BTC、先週は調子が良かった
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は10月2日19時時点で、対円では884万円前後と前週(7日前)の同時刻と比べて約3.7%低い水準で取引されています。BTCドルが6万1200ドル台での値動きです。
先週後半にBTC買いが強まるなか対円では9月27日に960万円まで上昇し、8月初旬以来の高値を記録。BTCドルも7月末以来となる6万6500ドル付近まで上げ幅を拡大しています。
9月18日の米利下げをきっかけに、米国では株式市場だけでなく暗号資産にも投資家の資金が向かいました。現物ビットコイン上場投資信託(ETF)は週間で11億ドル超を集め、7月19日週以来の流入額を記録しています。
BTC円については、高値をつけたタイミングは自民党総裁選の決選投票前です。日銀利上げに反対し、積極的な財政拡大を訴えていた高市候補の勝利が期待され、日本株が急騰して為替は円安に。その流れに付いて行った形になりました。
しかしながら高市氏が敗れたことで、リスク志向の動きが一気に巻き戻されてしまいました。
※Trading Viewより
先月も調子が良かった
暗号資産サイトcoinglassによれば、BTCドルの9月の騰落率は7.3%上昇と昨年に続いて月間プラスとなりました。ビットコインにとって、一昨年まで9月は「魔の月」とされ、2017年から6年連続月間マイナスを記録していました。
昨年を振り返ると、7年ぶりにプラスで終えた翌月は約28%も上昇しています。10月はそれまでも好調な月であり、2013年以降だと2回しかマイナスで終えていません。アノマリー的には期待してもよさそうです。
・アノマリー(anomaly)
金融相場では、これといった合理的な根拠がある訳ではないがよく当たると言われている経験則・規則性という意味で使われている。
※coinglassより
現物ETFへの資金流入継続を示すニュースやクジラの購入継続の話も地合い的には好材料と受けとめられたようです。
「マイクロストラテジー、次のビットコイン購入で・・・」コインデスク
ミサイルのせいで・・・・
ところが、10月に入りBTC相場は一気に軟調に転じました。BTC円は一時865万円台、BTCドルも6万ドルの手前まで売り込まれています。
きっかけは、イランがイスラエルに弾道ミサイルを180発以上も発射したこと。これに対して当然、イスラエルは報復姿勢を鮮明にしています。中東地域で全面戦争の懸念が一気に高まり、リスク回避ムードが急速に広まりました。
※NHKウェブサイトより
先月下旬には、「ビットコインはリスクオン資産ではない」という見解が大手資産運用会社ブラックロックから聞かれました。しかしながら、中東地域の緊迫度の強まりに敏感な反応を示したということは、ゴールド(金)とは違い、BTCはやはりリスク選好で買われる資産になったのでしょう。
※ゴールドは安全資産(リスク回避で買われる)と言われている
話はかわって、ポンジスキームとは
先週のコラムで最後にチラッと取り上げた投資詐欺の一種「ポンジスキーム(Ponzi scheme)」についてです。
「SEC、6000万ドル規模の仮想通貨関連ポンジスキームを告発」
投資詐欺の9割を占めるとも言われている「ポンジスキーム」には以下のような特徴があります。
1、通常の投資では考えられないほどの高いリターンをほとんどリスクなしで約束
2、市場の変動に関わらず、一定の配当を継続して支払ってくる。これで信用してしまう。
3、具体的な投資方法が明確に説明されない。複雑さを装い、理解しづらくしている
4、投資家の資金引き出しに制限を設ける
5、 金融当局への未登録が多い
実際には投資運用は行わず、新規資金の流入に依存。既存投資家への配当は、高利回りに引き付けられた新規投資家の資金が充てられます。
このポンジスキーム、投資に不慣れな人、簡単に儲けようとしている人、少しでも収入を増やしたい人の心理に付け込んできます。「圧倒的な高利回り」「必ず儲かる」という言葉が謳い文句で、人はついつい引き付けられてしまいます。
投資に絶対はありません。絶対大丈夫という言葉に対しては疑いの目で、その投資には慎重になる必要があるでしょう。自分だけは引っかからないという思い込み、捨てたほうがよいかもしれません。