金融市場に住むクジラ
クジラ(鯨)を知っていますか?そう、海に住む(その種類によっては)地球上で一番大きな動物です。
その大きさから「クジラ」という言葉は、金融市場でもある参加者の例えに使われています。それは、豊富な資金量をバックに相場を大きく動かす力がある機関投資家のことです。
たとえば日本の(暗号資産以外の)金融市場には、「5頭のクジラ」が住んでいると言われています。「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人、世界最大の年金運用機関)、共済年金、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、そして日本銀行」です。
海外に目を移すと、オイルマネーを有する中東やノルウェーの政府系ファンドも「クジラ」として知られています。
ビットコインに海洋生物?
歴史の浅いビットコイン市場ですが、先物やオプションなど取引環境が整備されている海外では金融機関やヘッジファンドが参入しています。そういった大きな資金を投じることができる機関投資家が「クジラ」と言われるようになりました。ただし海外であっても、年金運用機関は暗号資産取引を控えているようです。
株式や債券などの市場と違うのは、個人もクジラの部類に入っていることです。ビットコインの価値が今よりかなり低かった2010年代前半に大量購入した人たちと言われています。
面白いのは、ビットコイン(BTC)ではクジラに対する定義が具体的であることです。
英語のサイトですが「NEWSBTC」によれば、1000BTC以上保有しているアドレスを単純に「Whale、クジラ」と呼び、5000BTC以上になれば「Humpback(Whale)、ザトウクジラ」という呼び名が付けられています。
「NEWSBTC」では、クジラ以外にもビットコインの保有数によってアドレスを区分けし、それぞれに海の生物の名前をつけていますね。そのなかでも保有数が1BTCより少ないアドレスを「Shrimp、エビ」と呼んでいました。
下のチャートは、BGeometricsというビットコイン分析サイトから引用したものです。右肩上がりの青線が1BTCより少ないエビさんたちのアドレス数。黒線が対ドルでのビットコイン価格になります。1年前からエビさんたちの数が一貫して増えているのが分かります。昨年末からビットコインの価格が低下し、購入しやすくなったということもあるのでしょう。
まずはエビになってみる
このチャートのように、まずはエビの仲間入りをして、暗号資産(仮想通貨)の値動きをフォローしてみるというのもアリかもしれません。
エビになる(ビットコインを少額購入)のに一番簡単な場所は、暗号資産交換業者が運営している取引所です。まずは取引所に口座を作る必要がありますね。
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)によれば、2022年7月5日現在で暗号資産の取扱いを開始している事業者(1種会員数)は32社あります。会員紹介一覧⇒https://jvcea.or.jp/member/
テレビCMなどで見かけた名前や、株式やFX(外国為替証拠金取引)などで既に使用している会社名があるかもしれません。
この中でどこを選べば良いのでしょうか?
広告に使われている人で選ぶのも1つです。お笑い界の大物から朝ドラ女優、そしてメジャーリーグで大活躍している選手まで様々です。
そういったこと以外に選びたい人は、ひとまずインターネット検索で「暗号資産取引所、仮想通貨取引所、ランキング、おすすめ、比較」などのワードを打ち込んでみてください。↓のように幾つかまとめサイトが出てきます。
取引所 or 販売所?
もしランキング的なものが必要ないのであれば、こちら「Bitcoin日本語情報サイト 日本の取引所販売所」を参考にしていただいても良いかと思います。
ところで取引所と言っていますが、実は交換業者の提供している取引形態は取引所/販売所の2種類あります。
・取引所とは、交換業者に登録したユーザー同士が取引する場です。それぞれ買いたい値や売りたい値を提示し、それが合致すれば取引が成立します。取引所によって手数料設定がまちまちです。
・販売所は、交換業者が提示した価格で業者と直接売買します。手数料を取らないところがほとんどです。
何が大きく違うかというと、こちら↓を見て頂くと分かりますように、取引所と販売所では買い値と売り値の価格差、いわゆるスプレッドが大きく違っています。
販売所は手数料以上にコストがかかることは明らかであり、頻繁に売買しないという方でも取引所での売買をお勧めします。
※GMOコイン取引所(左)と販売所(右) 2022年7月31日
その時が来た時のために
その他のコストとして、日本円の入出金手数料やビットコインの送金手数料やなどもチェックしておきましょう。
またシステムメンテナンスの時間(取引ができない)も取引所によって違いますので、調べておいたほうが無難です。システムに関しては、相場が荒れたときに反応が遅い、滅多にありませんがダウンしてしまうというリスクもあります。
インターネットなしでは成り立たない市場・ビジネスであり、(最近は起きてませんが)取引会社がハッキングされることもあり得ます。また事業者であることから、倒産リスクもあります。こういった「カウンターパーティリスク」も頭に入れておくべきでしょう。
セキュリティや顧客資産管理について明確に表示している会社を選ぶべきであり、またリスク軽減には複数の取引所に口座を持ったほうが良いと思います。
以上、結局は自分で調べてくださいということになってしまいました。ただ、口座申し込み自体は簡単ですし、開設までそれほど時間はかからない取引所も多いです。
今はいいやという方も、ビットコインなどの暗号資産を売買してみたいと思う時がくるかもしれません。その時のために口座を作っておくのも1つの考え方なのではないでしょうか。
なお、今回の取引所は現物取引を想定しています。証拠金取引については、また機会がありましたら話す予定です。