暗号資産ウォッチャー これに注目!

第113回「ビットコイン、米利下げの影響は? ところで詐欺に合わないために・・・」

 BTC、リスク志向地合いが・・・

 

代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は9月18日14時時点で、対円では856万円前後と前週(7日前)の同時刻と比べて7%超高い水準で取引されています。

 

先週後半に800万円割れで下げ渋ると、土曜朝(ニューヨークの金融市場の週引け)には850万円台まで反発しました。週明けは売り戻しが先行しましたが810万円付近で支えられ、17日夜には約2週間ぶりの870万円まで上昇しています。

 

BTCドルも5万6000ドル付近から一時6万600ドル台まで買われ、一旦は5万7500ドル付近まで失速。しかしながら17日に再び強含み、8月末以来の6万1000ドル台を回復しました。

 

先週末の上げは、米金利が低下するとの思惑から米株市場が底堅く推移し、良好なリスクセンチメントを受けてBTCも買われたようです。17日は、弱いと見られていた8月米小売売上高が強い結果となり、リスク志向地合いが強まりました。

 

※Trading Viewより

 

BTC、米利下げは必ずしも?

 

ビットコイン相場は、コラム執筆時点では調子の良さを取り戻しつつあるように見えます。しかしながら米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、油断は禁物のようです。


「取り残されるビットコイン、グローバルな金融緩和で・・・」

暗号資産情報サイト「コインデスク」の記事によれば、ビットコインは中途半端な利下げは必ずしもポジティブに反応しないようです。2019年8-11月には、米連邦準備理事会(FRB)が合計で0.75%利下げしたにもかかわらず、BTCは15%程度も下げていました。

 

新型コロナウイルスの感染が拡大し、停滞した経済を刺激するために大規模な緩和が実施されたのが2020年春以降。この時期を経て、BTC相場は上向きトレンドに入りました。


リスク資産とはいえ、かなりの幅の利下げがBTCの上昇には必要になるというのです。

 

※Trading Viewより

 

今回、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)や英フィナンシャルタイムズ(FT)という金融市場に一目置かれている金融メディアが、17-18日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%利下げの可能性が残されているとの見解を示しました。

 

気を付けなければいけないのが、政策金利の通常変動幅0.25%の倍の利下げを決定した場合、米当局が持つ景気停滞への懸念は想定以上に強いと受けとめられるかもしれません。パウエルFRB議長の焦りを市場が感じれば、金利は低下しますが、リスク資産にとって必ずしも良い状況ではないとの一部報道もありました。

 

「利息を生まない」BTCは、金利が下がれば相対的な価値は上昇するとの見方に固執し過ぎるのは危険なのかもしれません。

 

FBIレポート、60歳以上が・・・


さて先週、米国連邦捜査局(FBI)が9日に公表した2023年の暗号資産詐欺報告書(Cryptocurrency Fraud Repot)について触れました。

 

レポートの最初に、重要なポイントが図で表されています。


前回との繰り返しにもなりますが

・暗号資産関連の苦情 6万9468件

・56億ドル(1ドル=140円、7840億円)の被害

・2022年から45%の被害額拡大

・投資詐欺の報告が最大

 

またレポートのなかで気になったことの1つが

年齢層別では60歳以上の被害額が最も高く、16億ドル以上でした。

 

こういった記事もあります。

「高齢の仮想通貨ユーザーは詐欺に騙されやすい・・・」コインテレグラフ


詐欺に合わないために 


FBIのレポートでは、詐欺被害を避けるために以下のようなことに気を付けるよう提言しています。

 

1. 緊急性や孤立感を煽る手口に注意する

 - 犯罪者はしばしば緊急の対応を求めたり、被害者を孤立させようとします。

 

2. 身元確認を徹底する

 - 知らない人からの電話や、有名企業や政府機関を名乗る不審な連絡には慎に対応する。

 - 独自に公開されている連絡先を調べて確認する。


 3. 個人情報の保護

- 相手の身元を確認できない限り、個人情報を提供しない。

 

4. 投資機会の検証

 - ソーシャルメディアで提供される投資機会の妥当性を慎重に確認する。

 - 実際に会ったことがない人からの投資アドバイスには特に注意する。

 

5. ウェブサイトやアプリの正当性確認

 - 正規の金融機関を模倣したドメイン名や偽のウェブサイトに注意する。

 - 投資ツールとして怪しいアプリをダウンロードしたり使用したりしない。

 

6. 「うますぎる話」に警戒する

 - 高すぎるリターンや簡単に儲かる話には疑いの目を向ける。

 

7. 暗号資産ATMの使用に注意

 - 正当な法執行機関や政府機関が暗号資産ATMでの支払いを要求することはない。

 

8. ウォレットのセキュリティ

 - 定期的に第三者のトークン許可チェッカーを使用して、ウォレットへのアクセス権を確認する。

 

