暗号資産ウォッチャー これに注目!

第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」

BTC急騰、買いが買いを呼           

 

代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は大幅高。2月28日19時頃、対円で894万円付近と前週(7日前)比16%高い水準で取引されています。

 

26日夜から買いが強まり、800万円台に乗せると上昇が加速。28日早朝には860万円台に乗せ、午後からは買いが買いを呼ぶ展開に。執筆時点では898万円台まで過去最高値を更新しています。年初が599万円前後でしたので上げ幅は約299万、年初来の騰落率は50%近くまで広がりました。

 

 

※Trading Viewより


当然BTCドルも、一旦頭打ちとなった5万30000ドルを上抜けると上昇力を強めました。2021年11月以来の5万9000ドル台に乗せ、完全に最高値6万9000ドルが視野に入っています。

 

新たなETF、合計で30万BTCを集める

 

このところ、米国で承認された現物ビットコイン上場投資信託(ETF)の話ばかりになっています。しかしながら、明らかにETF資金流入が起爆剤となっているので今回も以下の記事を紹介。

 

「Bitcoin Spot ETFs Register Record-Breaking Daily Inflows of Over $500M」Coinspeaker

 

上値を再び試し始めた26日、現物ビットコインETFへの1日の流入額が5.2億ドルを記録。1ドル=150円換算で750億円超、9510BTCがETF絡みで購入されました。

 

資産運用大手ブラックロックやフェデリティなど新たに立ち上げられた9つのETFの総BTC残高は、執筆時点で30万BTCを上回っています。これは、現在供給されているビットコインの約1.5%にもなります。

 

ビットコインが世に出て16年目ですが、僅か1カ月半での出来事です。

 

永久に買い続ける?!

 

ビットコインの大量保有で知られる米国のマイクロストラテジー社は、この上げ相場でも更に買い増したようです。同社の共同創設者であり会長のマイケル・セイラ―氏のXです↓


 合計3000BTCを平均価格5万1813ドル、約1億5500万ドル(1ドル=150円換算で232.5億円)で追加購入。これでマイクロストラテジー社は19万3000BTCを1BTCあたり3万1544ドルで保有していると記されています。

 

マイケル・セイラ―氏は先日、保有するビットコインについての質問に「売却するつもりはない、永久に買い続ける」と答えていました。まさしく有言実行ですね。


重要なイベントはこの後に

 

さて、ビットコインにとって今年は重要なイベントが控えています。マイナーへの1ブロックごとの報酬が半分になる「半減期(halving)」と呼ばれるものです。

 

中央集権的な管理者がいないブロックチェーン・ネットワークは、ピアツーピア(peer to peer、P2P)で接続されているノード(コンピューター端末)で保たれています。ネットワーク内におけるトランザクション(取引・送金など)の記録は全てのノードで共有される仕組みです。

 


ビットコインのブロックチェーンでは、取引の整合性を確認するための決め事にプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)を採用しています。

 

PoWでは、膨大な計算量を必要とする問題を最初に解いたマイナーと言われるノードに、トランザクションを承認する権利が与えられます。その後ブロックチェーンに新たなブロックを繋げる(生成する)と、報酬として暗号資産(この場合はBTC)が与えられるという仕組みです。

 

これがマイニングと言われ、BTCが供給される流れです。ブロックは約10分ごとに生成されるとされ、成功したマイナーはその度に報酬を得ます。

 

始まったころからだと16分の1?

 

ビットコインが世に出た当初、1ブロックごとの報酬は50BTCでした。現在の報酬は6.25BTCです。希少性やインフレ抑制のために約4年(21万ブロック生成)ごとに報酬が半分になるようプログラムされています。

 

これが半減期(halving)です。決められているビットコインの総供給量2100万BTCが出し尽くされるまで行われます。

 

これまで半減期はこれまで3回ありました。

「Bitcoin halving dates history」によれば、1回目が2012年11月28日(報酬50から25BTCへ)、次が16年7月9日(12.5BTC)、直近が20年5月11日(6.25BTC)です。

 

