暗号資産、スタートは順調
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年1月8日13時頃、対円では1530万円前後で推移して年初来では3%超高い水準で推移しています。BTCドルが9万6300ドル台での値動きです。
他の暗号資産は、年初来で「イーサリアム(ETH)は約1%弱高、リップルがおよそ11%高、ソラナ(SOL)は5%超高、ドージコイン(DOGE)が約12%高」。24時間比では売り戻しが優勢ではありますが、ETH以外はプラス圏をしっかりと維持しています。
昨年の米国大統領選で暗号資産支援を公約に掲げていたトランプ氏が、いよいよ今月20日に大統領に就任します。米政府がビットコインを戦略的準備金として扱うとの期待が「一部」で高まるなか、年初から買い安心感が広がったのかもしれません。
BTC、昨年も色々ありました
何事も復習は大事ですので、昨年のBTC円を振り返ってみましょう。
年初に1BTC=599万円前後で始まると、1月下旬に540万円まで下落したところで底を打ち反発。3月初旬にはついに1000万円台乗せに成功します。その後は大台を挟み上下しながらも、夏前には1120万円超えまで上げ幅を伸ばしました。
米国時間2024年1月10日、米証券取引委員会(SEC)が現物ビットコイン上場投資信託(ETF)を承認したことが上昇の大きな要因でしょう。承認当初は資金の移し替えなどで相場は伸び悩みましたが、徐々に投資家の資金流れ込みます。
※第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
くわえて、4月後半にはビットコイン・ネットワーク上で約4年に1度発生する半減期を迎えました。1ブロックごとのマイニング報酬がそれまでの6.25BTCから3.15BTCとなり、供給量の減少が強気ムードを後押ししました。
※第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
ビットコイン、夏に急落したことも…
7月に入る前あたりから、ビットコイン相場は伸び悩みます。ドイツ政府が犯罪組織から得たBTCを現金化や、2014年に破綻した仮想通貨取引所マウントゴックスの弁済にともなう換金売りが話題となりました。
※第103回「BTC、2月以来の安値更新 独政府やMt.Goxなど売り材料目立つ ただし一巡後は持ち直す」
米国の現物ビットコインETFへの資金流入などは支えでしたが、8月初めにBTC円は700万円付近まで急落します。きっかけは、利上げを決定した日銀のトップである植田総裁が市場の想定以上にタカ派姿勢を示したことです。
本邦金利先高観が嫌気されて株価急落/為替は円急騰とリスク回避ムードが強まるなか、(リスク資産とされる)BTCにも売り圧力が強まりました。
※第107回「ビットコイン、夏バテ気味 リスク回避の流れに逆らえず」
※Trading Viewより
秋になると、米利下げや大統領選が…
その後しばらくは上値の重い展開が続きますが、9月半ばから買い戻しが強まり始めます。
世界最大の経済大国である米国が、ついに利下げに踏み切ったことが好感されました。米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を通常の倍にあたる0.50%引き下げました。
※第114回「ビットコイン、回復基調 利下げはやはり!!副大統領は初めて暗号資産に言及」
世界中が注目した11月の米大統領選の前後では、暗号資産業界を取り巻く状況も好転します。業界の支援を叫んでいたトランプ氏が選挙で圧勝すると、これまで規制に積極的だったゲンスラー米証券取引委員会(SEC)委員長が退任の意向を示しました。次期委員長は当然ながら、暗号資産ポジティブな人が選ばれています。
※第120回「ビットコイン、最高値更新はトランプ様のおかげ 単なる投資対象としてではなく…」
12月に入るとトランプ次期政権への期待感も一層高まり、BTC円は1665万円台まで史上最高値を更新。年初からの上げ幅は1000万円以上、価格は2.8倍近くにもなりました。年末にかけては持ち高調整の売りに押されましたが、1473万円前後(年初来騰落率は約145%)の高い水準で2024年を終えました。
ETF、たった1年で急拡大
2024年の相場をけん引した主要な1つが現物ビットコインETFたちでした。暗号資産分析サイトcoinglassによれば、年末時点において現物ETF全体の運用資産残高は1095.6億ドルでした。1ドル157円換算で17.2兆円にも及びます。12月半ばの1223億ドル超からだと減少しましたが、それでも僅か1年の間にこれだけの増加は驚きと言えるでしょう。
ビットコイン情報サイトBITCOIN TREASURIESによれば、政府や企業などの組織が財務資産として保有しているビットコインは295万BTC程度とされています。そのうち、グラフのオレンジ部分であるETFやファンドは約129万BTCも占めているようです。ビットコインETFの動向が今年も注目すべき材料の1つでしょう。
くわえて下記の記事では、「より多くの国家や中銀、また政府系ファンドが戦略的なBTCポジションの確率を試みる」との予測を紹介しています。
「国家によるビットコイン保有 2025年の…」コインテレグラフ
ETFや国家、どちらも日本が含まれていないのが気になります。