraud Repot)に関する記事です。レポートによれば、暗号資産関連の詐欺による2023年の被害額が米国では56億ドルを超えました。前年と比べて45%の増加です。
FBIのインターネット犯罪苦情センター(INTERNET CRIME COMPLAINT CENTER、IC3)がまとめたレポートによれば、総苦情件数は6万9468件にもなりました。暗号資産関連の苦情はIC3に持ち込まれた総苦情数の約10分の1程度でしたが、詐欺による損失額は暗号資産関連が全体の約50%!を占めていました。
暗号資産の分散性、取引の不可逆性、グローバルな送金の容易さが犯罪者に悪用されています
年齢層別では60歳以上の被害額が最も高く、16億ドル以上でした。
詐欺被害は世界中から報告されたものの、苦情と損失の大部分は米国からでした。そのなかで目立ったのが投資詐欺です。全体の約7割も占めました。
暗号資産詐欺、2023年のトレンド
投資詐欺の損失額は前年比53%増の39.6億ドルにも達しました。
報告書によれば、以下のような投資詐欺があります。
1、信頼を利用した暗号資産投資詐欺:
・ 犯罪者はデートアプリ、ソーシャルメディア、専門家ネットワーキングサイト、暗号化メッセージアプリを使って被害者との関係を構築します。
・ 暗号資産投資の話題を持ち出し、自身や知人の専門家が財務的成功を手助けできると主張します。
・犯罪者が管理する偽のウェブサイトやアプリを使わせ、投資させます。
・初期には少額の引き出しを許可して信頼を得ますが、最終的には手数料や税金を理由に資金を引き出させません。
2、 流動性マイニング詐欺:
・正当な流動性マイニング操作を装い、毎日1-3%のリターンを保証すると誘います。
・ 被害者の暗号資産ウォレットを偽の流動性マイニングアプリケーションにリンクさせます。
・その後、所有者の許可なく資金を引き出します。
3、偽のPlay-to-Earnゲームアプリ:
・犯罪者は偽のゲームアプリを作成し、プレイヤーに暗号資産による報酬を約束します。
・被害者に暗号資産ウォレットの作成と資金の入金を指示します。
・アプリ上では偽の報酬が蓄積されているように見せかけます。
・ 被害者が資金の入金を止めると、ゲームに参加した際に有効化された悪意のあるプログラムを使って資金を奪います。
自分だけは引っかからないと思い込まず、また簡単に儲かる話には乗っからないということですね。
次回は暗号資産の詐欺被害を避けるために必要なことにも触れていきたいと思います。