BTC、前週比マイナス・・でもFOMCおかげで
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は12月14日10時頃、対円では611万円付近と前週(7日前)比で約5.5%の下落率です。BTCドルも4万2700ドル台と前週比ではマイナスですが、2.5%程度の下落幅に留まっています。
為替相場でドル売りが強まり、ドル円が146円台から142円前半までドル安円高に傾いた影響をBTC円は受けました。
米国の13日午後(日本時間では14日未明)、世界の金融市場が注目する米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表されました。その後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の定例記者会見も含めて、来年は米金利が低下するとの見方が広まりました。
米長期金利の指標である10年国債利回りは、一時8月10日以来の水準となる4.00%半ばまで低下。ニューヨーク時間の引け水準も4.01%台と、1日の下落率は18ベーシスポイント(bp)以上にも達しました。
より金融政策に敏感に反応する米2年債利回りに至っては、4.42%台と前日比で30bpも低下幅を広げています。米金利先安観の強まりは株式市場にとってはプラス材料(資金調達などのコストが低下)とされ、ダウ平均は過去最高値を更新しました。
米金利低下を受けたリスク志向の強まりもあり、BTCドルもこの日に限ってみると、欧州序盤の4万1000ドル台から一時4万3400ドル台と約5.5%高まで上げ幅を拡大しました。
※Trading Viewより
荒っぽい動きだった1週間
BTCの1週間を振り返ると、かなり激しい動きだったと言えるでしょう。
「ビットコインが一時7.5%安、利益確定の動きで」Bloomberg
BTC円は先週末に再びムクムクと値を上げたものの、648万円台までと6日早朝に達成した650万円台に再び乗せることはできず。伸び悩んでいた週明け、急にドスンと下落しました。
「Bitcoin wipes nearly a week of gains in 20 minutes」cointelegraph
(ビットコイン、20分で1週間分の上昇分を吹き飛ばす)
こちらはBTCドルの記事ですが、BTC円も11日の東京昼前に635万円を割り込むと、そのまま595万円台まで急落しています。
一巡後は持ち直し、夜には620万円超えまで反発する場面もありました。しかしながらニューヨーク勢が本格参入すると下落圧力がまた強まり、一部取引所では588万円台まで売り込まれました。
その後600万円を挟み上下しながら、底堅くなりつつあったところにFOMCを経て一時620万円台を回復しました。
※Trading Viewより
ロングの投げ、そうはいってもまだ10%
暗号資産分析サイトcoinglassはX(旧ツイッター)で、「Largest longs liquidation in the last three months」(過去3カ月間で最大規模の買い建玉の清算が起きた)と述べています。
以下が、coinglassサイトに記載されていた清算チャートです。
「ビットコインのフラッシュクラッシュとは」コインデスク
こちらの観測記事では、今回の急落(フラッシュクラッシュ)の原因についてよく分からないとしながらも、「利益確定の合理的なプロセス」という意見を取り上げています。ただし、暗号資産デリバティブ(先物やオプション)市場におけるレバレッジの大きさが調整を加速させたとの見方もあるようです。
※レバレッジとは「てこの原理」という意味であり、投資では保有資金よりも大きな金額で取引ができることです。
さて今回の下げでは、年初来高値の654万円台から10%の下落率でした。
金融市場では、高値から20%下落すると弱気相場入りの兆候と見なされることがあります(あくまでも一般論、明確な定義ではない)。もっとも、その程度なら暗号資産ではありがちとも言え、まだ下落トレンド転換を気にする時点ではないのかもしれません。