ビットコイン、中東の地政学リスクに対しては?
代表的な暗号資産であるビットコイン(BTC)は10月11日22時時点、対円では405万円前後と前週(7日前)比で1.5%低い水準で取引されています。この1週間、420-421万円台では頭を抑えられ、一時402万円を割り込みました。
週末に中東の地政学リスクが急激に高まりました。ビットコインは強含む場面があったものの、週明け以降は避難資産(安全資産)というよりも「リスクには敏感な資産(リスク高だと売られやすい)」と受けとめられている動きです。
7日(土)の昼頃、パレスナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが、大規模な攻撃をイスラエル側に仕掛けました。イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態」を宣言し、報復としてガザ地区に空爆を実行。
専門家の間では、1973年10月にエジプトとシリアがイスラエルを奇襲攻撃して始また「第4次中東戦争」と状況が似ている、との指摘もあるようです。そのため週明けの原油先物は急騰して始まりました。また、安全資産とされる金にも資金が向かいました。
「金など安全資産の人気高まる見込み、ハマスのイスラエル攻撃で」ロイター
※Trading Viewより
9月は被害も多かった
さて暗号資産分析サイトconglassによれば、9月のBTCのパフォーマンスは+3.9%と月間では7年ぶりのプラスでした。ただし、一部の人にとっては大変な月でもあったようです。
「September becomes the biggest month for crypto exploits in 2023: CertiK」cointelegraph
(9月が2023年で不正流出額が最大の月に)
ブロックチェーンセキュリティ・Certik社が、9月に盗難された暗号資産は総額で3億2980万ドル(1ドル=149円換算として491億4000万円)にも達したと発表。これは月間では、今年最大の規模とされています。
記事によると、被害総額の多くを占めたのが、ハッキングにより約2億ドルが流出した香港拠点のMixin Network(ミシン・ネットワーク)によるものでした。
「Mixin Networkから仮想通貨約300億円が不正流出」コインテレグラフ
※「Mixin Network(XIN)の解説」TOKEN ECONOMIST
また9月は、取引所CoinExが5300万ドル、オンラインカジノStake.comも4100万ドルの暗号資産ハッキングで損失が発生しました。北朝鮮のハッカー集団が双方に関与しているとされています。
コインテレグラフの記事では最後に、ブロックチェーンセキュリティ会社Beosinのデータも紹介しています。
それによれば、2023年第3四半期でハッキングや不正プログラム、詐欺などによる暗号資産の被害総額は8億9000万ドル弱だったようです。第1四半期の3億3000万ドル、第2四半期の3億3300万ドルの合計を超えた被害額でした。
※BeosinのX(旧ツイッター)より
暗号資産において、ハッキングは常に隣り合わせということなのでしょう。やはり、どのように保管するかということは重要になってきます。
22年8月のコラム→第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
ETH共同創設者のXアカウントも乗っ取りに!?
9月の事件といえば、イーサリアムの共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏のX(旧ツイッター)アカウントが乗っ取られたことも話題となりました。
「ヴィタリック・ブテリン氏Xハッキング|1億円の不正流出か」beincrypto
ブテリン氏のXアカウントが乗っ取られ、悪意のあるリンクとともに無料配布に関する記事が投稿されました。それを知らずに誘導されてウォレットを接続させてしまい、そこから資金が盗み出されてしまった人もいたようです。
アカウントは数日後に回復したものの、被害は約69万ドルにものぼりました。
さて、ブテリン氏が作ったイーサリアムのシステムがMergeというアップグレードを実施して1年経ちました。その後のイーサリアムについて、近々振り返ってみようかと思います。