暗号資産ウォッチャー これに注目!

第96回「ビットコイン、対円では最高値更新 ETHもついに?!」

BTC、抵抗ラインをブレイクしたことが

 

代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は5月22日23時頃、対円では1089万円付近と前週(7日前)比で約8.5%高の水準。BTCドルが6万9500ドル前後で推移しています。

 

BTC相場は先週後半から買いが強まり、週末から週明けも底堅く推移。そして、21日未明(20日NY午後)から一気に上げ幅を広げています。為替の円安進行の影響も受け、BTC円は4月高値を超えて1200万円まで過去最高値を更新しました。

 

BTCドルは7万2000ドル付近まで上昇。下のチャートをみると、4月高値から5月前半の戻り高値を繋いだ線を先週クリアに超えていました。結果的には、このブレイクが買い方に勢いをつけた、または売り方の買い戻しを誘ったとも言えそうです。


 

※Trading Viewより

 

ビットコインETFに資金が戻ってきた!

 

先週からのBTCの強さは、やはり現物ビットコインETFへの資金流入が要因の1つでした。

 

「US spot bitcoin ETF rebound continues with nearly $1 billion in net weekly inflows」

 ↑は暗号資産情報サイトTHE BLOCKの記事です。

現物(スポット)ETFの回復が続き、週間のネット流入額は10億ドル(1ドル=155円で1550億円)に迫ったという内容です。


 


※暗号資産サイトcoinglassより

 

「米年金基金がビットコイン採用・・・」コインデスク

こちらの記事によれば、なんと1-3月期だけで約500の機関投資家が現物ビットコインETFに資金を投じたとされています。その中には、前回のコラムでも取り上げたウィスコンシン州投資委員会(SWIB)も含まれています。

 

機関投資家は「あらゆる種類」とされ、1月前半に上場が承認されたビットコインETFがどれだけ投資家に待ち焦がれていたかが推測できます。

 

興味深いこと・・・GBTCが?

 

このコラムでもよく使わせてもらっている暗号資産分析サイトcoinglassのデータ↓をみると、興味深いことが1つありました。


 


これまで流出が続いていたグレースケールのビットコインETF「Grayscale Bitcoin Trust(以下GBTC)」が4日間連続の流入超で終えています。流出していった額と比べると圧倒的に少ないですが、もしかするとGBTCへの風向きが変わったのかもしれません。「もしか」ではありますが・・・。



 

「グレースケールのビットコインETF、純流出止まった=CEO」ロイター

1カ月以上も前のロイターの記事ですが、CEOの言っていたことがやっと実現しつつあるようです。

 

ただし、このCEOは退任することが伝わっています。

 

さて、次はイーサリアム

 

 5月21日未明にビットコイン以上に急上昇した暗号資産があります。それは、時価総額2位のイーサリアム(ETH)です。22日24時時点でも、ETHは対円で58万5000円前後、対ドルでは3740ドル近辺と前週比で約26%高い水準で取引されています。

 

ETH急騰のきっかけは、米証券取引委員会(SEC)による現物イーサリアムETF承認が近づいているという思惑が高まったことです。

「イーサリアムスポットETFの審査は急速に進展・・・・」コインデスク


これまでSECは、資産運用会社から申請されている現物ETHのETF承認の判断を先送りにしてきました。次の決定発表日を23日に控え、取引所にこのETFを上場し取引するための重要とされる申請書類の修正を求めたと報じられました。

 

「US SEC asks exchanges to fine-tune ether ETF filings in positive sign for approval, say sources」Reuters

こちらの記事によれば、取引所に対する前述したようなSECの変更要求はETF承認に向けたポジティブな兆候であるようです。


期待高まるなか、あの会社も?!


