ビットコイン、リスクオン・オフで行ったり来たり
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年4月17日12時頃、対円では1198万円台と前週(7日前)比でほぼ横ばいです。BTCドルが8万3900ドル前後と、為替でドル安が進んだ影響もあり前週比では2%超上昇しています。
BTC円は、先週末につけた1237万円を戻り高値に伸び悩みました。トランプ米大統領が中国を標的とした関税強化を実施すると、世界経済二大国による貿易戦争を危惧する見方が広まりました。株式市場の下落につれて、リスクオフのBTC売り円買いで1132万円台まで水準を下げました。
しかしながらその後、米中交渉への期待感が浮上し始めるとリスクセンチメントも改善し、BTC円も週明けに1238万円台まで切り返す展開に。ただ16日ニューヨーク午後に米株が急落すると、リスク資産とされるビットコインも上値が重くなりました。強い方向感はでず、リスクオン・オフで一進一退です。
※Trading Viewより
パウエルさんのせい?!
リスク回避(オフ)ムードが再び高まった原因は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言とされています。シカゴ・エコノミッククラブ主催のイベントで同議長は、トランプ米大統領による関税政策を含む大幅な政策変更は、FRBの政策決定をかなり難しくさせると警告しました。
早期の利下げについてもパウエル議長は慎重な姿勢を示し、株価が急落した場合にFRBが介入する「いわゆる、パウエルプット」についても否定しました。
「ビットコインのラリー、短命に パウエルFRB議長が…」コインデスク
※パウエルプット
パウエルFRB議長が市場の不安定さを和らげるために行う発言や政策を指す用語。この表現は、金融市場が下落した際にFRBが利下げや緩和的な政策を実施することで、投資家に安心感を与えることから生まれた。パウエル議長の発言・政策が市場における「プットオプション」のように機能し、株価の下落リスクを軽減する役割を果たすことを意味する。
※ChatGPTで作成
アルトコインはソラナが強い
主要なアルトコインは対ドルで、イーサリアム(ETH)が前週(7日前)比で2%弱低く、一方でリップル(XRP)は約4%高。ソラナ(SOL)に至っては12%超まで上昇幅を広げています。
※Trading Viewより「BTC、ETH、XRP、SOLの対ドル騰落率」
ソラナ(SOL)が他の主要暗号資産をアウトパフォームした要因の1つはこちらでしょう。↓
「カナダで現物ソラナETFが4月16日に上場予定、ステーキングも許可へ」コインテレグラフ
カナダで16日から、現物SOLの上場投資信託(ETF)の取引が開始されるとの報道です。カナダ最大の証券取引所であるトロント証券取引所(TMX)を監督するオンタリオ州証券委員会が、SOL保有ETFの発行を承認しました。
さらに注目すべきは、このETFはソラナ(SOL)の一部をステーキングし、利回りを得ることを許可されたことです。
ステーキングとは、暗号資産を特定のネットワークに預けることでその運営やセキュリティに貢献し、報酬を得る仕組みです。SOLでは一般的に、年率5~8%のステーキング報酬が期待できるとされています。
米国でも現物の暗号資産ETFは上場されていますが、今のところビットコインとイーサリアムETFに限られています。またステーキングに関しても、現物イーサリアムETFで申請されてはいますが、承認は先延ばしされています。
ソラナ、ドミナンスは2%台 それでも6位
SOLは、2020年に公開された「ソラナ」というブロックチェーン上で使用される独自コイン(内部通貨、ネイティブトークン)です。
※ネイティブトークン、代表的なのはビットコイン・ブロックチェーンのビットコイン(BTC)やイーサリアム・ブロックチェーンのイーサ(ETH)などです。
ソラナは、トランザクション(取引などの情報処理)が非常に速いことや低コストが大きな特徴です。また、前もって決められたことを自動的に実行するスマートコントラクトや、異なるブロックチェーン同士を接続するテクノロジーを実装していることも強みとされています。
暗号資産サイトのCoinMarketCapによれば、SOLのドミナンス(暗号資産全体の時価総額シェア)は2.55%です。小さいと感じるかもしれませんが、4月17日時点でステーブルコインを含めた時価総額ランキングでは、4位リップル(XRP)や5位バイナンスコイン(BNB)に次いで6位に位置しています。
※coinmarketcapより
SOLのドミナンスは今年4%に迫りましたが、一巡後は価格の低下とともに縮小しています。ただ4月に入るとドミナンス・価格ともに下げ渋り、じわりと水準を切り上げてきているところです。なお、 時価総額が圧倒的に多いビットコインは価格とドミナンスが必ずしも同じ方向というわけではありません。
一方、イーサリアム(ETH)は時価総額で2位は維持していますが影響力は落ちてきています。昨年18%を超えることがあったETHのドミナンスは、足もとでは7%台と5年ぶりの低水準まで縮まりました。
「イーサリアムの手数料が過去5年で最低水準に…」コインテレグラフ
イーサリアムネットワーク上のトランザクションコストが低下しているという話です。記事では、、イーサ(ETH)送金やスマートコントラクトとのやり取りが減少していると指摘しています。
SOLは底打ち感が出始めていますが、ETHの復活はしばらく時間がかかるのかもしれません。