弱い経済指標が助けに?!
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は5月15日22時頃、対円では990万円前後と前週(7日前)比で約2%高の水準。BTCドルが6万3800ドル付近で推移しています。
先週10日に買い戻しが強まると989万円前後まで上昇も、ニューヨーク勢の参入とともに940万円割れまで振るい落されました。週末は下げ渋り、週明け買いが先行すると990万円まで上げ幅を拡大も14日のNY時間には高値から30万円超売り押される場面がありました。
15日はジワリと値を上げつつあったところに、NY序盤に992万円台まで上げ足を速める場面がありました。
きっかけは米国の経済指標がさえなかったことです。4月米消費者物価指数(CPI)は前月比が市場予想を下回る結果でした。同時に発表された小売売上高も弱く、米金利が低下しました。
米国のしつこいインフレで、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期が後ずれするとの見通しが強まっていました。これが ビットコインを含むリスク資産にとってはネガティブとされています。しかしながら、指標結果は米金利先安観を意識させるものであったため、リスク資産買いで反応したようです。
BTC円は10日以降に頭を抑えられていた990万円を超えつつあることで、6日の下落後からの戻り高値水準994万円台を巡る攻防が注目されます。
※Trading View より
10日の下落はやはり、ETF
10日以降にBTC相場が伸び悩んだことについて振り返ってみます。こちらは毎度のことになってしまいますが、米国で上場されている現物ビットコインETFへの資金流入が細ってきたことにあるようです。
以下は、暗号資産情報サイトTHE BLOCKに記載されている現物ビットコインETFのネットフローのチャートです。
暗号資産分析サイトcoiglassも見てみましょう。10ある現物ETFを合計したネットフローは、3日や6日(4-5日は土日なのでETFの取引はなし)に持ち直していました。
しかしながらその後、全体ボリュームも縮小しているなか、グレースケールのGBTCの流出が全体を圧迫。10日はドルベースで8470万ドルの流出超となっています。
ウィスコンシン州がお買い上げ
やや盛り上がりに陰りが見えてきた現物ビットコインETFですが、こういったニュースもあります。
「米ウィスコンシン州、約1億ドル相当のブラックロックの・・・」コインデスク
米国のウィスコンシン州投資委員会(SWIB)という組織が、ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイントラト(IBIT)を1億ドル相当、またグレースケールのビットコイン・トラスト(GBTC)を約6400万ドル保有しているということです。
SWIBは、ウィスコンシン州政府の年金基金など約1500億ドル(1ドル=155円換算で23兆2500億ドル!)の資産を運用する機関です。州政府機関がビットコインETFに直接投資は前例がないとされ、市場を驚かせました。
同機関が米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によれば、管理している資産の半分近くが公開株に向けられているようです。その中には、暗号資産取引所大手のコインベースや1企業としては最大規模のBTCを保有しているマイクロストラテジーも含まれています。
SWIBの現物ビットコインETF購入は、機関投資家の間でBTCへの注目度がかなり高まっているということでしょう。
今後は、SWIBよりも運用規模が大きいカリフォルニア州やニューヨーク州の年金基金の動向も注視する必要があるでしょう。