BTCドル、史上最高値を更新
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は11月7日11時頃、対円では1166万円前後と前週(7日前)と比べて約5%高い水準で取引されています。BTCドルが7万5400ドル付近で底堅い値動きです。
BTC相場は、先週末から週明けにかけて売りが優勢でした。対円では一時1020万円割れと、先月末に記録した最高値から9%超の下げ幅を記録しました。BTCドルも7万3600ドル付近を上値に、週明け5日の東京早朝(NY4日午後)には6万6800ドル前後まで売り込まれています。
下げた要因は、米大統領選の投開票を現地5日に控えて暗号資産業界の支援を表明しているトランプ共和党候補の支持率が予想サイトで低下したことです。
しかしながら、日本時間5日からBTC相場は徐々に水準を切り上げ、そして6日には急騰します。米大統領選の蓋を開けえてみると、トランプ前大統領が圧勝。激戦州と言われる州も優位に進め、トランプ氏の大統領再選が意外とアッサリ決定しました。
日本時間7日早朝に、BTCは対円で1180万円台、対ドルで7万6400ドル前後まで過去最高値を更新しています。まさしく、トランプ様様です。
※Trading Viewより
コロナ禍の以前は批判的だったのに
トランプ氏が最初に大統領を務めた2017年からの4年間、同氏は暗号資産に対して批判的なことで有名でした。ビットコインは「詐欺」であるとし、暗号資産は「災害の元」とかなり強い言葉を使い非難していました。
こちらは2019年7月の記事です。トランプ大統領が「仮想通貨のファンではない」とツイートしたことが相場に影響したとされています。
「ビットコイン急落-トランプ大統領の仮想通貨批判ツイートで」Bloomberg 2019年7月15日
それが今回の選挙では手のひらを返したように、ビットコインや暗号資産を擁護し始めました。これが業界だけでなく、暗号資産に馴染みのある若者からの支援に繋がったようです。
ハリス民主党候補も暗号資産業界に寄り添う姿勢を見せたものの遅すぎました。暗号資産業界に対して「民主党は規制強化」のイメージは拭いきれませんでした。
次期大統領は何を訴えていた?
次の米大統領に選ばれたトランプ氏が何を主張していたのか、簡単にまとめてみました。
1、暗号資産の首都を目指す
米国を暗号資産技術とイノベーションの世界的リーダーとして位置づけることが目的。暗号資産においても米国の覇権強化を図ろうとしているとも捉えられています。
2、ビットコインの戦略的備蓄
戦略的なビットコイン備蓄でドルの基軸通貨としての地位を補完し、経済的に新たな影響力を得ることを目指す。中国やロシアなどに対して優位性を保つための手段とも見られています。
3.暗号資産のマイニング支援
米国内のマイニング業界を支援し、マイにニング大国にすると主張。国内の雇用創出にも繋がり、テクノロジー進化にも貢献できるとしています。電力を多量に消費するマイニングを通じて、米エネルギー産業の活性化も狙っているようです。
4、規制当局の変更
暗号資産業界に批判的な姿勢で有名な「ゲンスラー証券取引委員会(SEC)委員長の解任」を約束。より友好的な規制内容を作る委員長を選ぶと見られています。
5、中央銀行デジタル通貨(CBDC)への反対
米連邦準備理事会(FRB)が管理するCBDCの創設を阻止。中央集権的な通貨システムよりも、分散型の暗号資産を支持する立場を明確にしました。ています。これは個人の金融プライバシー保護にも繋がります。
単なる投資対象ではなく?
投票前の記事ですが、今回の大統領選挙における暗号資産の影響力と有権者の動向についてのレポートです。
「暗号通貨のためにドナルド・トランプに投票する人々の肖像」WIRED
「暗号資産への立場を候補者が明確にしたこと」や「暗号資産を保有する有権者の多くが候補者立場を重視したこと」が、これまでの選挙と大きな違いである指摘しています。
米国における暗号資産は今回の選挙を経て、単なる投資対象を超えて「政治的イデオロギーや経済政策」と密接に結びついてきたのかもしれません。