BTC、回復基調 米の大幅利下げがきっかけに
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は9月25日12時時点で、対円では926万円前後と前週(7日前)の同時刻と比べて約8.5%高い水準で取引されています。BTCドルも直近で6万4800ドル付近まで上昇し、約1カ月ぶりの6万5000ドル台が目前に迫りました。
BTC円は先週、840万付近で支えられて上値を試す展開に。19日早朝から買いが強まって、アッサリと900万円台に乗せました。週末を控えて920万円付近では上昇一服も、週明けは8月下旬以来の933万円台まで上値を伸ばしています。
「金融緩和期待の高まりでビットコインが6万4000ドルを突破」コインデスク
振り返ると結局、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を緩和に舵を切ったことがリスク資産の買い安心感に繋がり、ビットコインにも資金が向かったということでしょう。日本時間では19日未明、米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利の0.50%引き下げ決定を公表しました。米金利低下が必ずしもBTC上昇には繋がらない考えを前回コラムで取上げましたが、今回のBTCは流れに乗りました。
くわえて、植田日銀総裁が利上げを急がない姿勢を示したことも、日本株にとって好材料とされてリスク選好ムードを強めました。日銀は20日、金融政策決定会合で政策金利の据え置きが決定されたことを公表。植田日銀総裁は定例会見で、利上げの判断について「時間的余裕ある」と述べました。
※リスク選好:投資家がリスクを取ることを好み、リスクの高い(潜在的なリターンが高い)資産に投資する傾向を指す
※Trading Viewより
米大統領選、2人の候補は・・・
さて、世界中が注目する米大統領選の投票まで、執筆時点でおよそ40日となりました。
現地時間10日行われた大統領候補討論会を経て、民主党候補カマラ・ハリス副大統領が共和党候補ドナルド・トランプ前大統領を支持率でかなり追い上げ、一部では追い抜いたとの調査結果も幾つか見受けられます。ただし隠れトランプ支持者が依然として多いと言われ、単純に支持率調査が選挙結果に繋がるとは言えないようです。
いずれにせよ、かなりの接戦ということは確かです。そして今回の米大統領選、暗号資産業界にとっても重要なイベントとされています。
前回の大統領就任時は暗号資産に懐疑的な姿勢を見せていたトランプ共和党候補ですが、今回は暗号資産業界の支援を表明。
直近でもトランプ氏は「暗号資産には素晴らしい未来がある。暗号資産で35兆ドルを返済できるかもしれない」と講演で述べています。そのロジックはちょっと分かりづらいですが・・・。
「 crypto has got a great future. Maybe we will pay off the $35 trillion in crypto」
※BBCウェブサイトより
一方、バイデン現政権が暗号資産に対する規制に前向きだったため、副大統領のハリス民主党候補も暗号資産について積極的ではないと見られていました。これまで口を閉ざしてきたハリス氏でしたが、ここにきてハリス氏は暗号資産について初めて言及します。
「ホワイトハウスはアメリカの未来に投資する」コインデスク
「ハリス副大統領、仮想通貨ビジネスを支援する意向を表明」クリプトタイムズ
暗号資産ビジネスをサポートする姿勢を示したことも、相場が上昇力を増した要因ではないでしょうか。
相場が好調のように見えるとき
8月から9月にかけてさえなかった暗号資産市場でしたが、このところは持ち直してきました。
・世界最大の経済大国であり金融の中心地である米国で金融緩和が始まったこと
・米国の大統領候補が、2人とも暗号資産業界に好意的な姿勢を示していること
これが大きな助けとなったことは確かです。
ところで相場が好調のように見えるとき、旨いことを言って近づいてくる人がいます。
こちらは先月の記事です「SEC、6000万ドル規模の仮想通貨関連ポンジスキームを告発」
ポンジスキームは投資詐欺の一種で、新規投資家から集めた資金を既存投資家への配当や元本返済に充てる仕組みです。次回はこのポンジスキームについて、その見分け方などにも触れていきたいと思います。