センチメントの改善が
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年3月26日12時頃、対円では1315万円前後と前週(7日前)比で約6%高、対ドルが8万7400ドル付近で底堅い動きです。
BTC円は先週末にかけて1240万円台、BTCドルが8万3000ドル前後で下げ渋ると、週明けから買いが優勢となりました。金融相場全般のリスクセンチメントが改善し、投資家の資金がBTC相場にも戻ってきたようです。
※リスクセンチメント、投資家の市場に対する心理状態(楽観的、悲観的など)を示す
BTC円は1335万円台、BTCドルが3月7日以来の高値圏8万8800ドル付近まで上昇する場面がありました。
上昇したきっかけの1つは、トランプ米大統領が関税に対して「多くの国に猶予を与えるだろう」と発言したこと。何でもかんでも輸入品に賦課するわけではないということで、関税強化を背景とした景気停滞への懸念が薄まりました。
※Trading Viewより
恐怖指数も持ち直す
ビットコインの「Fear&Greed Index(恐怖と貪欲指数)」も2月末に2022年以来の10まで低下していたところから、47まで持ち直しています。
※Bitcoin Fear and Greed IndexのXより
Fear & Greed Indexとは、ビットコイン相場がどの程度まで感情的(センチメント)な状態かを数値化した指標です。市場のボラティリティや取引量、ソーシャルメディアの感情分析、市場の勢い、BTCのドミナンスなどを元に算出されています。
※昨年12月下旬からの指数チャート
BTC価格が上昇しているとき、投資家が貪欲・熱狂的になり過ぎる(およそ75-80以上)ようだと市場の調整が示唆されます。一方でBTCが下落し、悲観的な見方が広がり過ぎると(およそ20-25以下)と逆に買いの機会との見方もされます。
※Trading Viewより
トランプ米大統領の「イケてる!」発言で
週明けもトランプ米大統領の関税や次世代戦闘機などの発言が話題となっていましたが、一部の暗号資産市場で盛り上がったのはこちら↓SNSへの投稿でした。
「$TRUMPが大好きです。とてもイケてる(格好いい)、最高だ!!!」
$TRUMP(Official Trump、トランプコイン)とは、今年の1月にトランプ氏が大統領に就任する直前、トランプ・オーガニゼーションの関連会社がソラナのブロックチェーン上で発行した暗号資産です。
トランプ大統領の投稿を受けて急騰し、一時12%超まで上げ幅を広げました。
※Trading View
こういった$TRUMPのような暗号資産はミームコインといわれます。ミームコインとは「インターネット上の流行語やジョーク、特定のキャラクター・画像などをモチーフにして作られた暗号資産」です。
ミームコインは、あるコミュニティーやファンに向けたものという位置付けでもあります。そのため熱狂感も高まりやすく、価格変動もかなり大きい暗号資産であり、高リスク高リターンの投資対象とも見られています。
結局、トランプコインは?
$TRUMPは日本の暗号資産取引所では扱われていませんが、海外の取引所では取引ができます。発行当初からの値動きを日足チャートで見ると、価値が無かったところから2日間で一気に77ドル台まで急騰します。時価総額も一時145億ドル超え、1ドル=150円換算で2兆1750億円まで膨れ上がりました。
しかしながらその後、トランプ米大統領が正式に就任すると$TRUMPは急速に売られ始めます。新大統領は暗号資産業界への支持は表明したものの、何ら目新しいものではなく、失望売りが強まりました。
トランプ関税によるリスク回避の動きも暗号資産全体の重しとなるなか、$TRUMPは対ドルで高値から9割近く水準を落としています。足もとでの時価総額も23億ドル弱まで縮小してしまいました。
※Trading View
二匹目のドジョウ…
$TRUMPは10ドル割れでは下げ渋るも、反発力もなかなか強まりませんでした。そういったなか、前述のトランプ米大統領の「大好きだ」発言で二匹目のドジョウを狙った人も多かったのでしょう。
「トランプ大統領のSNS投稿で$TRUMPが急騰」クリプトタイムズ
こちらの記事でも、トランプ大統領の投稿に飛びついた大口投資家が、500万USDC(7億5000万円)相当の$TRUMPを購入し、1時間後に損切りしたとの話が記載されています。損失額は、20.7万ドル(約3100万円)にもなったようです。
そう簡単に行かないのが相場です。