9. 投資リスクの理解

 - 投資にはリスクが伴うことを理解し、自身の財務目標と資源に基づいて投資を行う。

 - 不安がある場合は、ライセンスを持つ金融アドバイザーに相談する。

 

10. 暗号資産回収詐欺に注意

  - 失った資金を回収すると主張する企業、特に前払い手数料を要求する企業には注意する。

 

そうそう美味しい話はありません。簡単に儲ける話には要注意です。自分だけは騙されないと思わないことです。

常に警戒心を持ち、不審な点があれば信頼できる情報源に確認することが重要です。


この連載の一覧
第113回「ビットコイン、米利下げの影響は? ところで詐欺に合わないために・・・」
第112回「ビットコイン、伸び悩み ファンドから資金流出 昨年の暗号資産詐欺のトレンドは?」
第111回「ビットコイン、夏バテか? 残暑も厳しく 曲がり屋とされるあの人は」
第110回「ビットコイン、上値トライは失敗 チャットアプリ騒動が影響?」
第109回「暗号資産税制、隣の芝は青く見え過ぎた 1年以上保有すると・・・」
第108回「ビットコイン、米インフレ減速も上昇の勢いは・・・相場って難しい 米投資銀行が現物ETFを所有」
第107回「ビットコイン、夏バテ気味 リスク回避の流れに逆らえず」
第106回「ビットコイン、失速するも月間ではプラス維持 トランプ氏がビットコイン大国を掲げる」
第105回「ビットコイン、分散化が強さ 米大統領選の影響はより不透明に」
第104回「ビットコイン、大幅反発はトランプ氏のおかげ? イーサリアムもついに!」
第103回「BTC、2月以来の安値更新 独政府やMt.Goxなど売り材料目立つ ただし一巡後は持ち直す」
第102回「ビットコイン、半値戻しまで 日本の投資家は暗号資産に興味あり?!」
第101回「ビットコイン、週明けに売り強まる マウントゴックスがついに?!」
第100回「ビットコイン、ダブルトップ形成で下落?! アルトコインの影響も無視できず」
第99回「ビットコイン、対円では最高値更新も・・・ 米イベントで右往左往」
第98回「ビットコイン、ハッキングもなんのその こんどは豪とタイが!」
第97回「ビットコイン、占有率が下がり気味・・・ 現物イーサETFの取引は?!」
第96回「ビットコイン、対円では最高値更新 ETHもついに?!」
第95回「ビットコイン、弱い米指標が助けに?! ウィスコンシン州がお買い上げ」
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
第76回「ビットコイン、飛び跳ねた年 年明けも好材料が待ち受ける?!」
第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
第57回「リップルにつれ安、8月のビットコインは?そして6カ月後までに・・・」
第56回「ビットコイン、400万円台維持 ネガティブニュースも跳ね返す」
第55回「ビットコイン、ゴールドのように羽ばたけるか ただしETFはもう少し先かも?」
第54回「Simple is Best、相場は単純に考える ところでBTCが上がらない理由は?」
第53回「ビットコイン 円高の影響、分かれたヤツは元気」
第52回「ビットコイン、対円にしました!口座開設はもうお済み?」
第51回「現物ETF 承認への期待大! ただし一旦落ち着く必要も・・・」
第50回「ビットコイン、救世主が出現! 現物ETFへの期待高まる」
第49回「BTCの占有率上昇、ただし市場が盛り上がっているわけでは・・・」
第48回「ビットコイン SECの圧力はちょっと違う、底打ち感も?!」
第47回「ビットコイン 5月は失速、でも今年中には大幅上昇?!」
第46回「ビットコイン 動かず、過去2回はその後に大波」
第45回「G7は規制強化 交換業大手はカナダから日本へ」
第44回「ビットコイン 4カ月連騰、手数料高騰が懸念?」
第43回「ビットコイン 冬は終了?欲張り過ぎには要注意」
第42回「イーサリアム 待ち時間は延びる、BTC 10カ月ぶりの高値をつけるも・・・」
第41回「ビットコイン 約10カ月ぶりの高値、信じる者は・・・」
第40回「リップル 3月は元気いっぱい、裁判の終わりが見えた?!」
第39回「当局の圧力にも負けず、BTC買い衰えず」
第38回「ビットコイン 時価総額はメタ超え、強欲な感じも・・・」
第37回「まるでジェットコースター、ビットコイン 代替資産としての位置づけも」
第36回「ビットコイン とんだ雛祭りに、懸念材料は複数残る?」
第35回「ビットコイン 売り持ちファンドに資金流入、投資家の懸念を反映」
第34回「昨年6月以来の高値更新、ビットコインの上昇要因を探る」
第33回「ビットコイン とばっちり食らう、PoWには関係なし?」
第32回「ビットコイン、2月も底堅い クリスマスまでには?!」
第31回「イーサリアム、マージから4カ月半 伸び代あり?!」
第30回「悪いニュースに反応せず、アノマリーもあったとは」
第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

小針 卓哉の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております