いったい幾ら流出したの?
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、1月31日21時時点では対円で632万円前後と前週(7日前)比で約6%の上昇率です。BTCドルは4万2600ドル付近で推移しています。
前回のコラム第80回「ビットコイン、高値から2割下落・・・」では、現物ビットコイン上場投資信託(ETF)に転換した世界最大のビットコインファンドド「Grayscale Bitcoin Trust(以下GBTC)」からの大規模な資金流出について触れました。
GBTCから資金を引き出した大元(おおもと)は、2022年11月に破綻した大手の暗号資産交換業者FTXとされていました。
GBTCからは約50億ドル(1ドル=148円で7400億円相当)の資金流出が起きたと言われ、それが他の暗号資産投資商品からの流出に繋がり、相場全般の弱さにも影響したようです。
しかしながら、先週末から今週初にかけてBTC相場は大きく切り返しています。BTC円は、1月23日夜(ニューヨーク午前)につけた572万円台を下値に、3日後には600万円台を回復。週末に620万円台乗せ、今週前半には一部取引所で647万円付近まで買い戻されました。
※Trading Viewより
半値戻し、さてその意味は?
1月のビットコイン(BTC)円は高値715万円から572万円付近まで下げました。この下げたレンジの半分の水準(半値)が643万5000円近辺になります。買い戻しが進んだ局面でも、この半値を上回ったところで上昇が止みました。
大きく下落した相場が戻したとき、注目されるポイントの1つがこの「半値」です。この水準まで戻すことが出来たというのは、どういった意味があるのでしょうか。
相場格言には「半値戻しは全戻し」というものがあります。相場格言とは投資に関する経験則や知恵を短い言葉で表現したものです。投資の心構えや売買のコツ、相場の見方などがあります。
さて「半値戻しは全戻し」についてです。長らく為替市場に携わってきましたが、じつは2020年頃までこの格言の意味について、下げた値幅の半分まで戻るのだから「反発力の強さ」を言っていると思っていました。
実際にそういう解釈もアリのようですが、元の意味は「半値まで戻した時点で全戻しまで待つことなく、ポジションを手仕舞え」ということらしいです。反発力は一時的だという考え方です。
色々と金融機関の用語解説をチェックしましたが、それぞれ前述した2つの解釈を紹介していました。
結局、半値戻しの意味は「持つポジションやその他の相場状況によって変わってくる」ということのようです。
ただ、一部解説にあった「欲張らず」というのは、私の経験上はしっくりくる気がします。
他の現物ETF、合計すると
さて、現物ビットコインETFについて話を戻しますと、「Grayscale Bitcoin Trust(以下GBTC)」の動向に変化が見られつつあります。
前回コラムでも紹介したサイトBITCOINTREASURIESでは、
企業やファンドのビットコイン保有動向を知ることができます。
GBTC残高をこちらでチェックしてみましょう。
26日時点では1日あたり1万BTCを超える減少規模でしたが、翌日には1万BTC割れ、今週に入り約6100BTC、4400BTCと着実に減り方が緩やかになってきました。
※GBTCの残高
GBTCから50億ドル流出は、BloombergアナリストのSeyffart氏もXで述べていました。しかしながら同アナリストは、新たに立ち上げられた9つの現物ビットコインETFへの総流入額が58億ドルに迫り、GBTCの分を完全に相殺したと指摘しています。
GBTCからの売り圧力が弱まりつつあるなか、資産運用大手ブラックロックやフェデリティの現物ETFへの資金流入がもし継続するようであれば、おのずと方向性は決まってくるのかもしれません。
そしてクジラが
最後に、クジラと言われる大口のビットコイン保有(1000BTC以上)アドレスが1月にBTCを買い増しているとの記事です。
「ビットコイン・クジラ、1月に30億ドル分を積み増し」コインデスク
ビットコインの将来性(価値の上昇、信用度の高まり、認知度や使用頻度の広がり等など)を信じている人たちは着実に拾っているようですね。