ビットコインの現物ETFへの資金流入が相場を大きく押し上げたように、イーサリアムの現物ETF上場となれば、同じように資金が流れ込むことへの期待が高まっています

「イーサリアム先物の建玉が過去最高の140億ドルに-投資家のETFへの期待が高まる」コインデスク

「イーサ現物ETFの承認でETH価格が1万ドルに到達と予想」コインテレグラフ

 

そういったなか、フリマアプリを運営しているメルカリの子会社メルコインがイーサリアムの取り扱い開始を発表しました。


今後、イーサリアムへの注目が益々高まることになりそうです。


ethereum.orgによれば、イーサリアムとは「一連のルールに従う世界中のコンピューターのネットワーク」の名称です。そのネットワークで使用される暗号資産(通貨)がイーサ(Ether、ETH)です。日本では、ネットワーク(プラットフォーム)と通貨のどちらもイーサリアムと表現するのが普及しています。

この連載の一覧
第101回「ビットコイン、週明けに売り強まる マウントゴックスがついに?!」
第100回「ビットコイン、ダブルトップ形成で下落?! アルトコインの影響も無視できず」
第99回「ビットコイン、対円では最高値更新も・・・ 米イベントで右往左往」
第98回「ビットコイン、ハッキングもなんのその こんどは豪とタイが!」
第97回「ビットコイン、占有率が下がり気味・・・ 現物イーサETFの取引は?!」
第96回「ビットコイン、対円では最高値更新 ETHもついに?!」
第95回「ビットコイン、弱い米指標が助けに?! ウィスコンシン州がお買い上げ」
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
第76回「ビットコイン、飛び跳ねた年 年明けも好材料が待ち受ける?!」
第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
第57回「リップルにつれ安、8月のビットコインは?そして6カ月後までに・・・」
第56回「ビットコイン、400万円台維持 ネガティブニュースも跳ね返す」
第55回「ビットコイン、ゴールドのように羽ばたけるか ただしETFはもう少し先かも?」
第54回「Simple is Best、相場は単純に考える ところでBTCが上がらない理由は?」
第53回「ビットコイン 円高の影響、分かれたヤツは元気」
第52回「ビットコイン、対円にしました!口座開設はもうお済み?」
第51回「現物ETF 承認への期待大! ただし一旦落ち着く必要も・・・」
第50回「ビットコイン、救世主が出現! 現物ETFへの期待高まる」
第49回「BTCの占有率上昇、ただし市場が盛り上がっているわけでは・・・」
第48回「ビットコイン SECの圧力はちょっと違う、底打ち感も?!」
第47回「ビットコイン 5月は失速、でも今年中には大幅上昇?!」
第46回「ビットコイン 動かず、過去2回はその後に大波」
第45回「G7は規制強化 交換業大手はカナダから日本へ」
第44回「ビットコイン 4カ月連騰、手数料高騰が懸念?」
第43回「ビットコイン 冬は終了?欲張り過ぎには要注意」
第42回「イーサリアム 待ち時間は延びる、BTC 10カ月ぶりの高値をつけるも・・・」
第41回「ビットコイン 約10カ月ぶりの高値、信じる者は・・・」
第40回「リップル 3月は元気いっぱい、裁判の終わりが見えた?!」
第39回「当局の圧力にも負けず、BTC買い衰えず」
第38回「ビットコイン 時価総額はメタ超え、強欲な感じも・・・」
第37回「まるでジェットコースター、ビットコイン 代替資産としての位置づけも」
第36回「ビットコイン とんだ雛祭りに、懸念材料は複数残る?」
第35回「ビットコイン 売り持ちファンドに資金流入、投資家の懸念を反映」
第34回「昨年6月以来の高値更新、ビットコインの上昇要因を探る」
第33回「ビットコイン とばっちり食らう、PoWには関係なし?」
第32回「ビットコイン、2月も底堅い クリスマスまでには?!」
第31回「イーサリアム、マージから4カ月半 伸び代あり?!」
第30回「悪いニュースに反応せず、アノマリーもあったとは」
第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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