そして今年、1ブロックの報酬が3.125BTCになる4回目の半減期がやってきます。報酬はスタート時からだと16分の1になります。


半減期の日付けですが、ブロック生成数(前回から21万ブロック)次第なので正確には決まっていません。

 「Bitcoin Block Reward Halving Countdown」

こちらのサイトによれば、4月21日とされています。あと2カ月を切りました。


この連載の一覧
第94回「ビットコイン、2割下落は買い場? 月間の連勝記録は途絶え5月は鬼門かも」
第93回「ビットコイン、4年に1度のイベント終了 半分になったことが・・・」
第92回「ビットコイン、下落はあの国のせい? リスク耐性はどこいった」
第91回「ビットコイン、対円では高値更新も米国では小休止 香港が追随?! そして半減期」
第90回「ビットコイン、月間の連騰記録を更新 日足チャートで気になる形も」
第89回「ビットコイン、やっぱりETF次第・・・ 手数料高いとやっぱりダメ?!」
第88回「ビットコイン、大幅下落も何のその 相変わらずのジェットコースター相場」
第87回「ビットコイン、巨人がかき集め中 わずか2カ月で追いついたETFも」
第86回「ビットコイン、ついに夢の水準へ 機関投資家はこれから?!」
第85回「強すぎるビットコイン、まだ重要イベントが控える」
第84回「ビットコイン、対円では最高値更新 お隣が前向きな感じ」
第83回「どうにも止まらない、ビットコイン ETFによる保有量はあの企業も上回る」
第82回「ビットコイン、1月は何とかプラス 都合の良い見方にはご注意」
第81回「ビットコイン、トータルでは流入増だった 半値戻しは・・・」
第80回「ビットコイン、高値から2割下落 売り手はヤツが・・そろそろ終わり?!」
第79回「ビットコイン、祝・現物ETF承認!事実で売られるも取引は活況」
第78回「ビットコイン、年初も材料変わらず フェイクニュースもなんのその」
第77回「ビットコイン、4カ月連続のプラスとなるか 辰年への期待も高いまま」
第76回「ビットコイン、飛び跳ねた年 年明けも好材料が待ち受ける?!」
第75回「ビットコイン、荒い動き ただし下落率は意外とそれほどでも?」
第74回「フィーバー中に、ビットコインがフィーバーしていた! それも仕方なし」
第73回「ビットコイン、先物市場は盛り上がり ただし現物ETFへの待ち疲れ感も?」
第72回「ビットコイン、アルゼンチンからバイナンスまで材料多し 上げて下げて結局まだ底堅い」
第71回「ビットコイン、強気に傾き・買われ過ぎ感も高まっていた 後付けではありますが」
第70回「ビットコイン、5%下落は調整の範囲内、でもポジションの急拡大には要注意?」
第69回「まだまだ強いビットコイン、クジラも活発化 ハロウィンで15周年」
第68回「ビットコイン、年初来では2倍超に!ETFに心躍らせる人たち 」
第67回「ビットコイン、誤報にもめげず底堅い あの高級車も買えるようになる?!」
第66回「地政学リスクよりもハッキングリスク、9月や第3四半期は今年最悪」
第65回「急騰の要因は色々あれど、マスク氏も関係?米議会の混乱や債務増もポジティブ材料に」
第64回「ビットコイン、米金利とドルに振り回され再び暗雲も しかし挫けない男は追加でご購入」
第63回「ビットコイン大台回復、大手参戦が追い風に たまには他のコインも要チェック」
第62回「再びFTXで大騒ぎ、ソラナが大幅安 一方ビットコインは底打ち期待も?! 」
第61回「ビットコイン、9月は本当に"fall"なの?今年もアノマリーが気になる」
第60回「ビットコイン、復活!きっかけはGBTC そしていよいよETFも・・・」
第59回「どうしたビットコイン?スペースXのせいなのか さて、どのサインを信じるか」
第58回「ビットコイン、売り買い材料が交錯 あのトランプ氏も心変わり?」
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第46回「ビットコイン 動かず、過去2回はその後に大波」
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第42回「イーサリアム 待ち時間は延びる、BTC 10カ月ぶりの高値をつけるも・・・」
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第36回「ビットコイン とんだ雛祭りに、懸念材料は複数残る?」
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第31回「イーサリアム、マージから4カ月半 伸び代あり?!」
第30回「悪いニュースに反応せず、アノマリーもあったとは」
第29回「クジラがショートカバーを誘発?! 最後の一押しは日銀」
第28回「ビットコイン 年始はまずまずのスタート、より身近になった?」
第27回「ボラティリティ低調、でも今年のビットコインは進展!」
第26回「期待は失望に変わり、一喜一憂すべきではないとの助言も・・・」
第25回「厳しい年、規制強化は仕方なし?・・・理想は遠い」
第24回「あれから1カ月、ようやく明るい話も」
第23回「破綻の検証始まるも・・・先はまだ長そう」
第22回「FTX破綻の衝撃拡大、ただ日本法人は年内にも?!」
第21回「FTX/アラメダ破綻、FTT暴落・・・暗号資産は今後?」
第20回「ETHがBTCをアウトパフォーム、市場全体をけん引」
第19回「BTC 今年も10月は良い月に、依然としてボラは注視」
第18回「ビットコイン やっと反発、ボラティリティの底打ち感も?」
第17回「何時でも何処にでも、ウクライナ支援も」
第16回「BTCと米株、相関関係はあるの?」
第15回「BTC、9月アノマリーはどうなった?」
第14回「ビットコイン かなり電気を使い過ぎ?世界で23番目と同等」
第13回「マージ後にETH下落、運の悪さも?完成度はまだ・・・」
第12回「イーサリアム、地球に優しくなるために」
第11回「暗号資産のビッグイベント! The Merge」
第10回「BTCにとって怖い9月、一方でETHは?」
第9回「久しぶりのフラッシュクラッシュ、今さらマウントゴックス?」
第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」
第7回「時価総額9位がハッキング被害、財布のせい?」
第6回「ビットコイン、まずはエビになってみる?」
第5回「ビットコイン 金融市場の入り口に?」
第4回「ビットコインもFOMCは無視できず」
第3回「ビットコインの魅力~それは自由、黎明期を振り返る」
第2回「ビットコインって魅力的?」
第1回「ビットコイン、えらいことになってます!」

為替情報部 アナリスト

小針 卓哉

1993年に米系銀行へ入行し、外国為替部でインターバンク・スポットディーラーとなる。ドル円のみならず豪ドルやドルマルクなどの通貨も担当し、東京市場を中心に活躍。 ユーロ発足後からは、ユーロドルやユーロクロスなどを担当。その後に移った米系証券や大手邦銀のトレーディング部においても欧州通貨を中心に取引し、収益手法は主に短期的なトレーディングを得意とした。 為替相場以外では、アンガーマネジメント・ファシリテーターとしての一面もある。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチ社に入社。

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