ビットコイン、再び最高値更新
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年1月22日23時頃、対円では1636万円前後で推移し、前週(7日前)比およそ5%高で推移しています。BTCドルが10万4000ドルを挟んだ値動きです。
この一週間のBTCは、底固めをした後に上値を試しました。対円では1520万円台から1660万円超えまで上昇。その後に緩む場面もありましたが、トランプ大統領の就任式を前に買いが優勢となり、1707万円まで史上最高値を更新しました。
BTCドルも9万6000ドル台から10万6000ドル超えまで値を上げます。その後の押しも10万ドル割れでは支えられ、20日東京午後には10万9000ドル台まで過去最高値を更新しました。
注目されたトランプ大統領の就任演説では、暗号資産に触れられなかったことから失望売りが出ました。しかしながらBTCは、対円で1560万円台/対ドルでは10万ドル手前で支えられています。
※Trading Viewより
規制緩和への第一歩
トランプ米大統領は演説でビットコインについて言及しませんでしたが、米国の新政権は暗号資産に対して友好的な姿勢を示し始めています。
「Trump’s SEC launching ‘crypto task force’ to develop clear regulations for industry」CNBC
(トランプ大統領のSECが「暗号資産タスクフォース」を立ち上げ、業界向けの明確な規制を策定)
※タスクフォースとは、緊急性の高い課題を解決するために一時的に結成されるチーム
暗号資産への規制に積極的だったゲンスラー米証券取引委員会(SEC)がついに退任しました。↑の記事では、マーク・ウエダ委員長代行が「暗号資産タスクフォース」を立ち上げ、今後予想される「暗号資産の規制障壁の引き下げ」に向けた第一歩が踏み出されたと報じています。
このタスクフォースはSECコミッショナーのピアース氏が率い、今後はまず公聴会を開催し、業界からの意見を求める予定です。同氏は「投資家を保護し、資本形成を促進し、市場の健全性を育み、イノベーションを支援する規制環境を作っていくために協力していきたい」と述べています。
※Trading Vewより
伝統的な金融機関もついに
暗号資産市場が拡大し、新たな米政権が暗号資産を重要視するなか、伝統的な金融機関の姿勢も変わってきました。今月初めに暗号資産情報サイトCointelegraphはXで、米大手銀行JPモルガンのビットコインに対するスタンスの変化を書き綴っています。
2017年にJPモルガンのCEOはビットコインを詐欺と呼び、BTCを取引する従業員を解雇すると脅しました。翌年に同CEOはブロックチェーンの正当性を認めたものの、暗号資産は否定しています。2021年、ビットコインは依然として価値が無い(a pet rockのようなもの)と見なされています。
※pet rockとは、1970年代半ばに米国で流行した石に目を描いただけのシンプルな玩具。
2021年7月、JPモルガンは暗号資産に関する教育資料を公式ウェブサイトに掲載しました。ただし23年秋、JPモルガンは英国で、詐欺事件の増加を理由に暗号資産の取引を停止します。
しかしながら2025年1月、ついにJPモルガンは、ビットコインを金とともに投資ポートフォリオの重要な構成要素であることを認識するようになりました。
「トランプ政権 規制明確化で伝統的金融と暗号資産を融合させる…」コインテレグラフ
独立系の資産運用会社フランクリン・テンプルトンのCEOも、伝統的金融と暗号資産の融合化が必要だという見解を示しています。
また、米大手銀行バンク・オブ・アメリカのCEOは、規制当局が許可すれば金融業界は暗号通貨決済を導入する準備ができていると述べました。
最も盛り上がったのはトランプ氏の…
この1週間で最も盛り上がったのは、大統領に就任する直前にトランプ氏が自身のSNSで発表したミームコイン「$TRUMP」でしょう。トランプ一族が経営するトランプ・オーガニゼーションの関連会社が、米国時間17日夜に発行しました。
「トランプ氏ミームコイン、…暗号資産市場揺らす」Bloomberg
ミームコインとは「インターネット上の流行語やジョーク、特定のキャラクター・画像などをモチーフにして作られた暗号資産」です。今回の$TRUMPは、処理速度が速いソラナのブロックチェーン上で発行されました。
ミームコインは、あるコミュニティーやファンに向けたものという見方もあるようです。ただ熱狂感も高まりやすく、価格変動もかなり大きい暗号資産のため、高リスク高リターンの投資対象とも見られています。
$TRUMPは日本の暗号資産取引所では扱われていませんが、海外の取引所では人気を集めました。上手く売り抜けられた人は、まさしく高リターンを得たようです。
「トランプ氏公式ミームコインで億万長者誕生…」コインデスク
※Trading Viewより、MEXC取引所
チャートでは10ドル以下で取引もされていますが、$TRUMPの本格的な取引が始まってからは20ドル辺りを底に75ドル超えまで上昇。その後に30ドル付近まで下落とかなり荒い値動きです。執筆時点では、40ドルを割り込んだ水準で推移しています。
暗号資産分析サイトCoinMarketCapによれば、$TRUMPの時価総額は一時147億ドル超(約2.3兆円)まで拡大。その後に6割近く縮小する場面もありましたが、足もとでは78億ドル超の時価総額です。
$TRUMPが資金を集め過ぎたために、他の暗号資産が換金売りに押される場面もありました。今年も1年、「トランプ」に振り回される状況が続きそうです。