BTC円、400万円がサポートに
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は8月3日7時時点で、対円では419万円付近と前週比1%を超える水準で取引されています。7月下旬には一部取引所で405万円前後まで売られましたが、そこから429万円台まで大きく切り返す場面がありました。
結果的には、400万円という節目が支持水準として働いたということになります。先週の日銀金融政策決定会合後に為替が円高に傾きましたが、その動きは一時的でした。先週末から週明けにかけて円安が急ピッチで進み、BTC円にとっても追い風となりました。
ここからは、大きく下げた7月14日以来となる430万円を回復できるかが上値を伸ばすうえでは重要となってきます。
BTCドルに関しては1日、6月21日以来の安値となる2万8500ドル台まで売られました。ただその後は反発し、2日東京午前には一時3万ドル付近まで持ち直す場面がありました。
大手格付け会社フィッチが米国債を格下げしたという報道で、代替資産としてBTCが意識され資金が向かったようです。ただ一巡後はやや伸び悩んでいます。
※Trading Viewより
下落は米証券取引委員会がまた?!
BTCドルの直近安値をつけたタイミングはBTC円と少しずれていますが、下落した局面では米国関連の↓こういったニュースも伝わっていました。
「米SEC、ビットコイン以外の取引停止要請 コインベース提訴前に=FT」
こちらはロイターの記事ですが、英フィナンシャルタイムズ(FT)紙が発信元です。
米暗号資産交換業大手コインベースは6月初旬、米証券取引委員会(SEC)に提訴されました。
それに先立ちSECは同社に対し、ビットコインを除く全ての暗号資産取引を停止するように要請した、というのです。
2カ月前の件についての報道ですが、SECが暗号資産に想定以上の規制圧力をかけようとしたことは市場にショックを与えました。BTCはその標的から逃れたものの、アルトコインが全般が売り込まれると、さすがにBTCも引きずられました。
分散型取引所がハッキング被害に
先月から今月初めにかけて暗号資産市場を不安にさせたもう一つの要因がこちらです。
「分散型取引所カーブがハッキング被害」コインデスク
記事によれば、複数の暗号資産の分散型取引所がハッキングの被害にあったというのです。週末だけで取引所から合計で7000万ドル(1ドル=142円換算で99.4億円)もが盗まれたと推定されています。
分散型取引所(Decentralized Exchange、DEX)は、コインベースやバイナンスなどのいわゆる中央の管理者や仲介者がいない取引所のことです。ユーザー同士が直接取引することで手数料を低く抑えられます。
DEXも以下のように様々なものがあり、取引できる暗号資産は規格にあえばどんなものでも可能です。ただし取引所の管理者がいないため、資産保護は完全に自己責任となります。
※CoinMarketCapより
リスクは低いと言われながらも
分散型取引所(DEX)のメリットを説明するうえでよく取り上げられるのは、昨年のFTX破綻のような「交換所倒産の可能性が小さい」ということです。
そしてもう一つが、「ハッキングや不正操作のリスクが少ない」とは言われています。中央集権的な取引所と比べると確かにそうなのでしょう。しかしその代わりハッキングされたとき、印象の悪さや市場へのダメージはより大きいと言えるかもしれません。
前述の記事では、先週末だけでなく7月だけでハッキングにより3億ドル(426億円)以上の暗号資産がユーザーから奪われた、というセキュリティ会社のレポートを紹介されていました。
その性質上、ハッキングされたコインはブロックチェーン上で追跡可能であり、換金が難しいとされています。しかしながら、実際の被害はなくなりません。
遠ざけるのはもったいない気が・・・
ただし、今回の件で「DEXや暗号資産はやはり恐い」、「よく分からない」で終わらせるのはもったいない気がします。もちろん、訳の分からない・なんとなく怪しい、でもなぜか絶対上がると推す人がいる投資商品には手を出さない、これは鉄則です。
暗号資産を金融資産運用のメインとするのは、なかなか難しいかもしれません。しかしながら市場の成長スピードや実用性を含めた可能性を考えると、資産運用の振り分け先の1つとするのはアリではないでしょうか。
その可能性の高まりの1つがこちらでしょう。
「イーサリアム先物ETFレースが始まった-6社がSECに申請」コインテレグラフ
こういったニュースも今後はフォローする必要がありそうです。