単純にながらも重要な支持水準は
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は7月19日19時時点、対円では419万円台と前週比では約2.5%低い水準で取引されています。この1週間は13日夜中につけた438万円台を戻りの高値に、18日には411万円台まで売り押されました。
BTCドルも3万1800ドル台と今年の高値を更新し、一時は昨年6月以来の水準まで上昇したものの失速し、2万9500ドル台まで売り戻されてしまいました。ただし、一巡後は3万ドルを挟み上下しています。
BTC円の日足チャートをみると上値が徐々に切り下がっています。ピンクのマークをつけたところです。上昇の勢いは確実に弱まっていると言えるでしょう。
では下サイドで重要なチャートポイントはというと、まずは4月11日の高値(当時の年初来高値)です。18日もほぼ同じ水準で止まりました。同水準は2カ月以上も超えられず、そして一旦上抜けると上昇に勢いがついたレベルです。
またその下にも4月30日高値、そして区切りの良い400万円付近は5月29日と6月30日の高値です。今後これらの水準がサポートされるかが、BTC円のチャート上では重要になってくるでしょう。
「暗号」という言葉がつく投資商品だからと言って、なにも複雑な見方をする必要はないと思います。単純なチャートの見方で取引するのはありです。「Simple is best」で良いと私は考えています。
※Trading Viewより
「よもやま話」から「ウォッチャーへ」
約1年前から始まった「いまから投資」サイトにおける暗号資産についてのコラムですが、【暗号資産よもやま話】から【暗号資産ウォッチャー これに注目!】というタイトルに変更させていただきます。
暗号資産で時価総額が一番大きいビットコインを中心とした話とはなりますが、イーサリアムやその他主要な(時価総額20位くらいまで)アルトコインにも話題を広げていくつもりです。
市場は今、何を材料視しているのか(していたのか)、取引する上で、または取引しないまでも暗号資産を見る上で何に気を付けるべきなのかをお伝えできればと考えています。
米証券取引委員会(SEC)、現物ETFの審査開始
さて、先月にビットコインが急騰した要因となった、米国の大手資産運用会社ブラックロックによるビットコイン現物ETF(上場投資信託)ですが、米証券取引委員会(SEC)は審査プロセスを開始したようです。
また、ブラックロックに前後して申請された複数のビットコインETFについても審査が始まったと報じられています。米国で初めて、先物ではなく現物のビットコインETF誕生が近づいているように感じられます。
しかしながら期待感の高まりに反し、このところのBTC相場は上げては頭を抑えられるという状況です。
ビットコイン、上がらない理由はこれ?
暗号資産ニュースサイトのコインテレグラフは、ビットコインの売り圧力になり得るものを2つ挙げています。
1つは、約10年前に世界最大のビットコイン取引所だったにもかかわらず破産したマウントゴックス(Mt.Gox)に関連したものです。当時、日本にあった同取引所がハッキングされて80万ビットコイン(BTC)!が失われました。
「2023年で最大のイベントか: Mt. Goxのビットコイン弁済が市場に与える影響」
ハッキングされた全額の回収は無理でしたが、マウントゴックスは14万2000BTCと14万2000ビットコインキャッシュ(BCH)を保有。世界中で1万人以上いるとされる債権者に、10月末までに弁済することになっています。
それらが換金された場合の市場インパクトは、今の相場環境からするとそれほど大きくないと言う人は多いです。しかしながら弁済時期が近づくにつれ、売り圧力を懸念する見方が広まるかもしれません。
もう一つが、ビットコインが唯一の決済手段とされたシルクロードという闇サイトに絡んだものです。サイトの創設書とされる人物が10年前にFBIに逮捕され、その創設者が保有していた14万4000BTCも米政府に押収されました。
「米国政府 シルクロードで押収した3億ドル近いビットコインを移動」
記事によれば、米司法省と紐づけられる暗号資産ウォレットが12日、約9825BTC(約403億円)を移動させたというのです。かなり分散されているようではありますが、14万以上のBTCを売却する前触れと見る人もいるようです。
※映画シルクロード.COM
もしマウントゴックスやシルクロード関連のBTCが換金されるのであれば、水準に関係なく売却されることが予想されます。上げ相場中であれば売りが出たとしても、おそらく調整の範囲に留まるでしょう。しかし下げ相場のときに売り物が出てくると、下落を加速させてしまうかもしれません。結局はタイミング次第ということになります。
ただし、そのタイミング分からないフローを気にしても仕方ありません。これから取引したい、または既にポジションがあるのならば、ここから下げた場合にどうするかという戦略を考えておくというのが大事になります。