BTC やっと反発、FRBの引き締めペース変化との思惑で
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は、10月27日8時時点で対円では305万円付近、対ドルでは2万0800ドル台で取引されています。25日の日本時間夜中から未明にかけて買いが強まり、26日夜には24日の終値比で8%高まで上げ幅を広げました。
今月は281万円付近で始まったBTC円は290万円台から268万円まで売られる局面がありましたが、大半は280万円-290万円を中心とした値動きが続いていました。BTCドルも似たような感じであり、基本的には1万9000ドル台で上げたり下げたりでした。
↓BTCドルの4時間ロウソク足、ナスダック100先物、米国10年債利回りのチャートです。
※Trading Viewより
しかしながら、米連邦準備理事会(FRB)が12月にも金融引き締めペースを緩めるとの観測が強まると、米金利の低下と共に21日から米株式市場が買い戻し優勢に。
「いまから投資」の米株まとめ記事~NYダウ337ドル高と3日続伸 金利低下を好感
週初まで反応が鈍かったBTCですが(24日は下落して引けています)、さすがに3日間(10月21,24、25日)の上昇率がダウ平均5%弱、ナスダック総合5.5%となると、遅ればせながら追随してきました。
ボラティリティ 米株主要指数を下回る
10月は暗号資産にしては値幅が限られた期間が長かったためか、先週末にはBTCのボラティリティ(volatility)の低さを指摘する記事が目立ちました。ボラティリティとは、ある一定期間における変動の度合いや変動率(性)のことです。
ボラティリティには2種類あり、1つは過去の価格変動をもとにして算出されるヒストリカル・ボラティリティ(HV)、もう一つがオプション価格から逆算された予想変動率と言われるインプライド・ボラティリティ(IV)です。以下の記事ではHVについて述べられています。
米CNBCの記事
「Bitcoin’s volatility falls below Nasdaq and S&P 500′s for first time since 2020」
暗号資産情報サイトDecrypt
「Bitcoin Now Less Volatile Than S&P 500, Nasdaq for First Time Since 2020」
記者は違いますが、どちらもKaikoという暗号資産分析会社のデータを元にした「BTCの20日間ボラティリティが2020年以来初めてナスダック100とS&P500を下回った」という内容です。ナスダックより低いのは同年10月以来、S&P500のボラティリティ水準より下は8月以来ということです。
ただし、ボラティリティが低くなった具体的な要因については述べられていません。米金利や経済指標などに株式市場は依然として敏感ながらも、BTCは以前のような反応は見られないとだけ指摘しています。(その後、25日には反応しました)
短期トレーダーは軸足をBTC以外に移した?
金融商品の値動き度合いを示す「ボラティリティ」を言い表す場合、「高い」は価格変動が大きいことを意味し、つまりその商品を取引する上でリスクが高いという判断基準にもなります。逆に「ボラティリティが低い」場合は価格変動が小さく、リスクも低いということです。
短期で売買するトレーダーは特にボラティリティが高い市場を好みます。価格が頻繁に大きく動けば、リスクは高いでしょうが収益チャンスも多いからです。ボラティリティが低ければ、安全かもしれませんが収益チャンスは少ないでしょう。
個人的な推測ですが、先月から今月にかけてBTC市場から外国為替市場(FX)に主戦場を移した人が増えたのかもしれません。暗号資産とFXは取引手法が似ているともいえ、両方をトレードしている人も少なくはないでしょう。
英国ではトラス前首相の不手際で金融市場が混乱に陥り、FX市場ではポンドが乱高下しました。スナク新首相の誕生後も値幅を伴った動きです。またドル円も、本邦金融当局の無理やりの為替介入で不自然な値動きが見られました。ボラティリティの高まりを見てトレーダーの多くがFXに軸足を移し、それがBTCの動意を更に鈍くさせた(狭いレンジが続いた)要因の1つであっても不思議ではありません。
※Trading Viewより
HVの持ち直し、新たな動きの始まりか?
さて、25日から大幅反発でBTC市場にも活気が戻りつつあるように感じます。BTCドルの20日間ヒストリカル・ボラティリティ(HV)も24日に20近辺まで低下したところから一時29台まで回復しました。※↓のTrading Viewチャートの右端を参照
確かにまだまだ水準的には低い位置にいますが、新たなトレンド(上昇も下落もあり得る)の始まりかもしれません。 次回は、過去にHVが20付近まで低下または下回った後に持ち直した局面で、BTCがどのように動いたかなどを振り返ってみる予定です。
※Trading Viewより