暗号資産ウォッチャー これに注目!

第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」

ビットコイン、強さ際立つ

 

代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、10月25日14時時点で510万円付近と前週(7日前)比では約19%も高い水準です。一時525万付近と約1年半ぶりの高値を記録しました。

 

BTCドルも3万4200ドル付近で推移し、こちらは昨年5月前半以来の高値となる3万5100ドル台まで上げ幅を拡大しています。年初来では100%以上の上昇率、つまり2倍超になったということです。

 

アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)の時価総額上位をみても、年初来でイーサリアム(ETH)が約49%、リップル(XRP)は64%、カルダノ(ADA)は12%程度の上昇幅に留まっています。ビットコインのドミナンス(暗号資産全体での時価総額シェア)は53%と直近では高値圏を維持しており、その強さが分かります。

 

なお、ソラナ(SOL)に関しては年初からだと200%超も上げていますが、昨年後半に取引所大手FTXの破綻に絡んだ売りで暴落していたため、その反動が大きいと言えるでしょう。

※CoinMarketCapより、ステーブルコインを除いた時価総額トップ6

 

ETF承認への楽観論広がる

 

先週の第67回コラムでお伝えしたように、10月16日夜にBTC相場は急騰後に急落。現物ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認に関する誤報と否定に振り回されました。

 

しかしながら、先週末には再びムクムクと上昇し始めます。きっかけは米国の大手金融機関JPモルガンが、大手資産運用会社の申請している現物ビットコインETFについて楽観的な見通しを示したことです。

 

同行アナリストは、米証券取引委員会(SEC)はETF承認を数カ月以内に、可能性として来年1月前半までにはするだろうとレポートで述べました。それも順番通り、先に申請した1つだけを認めるというのではなく、公平性も考えて複数同時に承認されると米大手銀行は見ているようです。

 

現物ビットコインETFが取引されるようになれば、今まで暗号資産の仕組みや規制のために手を出せなかった機関投資家の資金流入が期待されています。

 

※Trading Viewより

 

ティッカーコード、IBTC

 

ビットコイン(BTC)円は先週末に453万円台まで上げた後は暫くもみ合っていましたが、週明けから再び買い優勢となります。23日には460万円台に乗せ、24日早朝には500万円台まで一気に跳ね上がりました。

 

暴騰の引き金が、経済・金融情報配信の大手ブルームバーグのシニアETFアナリストEric Balchunas(エリック・バルチュナス)氏のX(旧ツイッター)への投稿とされています

 


DTCC(デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション)のウエブサイトに、ブラックロックが申請している「iShares ビットコイン・トラスト」がティッカーコード「IBTC」として記載されていました。

 

DTCCは世界最大級の証券保管機関であり、証券取引における決済や清算、証券の登録などを担っています。その機関にティッカーコードがリストアップされたため、「ETF上場に向けた道筋が完全に整ってきた、承認はほぼ確実だろう」という思惑が一気に高まりました。

 

ティッカーのイン&アウトで右往左往、実は・・・

 

BTC円は525万円の高値をつけた日の夜、一時497万円台まで下げ足を速めました。前述した「IBTC」がDTCCのリストから削除されたことが明らかとなり、持ち高調整の売りが進んだようです。

 

もっともその数時間後には、再び「IBTC」がリストに再掲載されています。

 

さてロイターが報じたところによれば、DTCCは「IBTC」を8月に既に「適格ファイル」に追加していたようです。DTCCは「ファイルは規制当局に認可されたことを意味するものではない」と相場の先走りを諌めています。

 

ティッカーコードについては何も目新しいものではなかったことが明らかになりました。

しかしながらBTC相場を見る限り、現物ビットコインETFが承認されるという期待感は高まるばかりです。


「現物型ビットコインETF承認なら 1年間で価格は74%上昇=ギャラクシーが予測 」コインテレグラフ


「トレンドは友だち」という格言に素直に従ったほうが、今のところは良さそうです。

この連載の一覧
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
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第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
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第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
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第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
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第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
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第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
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第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
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第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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